頼むまえに

実家を解体するまえにやること——順番を戻せない3つと、そのほかの段取り

公開 2026年8月2日最終更新 2026年8月2日執筆 家の補助金ナビ編集部

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実家を解体すると決めた。では、何から手をつければいいのか——。

補助金のことも、業者のことも、片づけのことも、近所へのことも、全部いっぺんに気になります。しかも多くの方にとって、家を壊すのは一生に一度あるかどうかのことです。

この記事は、補助金の記事ではありません。順番の記事です。

結論から言うと、やることの大半は、順番が前後しても直せます。戻せないのは3つだけです。補助金の申請、工事の届出、そして解体後の登記。この3つには期限があり、過ぎると元に戻せません。

順番を1枚にまとめました。

先に結論

✓ ここが要点

戻せない3つには、期限があります

① 補助金の申請 — ほぼすべての市で工事の契約・着工のまえ。先に契約すると、対象の家でも受け取れません

② 建設リサイクル法の届出 — 床面積80平方メートル以上の解体は着手の7日前まで。しかも法律上の届出義務者は工事を頼んだ側です

③ 建物滅失登記 — こわした日から1か月以内。怠ると10万円以下の過料の対象です

そのほかのこと——片づけ、業者選び、ライフライン、挨拶——は、順番が前後しても直せます。まず3つの期限を押さえて、あとは動ける順に、で大丈夫です。

全体の順番

時系列にすると、次のようになります。

  1. 名義を確かめる

    登記簿の所有者が誰か。相続が済んでいるか。共有ならほかの共有者は誰か

  2. 市の窓口に相談する

    解体の補助があるか、対象になりそうか。受付が終わっていないか

  3. 業者に見積もりを頼む

    家の中まで見てもらう。補助を使うなら、申請に使う見積書が要ります

  4. 補助金を申請し、承認を待つ

    ここで工事の契約はまだしません。承認まで1〜2か月かかる市があります

  5. 契約する

    市の承認が出てから。届出を誰が出すかも、ここで決めます

  6. 家の中を片づける

    家財は所有者が処理するのが原則です。神棚・仏壇・書類はご自身で

  7. ライフラインを止める

    電気・ガス・電話・ネット。水道は業者に確認してから

  8. 届出・近隣への説明・標識の設置

    着手の7日前まで。区市町村の要綱がある地域は、説明の期日が別に決まっています

  9. 工事

    立ち会えるなら、初日と最終日を見ておくと安心です

  10. 滅失登記を申請する

    こわした日から1か月以内。ここまでで一区切りです

以下、つまずきやすいところだけ詳しく書きます。

戻せない3つ

① 補助金は、工事の契約のまえに申請する

空き家の解体に補助を出す市は多くありますが、ほぼすべての市で「工事の契約・着工のまえ」の申請が条件です。

そして承認までに時間がかかります。当サイトが公式ページで確認した記録では、神戸市は承認までの審査に約1か月、高崎市は2か月ほど、帯広市は事前の調査から承認まで最短でも2か月程度と書かれていました。

さらに、受付は年度の予算のわくで終わります。秋田市の令和8年度は、予算の上限に達したため2026年5月21日で新規の受付が終了しています(2026年7月17日確認)。

自分の市の制度は市区町村別の一覧助成金チェッカーで確認できます。制度の全体像は空き家の解体に補助金は出るのかにまとめました。

なお、補助金は工事が終わったあとの後払いです。工事代金は先に出ていきます。手元の資金が足りない場合の順番は解体費用が払えないときにまとめています。

② 届出の義務者は、業者ではなく「頼んだ側」です

ここは、知られていないところです。

建設リサイクル法では、床面積の合計が80平方メートル以上の建築物の解体工事について、発注者及び自主施工者が、工事に着手する日の7日前までに、分別解体等の計画を都道府県知事に届け出ることが義務づけられています(国土交通省の案内による)。

発注者とは、工事を頼んだ人——つまり住む人・所有者のことです。法律上の義務は、業者ではなくこちらに掛かっています

実務では、委任状を出して業者が代わりに手続きすることがほとんどです。ですが「業者がやってくれるはず」と双方が思っていると、着工の直前に止まります。契約のときに、届出は誰が出すのかを口に出して決めてください

なお、同じ法律で、受注した業者の側にも義務があります。工事を請け負う業者は、契約のまえに、分別解体等の計画について書面を交付して説明しなければなりません。この書面が出てこない業者は、その時点で確認したほうがよいということになります。

③ 滅失登記は、こわした日から1か月以内

工事が終わって更地になっても、登記簿の上ではまだ建物が存在しています。これを消すのが建物滅失登記です。

不動産登記法第57条には、こう書かれています。

建物が滅失したときは、表題部所有者又は所有権の登記名義人(中略)は、その滅失の日から一月以内に、当該建物の滅失の登記を申請しなければならない。

そして同法第164条で、この申請を正当な理由なく怠ったときは10万円以下の過料に処する、とされています。

過料の話より実務上こわいのは、放っておくと建物がないのに固定資産税の課税が続くことがある点と、土地を売るときに止まる点です。買主は建物の登記が残っている土地を買えません。

申請先は建物の所在地を管轄する法務局で、解体業者が出す取毀証明書などが必要になります。ご自身で申請することもできますし、土地家屋調査士に頼むこともできます。

名義の確認が、いちばん先です

補助金の申請書にも、解体の契約書にも、滅失登記の申請にも、「誰が」を書く欄があります。ここが決まっていないと、どれも進みません。

確認するのは3つです。

  • 登記簿の所有者は誰か — 亡くなった親のままになっていることがよくあります
  • 共有になっていないか — 兄弟の共有名義だと、共有者全員の同意を求める市がほとんどです(富山市は「複数のときは全員の同意が必要」、富士宮市は「共有名義の場合は権利者全員の同意が必要」と公式ページに書いています)
  • 抵当権などが残っていないか — 借入の担保の登記が残っていると対象外にする市があります(郡山市・霧島市など)

相続の登記が済んでいない場合、まずそこからになります。相続人の一人と連絡が取れずに止まっているときの進め方は、相続人が行方不明で遺産分割が進まないとき(決めるまえノート)で整理しています。

家の中の物は、業者に任せる物と任せない物があります

家の中の片づけには、はっきりした線引きがあります。

任せられないものは、通帳・権利証・保険証券などの書類、印鑑、写真、そして位牌・仏壇・神棚です。書類は解体の手続きそのものに必要になることがあり、いったん処分すると再発行に時間がかかります。

費用の話になるものが、家具・布団・家電・農機具などです。これらは国の通知で「残置物」と呼ばれ、処理責任は建物の所有者にあるとされています。解体費に含まれていないのが基本で、当サイトが確認した300市の解体補助でも、処分費が補助の対象だったのは1市だけでした。

くわしくは空き家の家財は解体の前に片づけないといけないのかにまとめています。

神棚・仏壇・井戸の扱いと、お祓いをするかどうかの考え方は実家の解体とお祓い・神棚・仏壇へ。

ライフラインの止め方には、順番があります

止める順番そのものより、水道だけ扱いが違うことを知っておいてください。

止めるもの 連絡先 気をつけること
電気 契約している電力会社 引き込み線の撤去が要るかどうかを伝える
ガス 契約しているガス会社 閉栓とメーターの取り外しに作業が要ります。早めに連絡を
プロパンガス 供給元の販売店 ボンベの引き取り日を決めます
電話・インターネット 各社 機器の返却が要ることがあります
水道 解体業者に先に確認 工事のあいだ、粉じんを抑える散水に使うことがあります

※ 表は横にスクロールできます

水道を先に止めてしまうと、業者が困ることがあります。止める時期は、業者に聞いてから決めてください

そのほか、浄化槽、エアコンの室外機、物置、庭木、庭石、ブロック塀も「誰がいつ処理するか」を見積もりの段階で決めておくと、当日の追加費用が出ません。ブロック塀については、撤去に別の補助がある市があります(外構・ブロック塀の補助)。

近所への挨拶と、掲示される標識

解体は、音・振動・ほこりが必ず出ます。近所への挨拶は「気持ち」の問題だと思われがちですが、区や市によっては要綱で範囲と期日が決められています

たとえば新宿区の要綱では、解体床面積の合計が80平方メートル以上の工事などについて、敷地境界から建物の高さの2倍・30メートルを超えない範囲の住宅・事業所へ、工事開始の15日前(木造は7日前)までに説明することとされています。標識の設置は工事開始の30日前(木造は15日前)まで。

範囲・時期・誰が回るかの決め方は、解体工事の近所への挨拶にまとめました。

工事が終わったあとにやること

  1. 取毀証明書などを受け取る

    滅失登記に使います。工事が終わったら、その場で確認してください

  2. 滅失登記を申請する

    こわした日から1か月以内。管轄の法務局へ

  3. 固定資産税の変化を確かめる

    建物の税はなくなりますが、土地の税が上がるのが普通です

  4. 跡地をどうするか決める

    売る・貸す・駐車場にする・そのまま持つ。市の補助を使った場合は跡地の条件が付くことがあります

跡地の使い道に条件を付けている市は、当サイトが確認した300市のうち75ありました。売却を制限する市、逆に売却を条件にする市の両方があります。安曇野市の空き家向けの解体補助は、解体後に敷地を第三者へ売却するため不動産事業者と契約することが条件で、自分で土地を使い続けたい方は対象外です(2026年7月31日確認)。

解体後に土地の固定資産税が上がる仕組みは家を解体すると固定資産税は6倍になるのかに、更地にする以外の選び方は空き家の処分は、解体だけが答えではありませんにまとめています。

つまずくのは、ここです

! ここに注意

① 業者と契約してから補助金に気づく。 これがいちばん多い取り逃しです。見積もりを取るのは自由ですが、契約のハンコは市の承認が出てからにしてください。

② 届出を「業者がやってくれる」と思い込む。 法律上の届出義務者は工事を頼んだ側です。委任するなら、契約のときに書面で決めてください。

③ 片づけの時間を短く見積もる。 補助の承認を待つ1〜2か月は、片づけに使える期間でもあります。遠方の実家なら、通える回数から逆算して予定を立ててください。

業者を選ぶときに確かめること

解体の補助は、見積書・工事前後の写真・処分の記録など、業者の協力がないとそろわない書類が必要です。市内の業者に限る市も多く、業者選びが補助の可否を左右します。

✓ ここが要点

見積もりのときに確かめる3つ

① 市の解体補助の対象になりそうですか(市内業者は制度をよく知っています。市内業者限定の市もあります)

② 建設リサイクル法の届出は、どちらが出しますか(委任するなら書面で)

③ 家財・庭木・ブロック塀まで含めた総額はいくらですか(補助の対象外になる費用も、先に見えるようにします)

1社の言い値では、金額も、補助への対応も比べられません。

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よくある質問

実家を解体するとき、何から始めればいいですか?

名義の確認からです。登記簿上の所有者が亡くなった親のままだと、補助金の申請でも解体の契約でも、誰が申請者・契約者になるのかが決まりません。共有になっている場合は、共有者全員の同意を求める市がほとんどです。名義がはっきりしたら、次は市の補助金の窓口へ。補助を使う場合、申請は工事の契約・着工のまえが原則で、承認までに1〜2か月かかる市があるからです。片づけと業者選びは、その並行で進めます。

解体の届出は、業者がやってくれるのではないのですか?

実務では業者が代わりに手続きすることが多いのですが、法律上の届出義務者は工事を頼んだ側です。建設リサイクル法では、床面積の合計が80平方メートル以上の建築物の解体工事について、発注者または自主施工者が、工事に着手する日の7日前までに都道府県知事へ届け出ることが義務づけられています。誰が出すのかを契約のときに決めておかないと、着工が遅れます。

解体したあと、登記の手続きは必要ですか?

必要です。不動産登記法第57条で、建物が滅失したときは、表題部所有者または所有権の登記名義人が、滅失の日から1か月以内に建物滅失登記を申請しなければならないと定められています。正当な理由なく怠った場合は10万円以下の過料の対象になります(同法第164条)。登記が残っていると、建物がないのに固定資産税の課税が続くことや、土地の売却で止まることがあります。

電気・ガス・水道は、いつ止めればいいですか?

電気・ガス・電話・インターネットは、片づけが終わって解体の日程が決まったら止めて問題ありません。ガスは閉栓とメーターの取り外しにガス会社の作業が要るため、早めに連絡してください。注意が要るのは水道です。解体工事のあいだ、粉じんを抑えるための散水に使うことがあります。止める時期は必ず解体業者に確認してから決めてください。プロパンガスのボンベ、浄化槽、エアコンの室外機なども、誰がいつ引き取るのかを決めておく必要があります。

近所への挨拶は、どこまで必要ですか?

気持ちの問題だと思われがちですが、区や市によっては要綱で範囲と期日が決められています。たとえば新宿区の要綱では、解体床面積の合計が80平方メートル以上の工事について、敷地境界から建物の高さの2倍・30メートルを超えない範囲の住宅や事業所へ、工事開始の15日前(木造は7日前)までに説明することとされています。まずはお住まいの市区町村に同じ決まりがあるかを確認し、そのうえで業者と誰がどこまで回るかを決めるのが確実です。

まとめ

  • 戻せないのは3つ。 補助金の申請は工事の契約・着工のまえ、建設リサイクル法の届出は着手の7日前まで、滅失登記はこわした日から1か月以内です
  • 届出の法律上の義務者は、工事を頼んだ側。 委任するなら、契約のときに誰が出すかを決めてください
  • いちばん先にやるのは名義の確認。 補助金も契約も登記も、ここが決まらないと進みません
  • 水道だけは、勝手に止めない。 工事中の散水に使うことがあります
  • 近所への挨拶は、区市町村の要綱で範囲と期日が決まっていることがあります。 気持ちの問題として済ませず、まず決まりを確認してください
  • 片づけの時間は、補助の承認待ちの1〜2か月に重ねられます

※本記事の制度情報は2026年8月2日時点で各公式ページ・法令情報を確認したものです。市区町村の制度は当サイトが2026年7月〜8月に公式ページで確認した記録にもとづきます。補助金・助成金や手続きの運用は年度や地域で変わることがあります。着手前に必ず公式ページ・窓口で最新の条件をご確認ください。

参考情報(出典)

家の補助金ナビ編集部

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