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介護保険の住宅改修の領収証——宛名は本人、原本かどうかは市で分かれます。対象外の費用が混ざっていてもかまいません

公開 2026年8月11日最終更新 2026年8月11日執筆 家の補助金ナビ編集部

介護保険法施行規則が工事のあとに出すものとして挙げているのは、領収証です。領収書ではなく領収証という表記で、条文にはこう書かれています。

当該申請に係る住宅改修に要した費用に係る領収証

工事が終わり、業者から請求書が来た。振り込むのか、現金で払うのか。宛名は誰にするのか。もらった領収証をそのまま市に出してよいのか。ここには、全国共通で決まっていることと、市の窓口で聞かないと分からないことが混ざっています。

結論から言うと、宛名は本人日付は工事の完了後、そして原本か写しかは市で分かれます。この記事では、厚生労働省の通知と国のQ&A、手引きを公開している5市の資料で、この3つに加えて、但し書きの書き方、自己負担分のキャッシュバックの扱い、自分で直した場合の3点まで整理します。

先に結論

✓ ここが要点

宛名は本人です — 実際に払ったのが家族でも、国の回答は被保険者の領収書が必要としています

原本か写しかは市で分かれます — 国は原本を提示できれば写しでもよいとしており、名古屋市・熊本市・さいたま市は原本、八王子市は写しで受け付けています

対象外の費用が混ざっていてもかまいません — 分けるのは領収証ではなく、添える工事費内訳書の仕事です

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公式ページで確認した情報のみ(各項目に確認日つき)

領収証には、工事費内訳書がセットです

まず、領収証は単独では出しません。厚生労働省の通知(老企第42号)です。

第6号の「住宅改修に要した費用に係る領収証」には、工事費内訳書も添付する。工事費内訳書は、工事を行った箇所、内容及び規模を明記し、材料費、施工費、諸経費等を適切に区分したものとする。

領収証+工事費内訳書の2枚で1組です。金額の合計を示すのが領収証、その中身を示すのが工事費内訳書。役割が分かれています。

この分担が分かると、次の疑問が一気に片づきます。

対象外の費用が混ざっていても、作り直しは要りません

手すりをつけるついでに壁紙を替える。浴室の段差を解消するついでに浴槽も新しくする。こうなると、領収証の金額には介護保険の対象にならない費用が入ります。

これについて、通知はこう書いています。

なお、領収証は住宅改修費の支給対象とならない工事等の費用を含めた費用を記載して差し支えないが、この場合、「住宅改修に要した費用」が種類告示の第1号から第6号までに掲げる住宅改修に要した費用として適切に算出されたものであることがわかるよう、工事費内訳書において算出方法を明示するものとする。

差し支えない、です。 領収証を2枚に分けてもらう必要はありません。千葉市も手引きで同じことを書いています。

被保険者本人に宛てたものが必要となります。介護保険対象外工事もあわせて行った場合は、その費用を含んでいても構いません。

条件は、工事費内訳書のほうで線が引かれていること。対象になる費用がどう計算されたのかが分かればよい、という作りです。千葉市は工事費内訳書について「改修を行った箇所・内容ごとの内訳がわかるものが必要です。」としています。

但し書きに何を書くか

「領収証の但し書きは何と書けばよいのか」は、ここから答えが出ます。

さいたま市の手引きが、いちばんはっきり書いています。

介護保険適用外分がある場合について、領収証を分けて2枚発行する場合は、負担割合分にあたる領収証と介護保険適用外分の領収証を発行していただくことになります。1枚の領収証を発行する場合は、介護保険適用分と介護保険適用外分の内訳を必ず記載してください。

つまり、2枚に分けるか、1枚にして内訳を書くかの二択です。1枚でまとめるなら、但し書きの欄に介護保険の対象分と対象外分の金額が分かるように書いてもらうことになります。

生活保護を受けている場合は、書き方が別に決まっている市があります。大阪市は、宛名を本人の名前にしたうえで、但し書きの欄に介護保険住宅改修費扶助費分と書くよう案内しています。

見積もりの段階から同じ考え方で作っておくと、あとが楽になります。そちらは介護保険の住宅改修の見積書——国に決まった様式はありませんにまとめました。

宛名は本人。払った人ではありません

ここは、市の案内と国の回答がそろっています。

八王子市の住宅改修の手引きです。

領収書の宛名は、被保険者氏名をフルネームで記載します。

名古屋市は、提出書類の一覧にこう書いています。

領収証(原本であり、かつ領収証の宛名は被保険者のもの)

大阪市も同じです。

利用者負担額が記載された工事代金の領収書(被保険者あてに発行されたもの)

千葉市は、申請書の記入例で宛名の決まり方まで示しています。

住宅改修を必要とする方(申請者)=「領収書」の宛名となります。

申請する人=宛名、という対応です。

問題は、代金を実際に払うのが家族になる場合です。年金の額と工事の額が釣り合わない、通帳を子が管理している——このとき、払った人の名前で領収証を切ってもらってよいのか。

この点は、厚生労働省が回答を出しています。本人に支払い能力がない場合に、払った人あての領収書で代えられないか、という問いです。

被保険者の領収書が必要となります。

代えられません。 領収証の宛名は本人です。

もうひとつ、対象外の工事と一体で頼んだ場合についても回答があります。

居宅介護住宅改修費の支給は、介護保険法第40条第4項にもとづき被保険者に保険給付されるものであり、他の住宅改造と一体に工事されたとしても、介護保険の住宅改修の対象となる部分について工事費内訳書で明示し、領収書は被保険者名とする必要がある。

一体で頼んでも、宛名は本人。ここでも、分ける仕事は工事費内訳書が持っています。

! ここに注意

工事の代金を家族が払う場合、宛名を払った人の名前で切ってもらうと出し直しになります。支払いの前に、宛名は本人のフルネームでと業者に伝えてください。 領収証は工事が終わってから発行されるものなので、言うタイミングは支払いの前です。発行されたあとに気づくと、業者に書き直しを頼むことになります。

原本か写しかは、市で分かれます

「原本を出したら手元に何も残らないのでは」——もっともな心配です。

国の事務連絡には、こう書かれています。

申請時にその場で領収証の原本を提示してもらうことにより確認ができれば、写しでも差し支えない。

国は写しを認めています。 ただし、その場で原本を見せられることが前提です。

この裁量を市がどう使うかが分かれます。編集部で確認した範囲では、こうなっていました。

公式資料の書き方
名古屋市 領収証は原本であること。宛名は被保険者のもの
熊本市 領収証の原本。オンラインでの申請ならPDFを添付
さいたま市 事後の申請の必要書類として、領収証(原本)
千葉市 領収証(被保険者本人宛てのもの)。原本かどうかの指定は無し
八王子市 写しを添えた場合でも原本の確認は行っていない

※ 表は横にスクロールできます

八王子市の手引きには、理由まで書かれています。

※事後申請を改修業者が代行することが多いため、八王子市では領収書の写しを添付して頂いた場合でも原本の確認は行っておりません。

工事のあとの申請を業者が代わりに出すことが多いので、そこで原本を預かる形にすると、本人の手元から原本が消えてしまう。それを避けている、という運用です。

✎ 私の調査メモ

編集部で確認したこと:介護保険法施行規則第75条はe-Gov法令検索の法令APIで原文を取得しました。領収証の扱いについては、厚生労働省の通知(平成12年3月8日 老企第42号)を法令等データベースで、国の事務連絡とWAM NETの回答は八王子市の住宅改修の手引きに収録されたQ&Aの原文で確認しています。市ごとの扱いは名古屋市・熊本市・大阪市・八王子市・さいたま市・千葉市の公式ページと手引きで確認しました(確認日 2026-08-11)。

原本を出す市にお住まいなら、渡すまえにコピーを取っておくのが確実です。確定申告の医療費控除や、あとで工事の内容を確かめたいときに使うことがあります。

日付は、工事が終わったあとです

まず、日付の下限がはっきり決まっています。さいたま市の手引きです。

負担割合の適用は、領収日基準となります。領収日時点での負担割合を確認し、被保険者の負担割合に応じた金額を領収してください。なお、領収証には完了日以降の日付が記載されることとなります。

完了日以降。工事が終わるより前の日付が入った領収証は、この形になっていません。

千葉市はもっと踏み込んで書いています。

手付金等の工事着工前の領収書については、一切認めません。また、工事完了前の前金払い及び中間払いについても、一切認めません。

着手金を払って領収証をもらっていても、それは支給の申請には使えないということです。支払いは工事が終わってから、が原則になります。

そのうえで、日付が意味を持つ場面が2つあります。

1つ目は、自己負担の割合です。八王子市の手引きです。

自己負担割合は、領収書の日付の時点の負担割合になります。

介護保険の負担割合証は毎年切り替わります。割合が変わる時期をまたぐ工事では、いつ払ったかで戻る額が変わります。 さいたま市も同じ「領収日基準」です。

2つ目は、支払い方法です。大阪市が具体的に書いています。

銀行引き落としなど、現金以外で支払いを行う場合は、支払い完了後に領収書の発行となるため、有効期限にご注意ください。

振込や引き落としにすると、領収証が出るのは入金が確認できたあとです。その分だけ日付が後ろにずれます。市が発行する券に期限がある場合や、認定の有効期間が迫っている場合は、ここで間に合わなくなることがあります。

なお、工事のあとの申請そのものにも期限があります。八王子市は「領収日から2年経過すると支給できません。」としています。この2年の数え方と、事前の申請を出さないまま工事をしてしまったときの扱いは介護保険の住宅改修は「工事のまえの申請」が決まりですで整理しています。

「自己負担ゼロ」と言われたときに起きること

工事の営業で、こう持ちかけられることがあります。「自己負担の分はうちで持ちます」「あとでお返しします」。

これは、支給される額を下げます。国の事務連絡です。

施工業者が利用者に対し利用者負担分を事後的に補填した場合も、施工代金の割引に他ならないことから、割引後の額に基づき支給されることとなる。

値引きとして扱われます。 20万円の工事で自己負担の2万円を返してもらった場合、費用は18万円だったものとして計算し直されます。介護保険から出る額もその割合で下がるので、手元に残るお金は増えません。

制度の側から見れば当然の整理ですが、「実質タダになります」という言い方で持ちかけられると気づきにくいところです。金額の話が出たら、領収証にいくらと書かれるのかを確かめてください。

訪問してくる業者の見分け方は「補助金が使えます」と来る訪問販売の見抜き方にまとめています。

自分で直した場合は、材料の領収証です

手すりを自分で取り付ける、床材を自分で張り替える——家族に手先の器用な人がいる家では、実際にある選択です。

この場合の領収証について、通知に定めがあります。

被保険者が自ら住宅改修のための材料を購入し、本人又は家族等により住宅改修が行われる場合は、材料の購入費を住宅改修費の支給対象とするものである。この場合、施行規則第75条第1項第6号及び第94条第1項第6号の「住宅改修に要した費用に係る領収証」は、材料を販売した者が発行したものとし、これに添付する工事費内訳書として、使用した材料の内訳を記載した書類を本人又は家族等が作成することとする。

読み解くと、こうなります。

  • 支給の対象になるのは材料の購入費です。家族の手間賃は入りません
  • 領収証は、材料を売った店が出したものを使います
  • 工事費内訳書にあたる書類は、本人か家族が自分で作ります

ホームセンターの領収証と、手書きの材料一覧。この2枚が、業者に頼んだ場合の領収証と工事費内訳書の代わりになります。通知は「なお、この場合であっても、必要となる書類に変更はない」とも書いており、事前の申請や写真は同じように要ります。

よくある質問

住宅改修の領収書の宛名は、誰の名前にするのですか?

介護保険に入っている本人の名前です。八王子市は、領収書の宛名は被保険者氏名をフルネームで記載すると書いています。大阪市も、被保険者あてに発行されたものを求めています。実際に代金を払ったのが家族や親戚であっても、厚生労働省の回答は「被保険者の領収書が必要となります。」としています。本人に支払い能力がない場合でも、宛名は本人です。ただし生活保護を受けている場合など、市が但し書きの書き方まで指定していることがあるので、お住まいの市の案内を先に見てください。

領収書は原本を出すのですか、写しでよいのですか?

市で分かれます。国の事務連絡は、申請のときにその場で原本を提示してもらって確認ができれば写しでも差し支えないとしています。この裁量をどう使うかが市ごとに違い、名古屋市・熊本市・さいたま市は原本を求めています。千葉市は被保険者本人宛てのものとだけ書いて、原本かどうかを指定していません。一方で八王子市は、事後の申請を業者が代行することが多いため、写しを添えてもらった場合でも原本の確認は行っていないと書いています。原本を出してしまうと手元に残らないので、提出のまえに市の窓口で扱いを確かめて、必要ならコピーを取っておいてください。

領収書の但し書きには、何と書いてもらえばよいですか?

介護保険の対象になる工事だけを頼んだ場合は、工事の内容が分かる書き方であれば足ります。分かれるのは、対象外の工事も一緒に頼んだ場合です。さいたま市は、領収証を分けて2枚発行するか、1枚にするなら介護保険適用分と介護保険適用外分の内訳を必ず記載するよう求めています。1枚でまとめるなら、但し書きで対象分と対象外分の金額が分かるようにしてもらう、ということです。なお生活保護を受けている場合は、大阪市が但し書きの欄に介護保険住宅改修費扶助費分と書くよう案内しており、市ごとに指定があります。

介護保険の対象にならない工事の費用が、同じ領収書に載っています。作り直してもらうべきですか?

その必要はありません。厚生労働省の通知は、領収証に住宅改修費の支給対象とならない工事などの費用を含めた金額を書いてあっても差し支えないとしています。ただし条件があり、対象になる費用がどう算出されたのかが分かるように、工事費内訳書のほうで算出のしかたを示すことを求めています。分ける仕事をするのは領収証ではなく工事費内訳書です。領収証には工事費内訳書を添えることになっており、そこには工事の箇所・内容・規模と、材料費・工事費・諸経費の区分が入ります。

領収書の日付は、いつのものになりますか?

工事が終わったあとの日付になります。さいたま市は、領収証には完了日以降の日付が記載されることとなると書いています。千葉市はさらに踏み込んで、手付金など工事着工前の領収書は一切認めず、工事完了前の前金払いや中間払いも一切認めないとしています。日付が効いてくるのは自己負担の割合で、八王子市もさいたま市も、割合は領収日の時点のもので判定するとしています。負担割合が変わる時期をまたぐ工事では、支払いの日で戻る額が変わります。なお大阪市は、銀行の引き落としなど現金以外で払う場合は支払いが終わってからの発行になるため、期限に気をつけるよう案内しています。

業者から自己負担分をキャッシュバックすると言われました。問題ありますか?

支給される額が下がります。国の事務連絡は、工事をした業者が利用者に対して自己負担分をあとから補填した場合も、工事代金の値引きにほかならないことから、値引き後の額に基づいて支給されるとしています。つまり20万円の工事で自己負担の2万円を返してもらえば、費用は18万円だったものとして計算し直されます。手元に残るお金は増えません。「自己負担ゼロでできます」と持ちかけてくる業者には、この点を確かめてください。

まとめ

  • 条文の言葉は領収証です。 工事のあとに出す書類で、工事費内訳書とセットで扱います
  • 宛名は本人。 実際に払ったのが家族でも、国の回答は被保険者の領収書が要るとしています
  • 原本か写しかは市で分かれます。 名古屋市・熊本市・さいたま市は原本、八王子市は写しで受け付けています
  • 対象外の費用が混ざっていてもかまいません。 線を引くのは工事費内訳書の仕事です
  • 1枚にまとめるなら、但し書きで内訳を。 さいたま市は、2枚に分けるか1枚で内訳を書くかの二択としています
  • 日付は工事の完了日以降。 着工前の手付金の領収書は認めないとする市もあります。自己負担の割合は領収日の割合で決まります
  • 自己負担分の返金は値引きです。 支給される額もその分だけ下がります
  • 自分で直した場合は、材料の領収証と自作の内訳書。 家族の手間賃は対象になりません

領収証は、出したら手元を離れることがある書類です。渡すまえにコピーを1枚取っておくと、あとで工事の内容や金額を確かめたいときに困りません。

※本記事の制度情報は2026年8月11日時点で、e-Gov法令検索の原文、厚生労働省の通知、各市の公式ページ・手引きを確認したものです。市ごとの提出書類や様式は変わることがあります。申請の前に、お住まいの市の介護保険の窓口・地域包括支援センター・担当のケアマネジャーにご確認ください。

参考情報(出典)

家の補助金ナビ編集部

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