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擁壁の危険度——国のチェックシートは合計9.0点以上を危険性が高いと判定します。ただし点数を付ける前に外れる4つの型があります

公開 2026年8月12日最終更新 2026年8月12日執筆 家の補助金ナビ編集部

国土交通省は、自宅の擁壁が危険かどうかを住民が自分で測れるチェックシートを公開しています。周辺環境と傷みの状態をそれぞれ点数にして足し、合計が9.0点以上なら危険性が高い、というのが国の区切りです。

ただし、点数を付ける前に外れる型が4つあります。空石積み・増積み・2段擁壁・張出し床版付擁壁で、国土交通省はこれらを宅地の擁壁として適さないものとしています。測れなかったこと自体が答えになる、ということです。

自治体が独自の版を出していることもあります。横浜市の版は擁壁の種類そのものに点数を付けていて、大谷石を積んだ擁壁は4.0点から始まります。福岡市の版は建築確認に出す調査書なので、同じ5.0点でも意味が変わります。

この記事では、国のチェックシートの数え方を点数表ごと整理し、横浜市・福岡市・神奈川県・杉並区の版との違いを並べ、自分で測った点数と市の助成が使う判定が別ものであることまでを書きます。

先に結論

✓ ここが要点

国土交通省のチェックシートは、周辺環境の擁壁基礎点Aと、ひび割れなどの擁壁変状点Bを足した総評点で3段階に分けます。5.0点未満なら現状でほぼ安定、5.0点以上9.0点未満ならやや不安定、9.0点以上なら危険性が高いです。空石積み・増積み・2段擁壁・張出し床版付擁壁の4つと、高さ1メートル以下の擁壁は、点数を付ける前に対象外です。

対象外というのは、安全だから測らなくてよいという意味ではありません。4つの型については、国土交通省はこう書いています。

もし含まれていれば、本来、宅地の擁壁として適さないものです。現在、変状がない場合でも構造上の問題について専門家に相談することをお勧めします。

つまり、チェックシートで測れなかったこと自体が答えになります。

シートそのものは、国土交通省が無料で公開しています。盛土・宅地防災 我が家の擁壁チェックシート(案)のページに説明があり、本体のPDFは全16ページです。

点数表のほかに、水抜き穴の状態やクラックの入り方を描いた模式図が載っています。手元で測るときは、この本体を開きながら進めてください。この記事は、そのシートをどう読むかと、どこで取り違えやすいかを整理したものです。

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点数の付け方——AとBは足し算ですが、中は最大点だけ

チェックシートの数え方には、はじめて見ると戸惑うところが1つあります。項目の点数を全部足すのではなく、それぞれのまとまりの中で一番高い点だけを採る、という形です。

国土交通省のシートには、次のように書かれています。

A(擁壁基礎点)=〔①~③の内の最大点を採用します〕

B(擁壁変状点)=〔①~⑥の内の最大点を採用します〕

Aは周辺環境の3項目です。水抜き穴、水のしみ出し、排水施設を見て、いちばん高い点を1つだけ採ります。

Aの項目 状態 点数
①水抜き穴 擁壁上の地盤も含め排水良好である 0.0
水抜き穴はあるが、擁壁上の地盤に雨水が浸透しやすい 1.0
水抜き穴が設置されていない 2.0
②水のしみ出し 擁壁表面がかわいている 0.0
常に擁壁表面が湿っている 0.5
水がしみ出し・流出している 1.0
③排水施設 排水施設は良好である 0.0
排水溝にずれ、こわれている所がある 0.5
上に加え、クラックや目地から水がしみ出す 1.0
上に加え、水抜き穴の詰まり、破損がある 1.5

※ 表は横にスクロールできます

Aは最大でも2.0点にしかなりません。総評点の分かれ目が9.0点であることを考えると、危険性が高いという評価に届くかどうかは、ほぼBで決まります

水抜き穴については、国土交通省が数と大きさの目安も示しています。3平方メートルに1か所以上、内径75ミリメートル以上を満たしていない場合は、設置されていない場合と同じ2.0点です。

! ここに注意

排水溝に土砂がたまって雑草が伸びている、という状態は③の対象です。国土技術政策総合研究所の目視点検調査要領は、土砂堆積や雑草、排水溝のずれやクラック、沈下、破損といった変状から排水機能の障害を確認するとしています。草が生えているだけに見えても、水が本来の道を通っていない合図のことがあります。

同じ症状でも、擁壁の種類で点数が違います

ここが、このチェックシートのいちばん大事なところです。まったく同じ変状でも、擁壁の種類によって付く点数が違います。

Bの点数表は、練石積み・コンクリートブロック積み擁壁、重力式コンクリート擁壁、鉄筋コンクリート擁壁の3つに分かれています。傾斜と折損の項目を並べると、違いがはっきりします。

状態 練石積み・ブロック積み 重力式コンクリート 鉄筋コンクリート
傾斜・折損なし 0.0 0.0 0.0
わずかに前傾(後傾)している 5.0 4.5
全体が明らかに前傾(後傾)している 6.5 6.0 4.0
前傾(後傾)し、かつ途中に折損がみられる 9.0 8.5 8.0

※ 表は横にスクロールできます

ひび割れも同じで、擁壁中央付近の積石の目地部分に沿った横方向のクラックは練石積みで3.5点ですが、重力式コンクリートの継目のひらきは3.0点、鉄筋コンクリートでは2.5点です。

この差が効いてくる場面があります。Bの1項目だけで9.0点に届くのは、練石積み・コンクリートブロック積み擁壁の傾斜・折損(折損あり)だけです。重力式は8.5点、鉄筋コンクリートは8.0点なので、この2つはAの点が加わらないと9.0点になりません。

石を積んだ擁壁が厳しく採点されている、と読むこともできます。

Bの主な項目と、練石積み・コンクリートブロック積み擁壁での最も重い点数を並べます。

Bの項目 最も重い状態 点数
横クラック 目地部と積石自体にクラックがあり、開いている 6.5
縦・斜めクラック クラックを境に前後または上下にずれている 5.0
出隅部(コーナー部)のクラック 斜めのクラックがあり、ずれが生じている 5.5
水平移動 目地部に2センチメートル以上の前後のずれ 6.0
不同沈下(目地の開き) 目地部に2センチメートル以上の上下のずれか左右の開き 7.0
出隅部の開き 開きがさらに拡大し、前後又は上下にずれている 7.0
ふくらみ(はらみ出し) 全面へのふくらみが大きく、途中の積石に抜け落ち 8.0
傾斜・折損 明らかに前傾(後傾)し、かつ途中に折損がみられる 9.0

※ 表は横にスクロールできます

鉄筋コンクリート擁壁には、他の2つに無い項目が1つあります。鉄筋の腐食です。前面に広い範囲でクラックが出て、かぶりコンクリートの剥離と鉄筋の腐食が認められる状態で8.0点です。錆汁が出ているかどうかが目印になります。

なお、クラックの数え方には条件が付いています。

クラック(ひび割れ)は幅1mm以上のものとする。

風化と白い粉——寿命の代わりに見るもの

擁壁に決まった耐用年数はありません。国土交通省のチェックシートにも、築何年で危ないという書き方は出てきません。代わりに見るのが、傷み方の中身です。

国土技術政策総合研究所の目視点検調査要領は、専門の調査員が見る着眼点として、劣化障害と白色生成物障害の2つを挙げています。

劣化障害は表面の傷みです。練石積み・コンクリートブロック積み擁壁については、表面が風化により磨耗してざらざらになっている状態、さらに合わせ目の破損や表面の剥離等も目立つようになる状態、という順で進むとしています。コンクリート擁壁については、アルカリ骨材反応による亀甲状のクラックに触れています。

白色生成物障害は、擁壁の表面に白い粉のようなものが出てくる現象です。同要領は、クラックや漏水を伴う場合、擁壁の危険性が高いとしています。

白い跡だけを見て慌てる必要はありませんが、ひび割れや水のしみ出しと一緒に出ている場合は意味が変わります。住民向けのチェックシートには劣化障害と白色生成物障害の項目がないので、点数には出てきません。ここは専門家の目に任せる部分です。

大谷石のように石を積んだ擁壁については、同要領が別の見方を示しています。空石積み・大谷石積み擁壁は、表面の風化・摩耗、クラックの状況、擁壁のふくらみの状況を確認する、という形です。石が風化して痩せていくこと自体が、この型の傷み方になります。

横浜市の版では、種類そのものに点数が付きます

自治体が独自の版を作っている場合があります。国土交通省も、地方公共団体などが地域性により独自の事項を付加して使ってかまわないものだと明記しています。

横浜市の「あなたの擁壁は安全ですか?」は、石積み・ブロック積み擁壁に的をしぼった版です。国のシートと大きく違うのは、擁壁の種類そのものに点数が付いていることです。

擁壁の種類 点数
間知石積擁壁(練積み) 0.0
玉石積擁壁(空積み) 5.0
増積擁壁(増積みが1メートル未満) 5.0
増積擁壁(増積みが1メートル以上2メートル未満) 7.0
増積擁壁(増積みが2メートル以上) 9.0
大谷石積擁壁 4.0
ガンタ積擁壁 5.0

※ 表は横にスクロールできます

横浜市の総合評価も国と同じ5.0点と9.0点で区切られています。ここから読めることが2つあります。

1つは、増し積みが2メートル以上あると、それだけで9.0点に届くことです。ひび割れも膨らみも無くても、危険性が高いという評価になります。

もう1つは、大谷石を積んだ擁壁は4.0点から始まることです。排水施設が壊れていれば1.5点が加わって5.5点。水抜き穴が無ければ2.0点が加わって6.0点。どちらもやや不安定の側に入ります。

横浜市は、崖地に関するQ&Aでこの2つの型について直接答えています。

大谷石やガンタ石、玉石による擁壁は、現在の基準に適合しません。

増し積み擁壁は、法令上認められていません。

✓ ここが要点

点数が付くことと、基準に適合していることは別です。横浜市は大谷石積擁壁に4.0点という点数を付けたうえで、現在の基準には適合しないと案内しています。チェックシートが測っているのは今どれくらい危ないかであって、合法かどうかではありません。

なお、横浜市の版はコンクリートブロック積みの塀とコンクリート擁壁をチェックの対象外にしています。ブロック積みについては、もともと土を支えるのに適したものではないと書かれています。

ひび割れの幅の基準も国とは違います。横浜市は5ミリメートル以上です。同じ擁壁を国のシートと横浜市のシートで測ると、数えるひび割れの数が変わります。1枚のシートの中で最後まで測ってください。

高さは、目的ごとに区切りが違います

擁壁の危険な高さは何メートルからか、という問いには、1つの答えがありません。何のために区切るかで数字が変わるためです。

何のための区切りか 高さ 出典
我が家の擁壁チェックシートの対象 1メートル超(1メートル以下は対象外) 国土交通省
工作物の確認申請が要る 2メートル超 建築基準法施行令
杉並区の助成の対象 道路等に面する高さ0.8メートル以上、または高さ2メートル超 杉並区
福岡市のがけ条例の確認が要る 敷地の高低差3メートル超 福岡市

※ 表は横にスクロールできます

チェックシートが1メートル以下を外している理由は、シートの中に書かれています。

また、ここでは擁壁の高さが1m以下の宅地は、ほぼ安全なものが多いので、チェックの対象外としました。問題のある場合は別途専門家に相談して下さい。

1メートル以下なら安全、という意味ではありません。このシートでは測らない、という意味です。

擁壁を新しく造る側の手続きについては、擁壁の確認申請——高さ2メートルを超えると要りますで条文から整理しています。

自治体の版は、目的がそれぞれ違います

「擁壁 チェックシート」で検索すると、国のもの以外に自治体名の付いたものが並びます。中身も目的も同じではありません。

出しているところ 何のためのものか 段階
国土交通省 住民が自分で概略の危険度を知る 3段階(5.0/9.0)
横浜市 住民が自分で概略の危険度を知る(石積み・ブロック積みに限る) 3段階(5.0/9.0)
福岡市 建築確認の審査に出す調査書 2段階(5.0)
福岡県 建築のときに既存擁壁の安全性を確かめる考え方の資料 点数式ではない
神奈川県 住民が自分で点検する(種類別) 冊子・チェック項目式

※ 表は横にスクロールできます

福岡市のものは、他と性質が違います。建築確認の審査で敷地内の既存擁壁の安全性を確認する必要があるため、「既存擁壁外観状況報告書・チェックシート」を出す仕組みです。

自己所有用と隣地所有用の2種類があり、検査済証の有無を書く欄もあります。評価は2段階で、5.0点未満なら「現状において、緊急に改善を要する異常は見られません」、5.0点以上なら「緊急に改善を要する異常が見られます」です。

同じ5.0点でも、国と横浜市ではやや不安定という中間の評価ですが、福岡市では緊急に改善を要するという評価になります。点数だけを他のシートに持ち込むことはできません。

福岡県が出しているのは、住民が危険度を測るチェックシートではありません。「既存擁壁に近接する土地で建物を計画している皆様へ」という資料です。

敷地の周囲に既存擁壁がある場合、建物を建築する際には建築基準法第19条に基づき既存擁壁の安全性の確認やその他の対応などが必要になる、という説明から始まります。隣地の擁壁も含む、と書かれています。福岡市と同じく建築の側の資料です。

神奈川県は2026年5月29日に新しい「擁壁チェックシート」を作りました。記者発表資料によれば、能登半島地震などの擁壁被害を受けて、県が市町村と連携して自主点検の促進に取り組んできたものです。

共通のチェックシートと、ブロック積み・石積み・コンクリート造の種類別のチェックシートに分かれています。冊子は6月から市町村の窓口などに順次配架され、専門家による相談会は9月頃から県内各地で開かれる予定です。

杉並区は、2025年9月30日に区内で家屋・擁壁の倒壊事故があったことを受けて、同年10月7日に点検と維持管理の呼びかけを出しました。区が点検に使うよう案内しているのは、国土交通省の「我が家の擁壁チェックシート(案)」です。

✎ 私の調査メモ

編集部で国土交通省・横浜市・福岡市・神奈川県・杉並区の公式ページと配布資料(PDF)を取得し、点数表と評価の段階を1つずつ突き合わせました。点数はPDFの表からそのまま読み取り、表の並びが崩れないよう版面のまま抽出し直したうえで転記しています。神奈川県の冊子本体は文字が機械で読み取れない形式だったため、点数には使わず、県の公式ページと記者発表資料に書かれている範囲だけを載せています。

自分で測る点数と、専門家が使う判定は別の資料です

ここを取り違えると、遠回りになります。

住民向けのチェックシートとは別に、国土交通省は専門家向けの資料を出しています。国土交通省のページには、こう書かれています。

なお、既往の「宅地擁壁老朽化判定マニュアル(案)」は、これまで一定数の危険度判定が行われていることから公表を継続しますが、今後の宅地擁壁の健全度判定にあたっては、「宅地擁壁の健全度評価・予防保全マニュアル」を適用して下さい。

つまり、擁壁を判定するための資料は3つの層に分かれています。

資料 誰が使うか
我が家の擁壁チェックシート(案) 住民が自分で概略を知る
宅地擁壁老朽化判定マニュアル(案) 専門の調査員が危険度を判定する(公表は継続)
宅地擁壁の健全度判定・予防保全対策マニュアル これからの健全度判定に適用する

※ 表は横にスクロールできます

杉並区の助成の条件を読むと、どれが使われるかが分かります。

「宅地擁壁の健全度判定・予防保全対策マニュアル」(令和4年4月国土交通省)に基づく健全度判定で「低」または「中」と判定された擁壁、高さ2メートル超の空積み・増積み擁壁など、改善の必要があると認められるものが助成の対象となります。

自分で測った総評点は、助成の申請書に書く数字ではありません。自分の擁壁がどのあたりにあるかを知って、窓口に相談するかどうかを決めるための目安です。

擁壁の工事に使える補助については、擁壁の補助金——直す補助と、危険な場所から移る補助は別ものですで、横浜市・鎌倉市・町田市・北九州市の制度を比べています。

隣の擁壁が危ないときは

チェックシートは、自分の擁壁を測るための道具です。隣の家の擁壁が心配な場合、測ってもその先に進めません。

横浜市は、崖地の維持管理について次のように案内しています。

一般的に崖地の維持管理は、土地の所有者、管理者、占有者等に責任があります。

神奈川県も、擁壁を安全な状態に維持する責任は擁壁のある土地の所有者、管理者または占有者にあるとしたうえで、隣接地との境界問題などの民事のもめごとは当事者間で話し合って解決することになると案内しています。

誰に直す責任があるのか、崩れたときの賠償はどうなるのかは、擁壁は誰の責任かで民法と盛土規制法の条文から整理しています。

点数が高かったときの相談先

国土交通省のチェックシートは、総合評価が×または△の場合について、最寄りの自治体に相談するよう案内しています。まずは市区町村の建築や宅地の担当窓口です。

専門家に直接相談する道もあります。神奈川県は、一般社団法人地盤品質判定士会神奈川支部を紹介しています。

地盤品質判定士は住宅・宅地の安全と防災に貢献する専門家で、国土交通省から「宅地防災」分野で認定・登録された資格です。

同会の相談には条件が付いています。神奈川県のページによれば、相談はひとり1件で、メール等による簡易な相談は無料ですが、面談(リモートを含む)や現地での調査は有料です。また、個人が自ら所有している擁壁のみが対象で、法人が所有する擁壁や他人が所有する擁壁については相談できません。

横浜市も、詳細な確認をしたい場合は地質調査会社や専門家等に依頼するよう案内しています。

! ここに注意

擁壁の点数が高いことが分かった直後は、訪問販売の入りやすい時期でもあります。「無料で点検します」と訪ねてくる業者に、その場で契約書を書かないでください。国土交通省のチェックシートも横浜市のチェックシートも無料で公開されていて、自分で測れます。工事が要るかどうかは、まず市区町村の窓口に相談してから決めても遅くありません。

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よくある質問

擁壁が危険かどうかは、自分で調べられますか?

概略なら調べられます。国土交通省が「我が家の擁壁チェックシート(案)」を公開していて、周辺環境の3項目と、擁壁の変状の項目にそれぞれ点数が振ってあります。周辺環境の中で最も高い点を擁壁基礎点A、変状の中で最も高い点を擁壁変状点Bとして、A+Bを総評点とします。総評点が5.0点未満なら現状でほぼ安定した宅地擁壁、5.0点以上9.0点未満ならやや不安定な宅地擁壁、9.0点以上なら危険性が高い宅地擁壁です。ただし国土交通省自身が、このシートは概略を知るためのものなので、安全と出ても日常の点検を続けること、安全度が低いと出たらより詳しい調査をすることが適当だと書いています。

何点以上だと危険なのですか?

9.0点以上です。国土交通省のチェックシートは総評点で3段階に分けていて、9.0点以上は総合評価が×で、危険性が高い宅地擁壁とされます。5.0点以上9.0点未満は△で、やや不安定な宅地擁壁です。この2つに当たる場合は最寄りの自治体に相談するよう案内されています。横浜市の石積み・ブロック積み擁壁のチェックシートも同じ5.0点と9.0点で3段階に分けています。ただし福岡市が建築確認のために使っているチェックシートは2段階で、5.0点以上が「緊急に改善を要する異常が見られます」です。同じ5.0点でも、どのシートで測ったかによって意味が変わります。

擁壁の危険な高さは、何メートルからですか?

国土交通省のチェックシートは、高さ1メートル以下の宅地を対象外としています。理由は「擁壁の高さが1m以下の宅地は、ほぼ安全なものが多いので」で、問題がある場合は別途専門家に相談するようにと書かれています。これは1メートル以下なら安全という意味ではなく、このシートでは測らないという意味です。別の切り口として、建築基準法施行令が工作物の確認申請の対象に挙げているのは高さが2メートルを超える擁壁です。杉並区の助成は、道路等に面する高さが0.8メートル以上、または高さが2メートルを超える擁壁を対象にしています。目的ごとに区切る高さが違います。

大谷石や石を積んだ擁壁は危険ですか?

横浜市は、大谷石やガンタ石、玉石による擁壁は現在の基準に適合しないと案内しています。そのうえで、大雨や地震等により崩壊する危険性があるため建築物の建替え時等に合わせた築造替えを行うことが望ましいとしています。横浜市のチェックシートでは、擁壁の種類そのものに点数が付いていて、大谷石積擁壁は4.0点、ガンタ積擁壁と玉石積擁壁は5.0点です。ひび割れも膨らみも無い状態でも、この点数から始まります。国土交通省のチェックシートでは、空石積み擁壁は点数を付ける前に対象外とされていて、本来、宅地の擁壁として適さないものと書かれています。

増し積みした擁壁は、どう評価されますか?

横浜市は、増し積み擁壁は法令上認められていないと案内しています。横浜市のチェックシートでは増積擁壁にも点数が付いていて、増積みが1メートル未満なら5.0点、1メートル以上2メートル未満なら7.0点、2メートル以上なら9.0点です。総合評価の分かれ目が9.0点なので、増し積みが2メートル以上あると、他に何の変状が無くても危険性が高いという評価になります。国土交通省のチェックシートでは、増積み擁壁は2段擁壁・張出し床版付擁壁・空石積み擁壁と並んで、点数を付ける前に対象外とされています。

ひび割れがあります。どれくらいの幅から数えるのですか?

どのシートで測るかによって違います。国土交通省のチェックシートは「クラック(ひび割れ)は幅1mm以上のものとする。」と書いています。横浜市の石積み・ブロック積み擁壁のチェックシートは「ひび割れは幅 5mm 以上のものとする」です。同じ擁壁でも、国のシートでは数えるひび割れが、横浜市のシートでは数えないことになります。点数を出したあとで別のシートの基準と比べても意味がないので、1枚のシートの中で最後まで測ってください。

点数が高かったら、どこに相談すればよいですか?

まずお住まいの市区町村の建築や宅地の担当窓口です。国土交通省のチェックシートも、総合評価が×または△の場合は最寄りの自治体に相談するよう案内しています。専門家に直接相談したい場合、神奈川県は一般社団法人地盤品質判定士会神奈川支部を紹介していて、地盤品質判定士は住宅・宅地の安全と防災に貢献する専門家で国土交通省から「宅地防災」分野で認定・登録された資格だと説明しています。同会の相談は個人が自ら所有している擁壁のみが対象で、メール等による簡易な相談は無料ですが、面談や現地での調査は有料です。

自分で測った点数で、市の助成は受けられますか?

別のものと考えてください。杉並区の擁壁等安全対策工事等の助成は、「宅地擁壁の健全度判定・予防保全対策マニュアル」(令和4年4月国土交通省)に基づく健全度判定で「低」または「中」と判定された擁壁、高さ2メートル超の空積み・増積み擁壁などを対象としています。住民が自分で使う我が家の擁壁チェックシートとは別の資料です。国土交通省も、今後の宅地擁壁の健全度判定にあたっては健全度判定・予防保全対策マニュアルを適用するよう案内しています。自分で測るのは目安で、助成の判定は市の手続きの中で行われます。

まとめ

  • 国土交通省の我が家の擁壁チェックシート(案)は点数式で、総評点が5.0点未満なら現状でほぼ安定、5.0点以上9.0点未満ならやや不安定、9.0点以上なら危険性が高い
  • 総評点は擁壁基礎点Aと擁壁変状点Bの足し算だが、AとBそれぞれの中では最大点を1つだけ採る。Aは最大2.0点なので、評価はほぼBで決まる
  • 空石積み・増積み・2段擁壁・張出し床版付擁壁は点数を付ける前に対象外で、本来、宅地の擁壁として適さないものとされている。測れなかったこと自体が答えになる
  • 高さ1メートル以下も対象外。ただしこれは安全という意味ではなく、このシートでは測らないという意味
  • 同じ変状でも擁壁の種類で点数が違う。1項目だけで9.0点に届くのは、練石積み・コンクリートブロック積み擁壁の傾斜・折損だけ
  • 横浜市の版は擁壁の種類そのものに点数を付ける。増積みが2メートル以上なら9.0点、大谷石積擁壁は4.0点から始まる
  • 横浜市は大谷石・ガンタ石・玉石の擁壁について現在の基準に適合しない、増し積み擁壁について法令上認められていないと案内している
  • 同じ5.0点でも意味が違う。国と横浜市ではやや不安定だが、福岡市の建築確認用のシートでは緊急に改善を要する異常
  • 自分で測る点数と、専門家が使う健全度判定は別の資料。杉並区の助成は健全度判定・予防保全対策マニュアルによる判定を条件にしている

※本記事の制度情報は2026年8月12日時点で各公式ページを確認したものです。補助金・助成金は年度や予算の状況で変更・終了されることがあります。申請前に必ず公式ページ・窓口で最新の条件をご確認ください。

参考情報(出典)

家の補助金ナビ編集部

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