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空き家の家財は、解体の前に片づけないといけないのか——300市の解体補助を「家財」の角度で読み直しました

公開 2026年8月2日最終更新 2026年8月2日執筆 家の補助金ナビ編集部

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親から相続した実家を解体しようと決めて、久しぶりに中に入る。押し入れには布団、納屋には農機具、仏間には仏壇——。

このとき多くの方が考えるのは、「まとめて解体業者に頼めばいいのでは」ということだと思います。建物ごと壊すのだから、中の物も一緒に、と考えるのは自然です。

ところが、解体で出る廃材と、家の中に残っている家財は、法律上まったく別のものとして扱われます。だから見積書でも別の行になり、片づけないまま頼むと断られることがあります。

結論から言うと、家の中の物を片づける責任は、建物の所有者にあります。国の通知にそう書かれています。そして解体の補助でその費用まで見てくれる市は、当サイトが確認した300市のうち1市だけでした。

この記事では、なぜ家財だけ扱いが違うのか、いくらかかるのか、費用をどう下げるかを、一次情報で整理します。

先に結論

✓ ここが要点

片づけるのは所有者です — 解体で出た廃材の処理責任は工事を請け負った業者に、家の中に残された物の処理責任は建物の所有者にある、と国の通知で分けられています

解体の補助では、まず出ません — 公式ページで確認した300市のうち、家財の処分費を補助の対象に含めていたのは鳥取市の1市だけでした

別枠なら、ある市もあります — 解体とは別に、家財の処分そのものへ補助を出す市が7つあります。ただし多くは空き家バンクへの登録が条件です

家財は「解体ごみ」ではありません

ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。

環境省は2018年6月22日付で、建物を解体するときに家の中に残された物——公式の文書では残置物と呼びます——の扱いについて、全国の都道府県・政令市あてに通知を出しています。そこにはこう書かれています。

建築物の解体に伴い生じた廃棄物(以下「解体物」という。)については、その処理責任は当該解体工事の発注者から直接当該解体工事を請け負った元請業者にある。一方、建築物の解体時に当該建築物の所有者等が残置した廃棄物(以下「残置物」という。)については、その処理責任は当該建築物の所有者等にある。このため、建築物の解体を行う際には、解体前に当該建築物の所有者等が残置物を適正に処理する必要がある。

同じ通知は、区分が違う理由もはっきり書いています。

解体物は木くず、がれき類等の産業廃棄物である場合が多い一方、残置物については一般家庭が排出する場合は一般廃棄物となり(後略)

つまり、壁や柱は産業廃棄物、押し入れの布団は家庭ごみ。同じ日に同じ場所から出るのに、法律上の道が違います。

そして通知は、引き受ける側の条件にも触れています。家庭から出た残置物を処理する業者は、産業廃棄物処理業の許可を持っているだけでは足りず、市町村からの委託か一般廃棄物処理業の許可が必要だ、とされています。

✓ ここが要点

解体業者が「家財はお願いします」と言うのは、値段の話ではなく、許可の話です。 解体の許可と、家庭ごみを運ぶ許可は別物だからです。引き受けてくれる業者は、その手配を別に持っているか、提携先に回しています。

300市の補助を「家財」の角度で読み直しました

当サイトは、空き家の解体補助について、300の市区町村の公式ページを1件ずつ確認して制度をまとめています。その記録を「家財をどう扱っているか」という角度で読み直しました。

家財・残置物の扱い 市区町村の数
処分費は対象外だと明記していた 28
処分費が補助の対象に入っていた 1(鳥取市)
解体とは別に、家財処分への補助があった 7
家財について、当サイトの記録に記載がなかった 258

※ 表は横にスクロールできます

対象外だと明記していた市の書きぶりは、はっきりしています。郡山市は「対象は建物の解体費だけで、家財・門・塀・立木の処分費は含まれません」、松山市は「家財などの残存物の処分費・庭木や庭石の撤去費は対象外」、奥州市は「家財道具など個人の持ち物の処分費用は対象になりません」(いずれも公式ページ。確認日は2026年7月17日〜28日)。

一方、唯一の例外が鳥取市でした。

鳥取市空家等除却事業補助 補助率 上限
除却(=解体して取りこわすこと)の工事費 2分の1 60万円
残置物(=残された家財)の処分費 2分の1 20万円

※ 表は横にスクロールできます

(2026年7月22日に公式ページで確認)

✎ 私の調査メモ

この数字の読み方には、大事な但し書きがあります。

編集部が調べたのは、各市の制度の中身——対象になる工事・上限額・条件です。家財の扱いは、公式ページに書いてあれば記録した、という調べ方でした。ですから「28市だけが対象外で、残りは対象になる」という意味ではまったくありません。

むしろ読み取れるのは逆のことです。家財をどう扱うかは、公式ページに書いていない市のほうが多い。 実際、高崎市の空き家解体助成金のページには補助率5分の4も受付開始日も書かれていますが、家財・残置物・片付けといった記載はありません(2026年8月2日確認)。

書いていないからといって、対象になるとは限りません。むしろ制度の設計としては「建物の解体費だけ」が標準です。ページを読んでも出てこないので、担当課に電話して確かめるのが確実です。

家財の処分そのものに補助を出す市が、7つあります

解体の補助とは別に、家財の処分費に補助を出している市も確認できました。

制度の中身 確認日
茨城県つくば市 空家活用補助金=空家バンク登録物件の家財処分費。費用の2分の1・上限10万円 2026-07-25
新潟県上越市 空き家活用のための家財道具等処分費補助金=バンク登録(予定)の空き家。5万円以上の費用の2分の1・上限10万円 2026-07-25
富山県高岡市 空き家おかたづけ支援事業=バンク登録予定物件の家財処分・樹木伐採・清掃費。2分の1・上限10万円 2026-07-27
新潟県新発田市 空き家バンクの家財道具処分補助金=対象経費の3分の2・上限10万円 2026-07-28
新潟県柏崎市 空き家バンク登録後に残った家財道具の処分費への補助 2026-07-28
長野県安曇野市 空き家の片付け・清掃費用への補助。上限10万円(明科地域は上限30万円) 2026-07-31
佐賀県武雄市 空き家バンク関連の家財処分への補助 2026-08-01

※ 表は横にスクロールできます

見ていただきたいのは、7市のほとんどで「空き家バンクに登録すること」が条件になっている点です。

理由は、制度の目的が違うからです。解体の補助は「危険な空き家を減らす」ためのお金、家財処分の補助は「空き家を次の人に使ってもらう」ためのお金です。壊すつもりの家の片づけには、この補助は使えません

裏を返すと、壊さずに次の人へ渡す道を選べば、片づけにお金が出ることがあるということです。売る・貸す・譲るを含めた選び方は空き家の処分は、解体だけが答えではありませんにまとめました。

自分の市に同じような制度があるかは、市のサイトで「空き家バンク 家財」と検索するか、空き家対策の担当課で確かめてください。市区町村ごとの解体補助は市区町村別の一覧にまとめています。

いくらかかるのか——補助の上限から逆算する

家財の処分費は、荷物の量・階数・道路の広さ・地域で変わります。ですから「一軒でいくら」と言い切れる数字はありません。

ただ、自治体が上限をいくらに置いているかを見ると、行政が想定している規模が分かります。補助率が公表されているので、割り戻せば元の費用が出ます。

◆ ケースで考える

上限額から、想定されている費用を割り戻す

  • つくば市=費用の2分の1で上限10万円 → 上限まで使うときの費用は20万円
  • 新発田市=費用の3分の2で上限10万円 → 上限まで使うときの費用は15万円
  • 鳥取市=費用の2分の1で上限20万円 → 上限まで使うときの費用は40万円

つまり、制度をつくった市が想定している家財処分費は、おおむね15万円から40万円。上越市が「5万円以上の費用」を補助の条件にしていることからも、数万円では終わらない前提で設計されていることが分かります。

もちろん、これは補助の上限から逆算した目安であって、見積もりの代わりにはなりません。物の量が多ければこれを超えますし、自分で運び出せばずっと安く済みます。実際の額は、現地を見てもらった見積もりでしか決まりません

解体費そのものの相場は家の解体費用・坪数別の早見表にまとめています。

費用を下げる順番

家財の処分費は、「誰が運ぶか」で大きく変わります。安い順に手を尽くすのが基本です。

  1. 自分で市のごみに出せる物を出す

    燃えるごみ・資源ごみとして出せる物は、いちばん安く済みます。市のごみ収集は税で支えられているためです

  2. 粗大ごみとして市に出す・持ち込む

    家具や布団は、市の粗大ごみの受付か、清掃センターへの持ち込みが使えます。持ち込みのほうが安い市が多く、1回あたりの上限重量が決まっていることもあります

  3. 売れる物・引き取ってもらえる物を分ける

    家電・工具・農機具・和家具は、買い取りや引き取りの対象になることがあります。量が減るぶんだけ処分費も下がります

  4. 残った分を業者に頼む

    ここで初めて費用が発生します。前の3つをやったあとなら、頼む量が減っています

順番が大事なのは、業者に頼む量が減れば、そのまま費用が減るからです。家一軒を丸ごと頼むのと、残り3分の1を頼むのとでは、金額が変わります。

ただし、遠方に住んでいて何度も通えない場合や、体力的にご自身での作業が難しい場合は、この順番どおりに進まないことがあります。その場合は、無理をせず最初から業者に相談してください。片づけが終わらないと解体の日程が組めないので、時間を使いすぎるほうが困ります。

つまずくのは、ここです

! ここに注意

① 家財を残したまま解体の契約をすると、追加費用が出ます。 見積もりのときに家の中を見てもらわないと、当日になって「これは含まれていません」となります。契約前に、家の中の状態まで見てもらってください。

② 解体補助の申請には、家財の片づけの期間も見ておく必要があります。 多くの市で、申請して市の承認が出てから契約・着工という順番です。承認までに1〜2か月かかる市があり、そこに片づけの時間が乗ります。

③ 仏壇・神棚・写真・書類は、業者に任せる物ではありません。 位牌や仏壇の扱い、預金通帳や権利証などの書類は、片づけの前にご自身で確認する必要があります。段取りは実家を解体するまえにやることにまとめました。

見積もりのときに聞く3つ

家財の費用は、見積書の書き方ひとつで見えたり見えなくなったりします。総額だけを見せられると、どこを削れるのかが分かりません。

✓ ここが要点

見積もりのときに確かめる3つ

① 建物の解体費と、家財の処分費を分けて書いてもらえますか(分かれていれば、自分で片づけて減らせる部分が見えます)

② 家の中を実際に見たうえでの金額ですか(写真や外観だけの見積もりは、当日に増えます)

③ 家財の処分は、どこがどの許可で行いますか(家庭から出る家財には、解体の許可とは別の許可が要ります)

③まで聞ける方は多くありません。ですが、ここを聞いておくと、当日になって追加請求が出る事態を避けられます

1社の言い値で決めず、複数の見積もりを並べると、家財の切り分け方の違いもはっきりします。

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よくある質問

空き家の家財は、解体の前に片づけないといけませんか?

原則として、片づけるのは建物の所有者です。環境省の通知では、解体で出た廃材の処理責任は工事を請け負った元請業者にあるのに対し、家の中に残された物の処理責任は建物の所有者にあり、解体を行う際には解体前に所有者が適正に処理する必要がある、とされています(平成30年6月22日付の通知)。実際には解体業者が引き受けてくれることもありますが、それは業者の側で別に手配が必要な作業で、解体工事の代金には含まれないのが基本です。

家財の処分費に補助金は出ますか?

解体の補助では、ほとんど出ません。当サイトが公式ページで確認した300市区町村の解体補助を家財の角度で読み直したところ、家財や残置物の処分費を補助の対象に含めていたのは鳥取市の1市だけでした(除却工事費の2分の1・上限60万円に加えて、残置物の処分費の2分の1・上限20万円。2026年7月22日確認)。逆に、対象外だと明記していた市は28ありました。ただし、解体とは別枠で家財の処分そのものに補助を出す市も7つ確認できています。

家財の処分にはいくらかかりますか?

荷物の量と地域で変わるため一律の額は言えませんが、自治体が家財処分に出している補助の上限から逆算すると目安が見えます。つくば市は費用の2分の1で上限10万円、新発田市は3分の2で上限10万円、鳥取市は2分の1で上限20万円です。補助率で割り戻すと、市が想定している家財処分費はおよそ15万円から40万円という計算になります。一軒まるごとで数十万円になることは珍しくない、という規模感です。

家財を残したまま解体を頼むと、どうなりますか?

断られるか、追加の費用がかかるかのどちらかになります。家庭から出る家財は、法律上は一般廃棄物にあたります。環境省の通知では、一般廃棄物にあたる残された物の処理を引き受ける側は、産業廃棄物処理業の許可を持っているだけでは足りず、市町村からの委託か一般廃棄物処理業の許可が必要だとされています。解体業者が自由に処分できる物ではない、というのが理由です。

費用を下げる方法はありますか?

順番があります。まず自分で運び出せる物を市のごみ収集に出す(家庭ごみとして出せるものは、処分費がいちばん安く済みます)。次に、家具・家電など量のある物を、粗大ごみの持ち込みや買い取りで減らす。そのうえで残った分を業者に頼みます。あわせて、お住まいの市に空き家バンク登録を条件とした家財処分の補助がないかを確認してください。解体の見積もりを取るときは、建物の解体費と家財の処分費を分けて書いてもらうと、どこを削れるかが見えます。

まとめ

  • 家の中の物を片づける責任は、建物の所有者にあります。 解体で出た廃材の処理責任は工事を請け負った業者、家の中に残された物は所有者、と国の通知で分けられています
  • 理由は、法律上の区分が違うから。 廃材は産業廃棄物、家庭から出た家財は一般廃棄物で、引き受ける業者に必要な許可が別です
  • 解体の補助では、まず出ません。 公式ページで確認した300市のうち、家財の処分費を補助の対象に含めていたのは鳥取市の1市だけでした
  • ただし別枠の制度はあります。 家財処分そのものへの補助が7市にあり、多くは空き家バンクへの登録が条件です
  • 費用の目安は、補助の上限から逆算しておよそ15万〜40万円。 実額は現地を見た見積もりでしか決まりません
  • 下げる順番は、自分で出す→粗大ごみ→売る→残りを頼む。 業者に頼む量が減れば、そのまま費用が減ります

※本記事の制度情報は、市区町村の制度については当サイトが2026年7月〜8月に各市の公式ページで確認した記録、国の通知については2026年8月2日に確認したものにもとづきます。補助金・助成金は年度や予算の状況で変更・終了されることがあります。申請前に必ず公式ページ・窓口で最新の条件をご確認ください。

参考情報(出典)

家の補助金ナビ編集部

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