賃貸・分譲マンション・実家の住宅改修——判定を分けているのは「住民票の住所」と「所有者の承諾書」の2つだけです
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親を呼び寄せて同居を始める。あるいは、借りている家に手すりを付けたい。分譲マンションの玄関前に段差がある——住まいの形はさまざまですが、介護保険の住宅改修が使えるかどうかを分けているのは、実は2つだけです。
結論から言うと、①本人の住民票がその家にあるかと、②家が本人の持ち物でない場合に所有者の承諾書があるか。この2つです。
持ち家か賃貸かは、それ自体では分かれ目になりません。借りている家でも、分譲マンションでも、住宅改修は使えます。
この記事では、相模原市・八王子市・泉佐野市の公式資料(確認日2026年8月3日)で確認した内容だけで、住まいの形ごとの判定を整理します。
先に結論
✓ ここが要点
分かれ目は2つだけ——住民票の住所と、所有者の承諾書。 賃貸でも使えます。 所有者の承諾書があれば対象です。 住民票を移していない家は対象外。 親を呼び寄せた場合は、住民票の手続きが先です。 承諾書は、夫や妻の名義でも必要。 共有名義ならすべての共有者、名義変更がまだなら相続の権利を持つ代表者の分が要ります。 原状回復の費用は対象外です。 退去のときに元に戻す工事には使えません。
分かれ目その1|住民票がどこにあるか
まず、いちばん多くの人が引っかかるところです。
八王子市の手引きには、こう書かれています。
本人が居住する介護保険被保険者証の住所(住民票上の住所)地の住宅が対象になります。したがって、一時的に身を寄せている住宅や住民票を移していない住宅は対象となりませんし、本人が入院・入所中である場合も居住していないので対象にはなりません
相模原市も同じで、住民票を残したまま他の市で暮らしている方の住宅改修は「住民登録地の住宅改修のみ対象となるため、支給対象外です」としています。
一方、こうも書いています。
介護保険の住宅改修は、住民登録地のみが対象となりますので、子の住宅に住民登録地が移されていれば、介護保険の住宅改修の支給対象となります。
つまり、住民票を移すかどうかで結果が変わります。
| 状況 | 判定 |
|---|---|
| 実家に住民票があり、実家を直す | 対象 |
| 娘・息子の家に住民票を移して、その家を直す | 対象 |
| 住民票は実家のまま、子の家に身を寄せている。子の家を直す | 対象外 |
| 住民票は実家のまま、実家を直す(本人は入院中) | 退院の予定が明らかなら可(下でくわしく) |
※ 表は横にスクロールできます
(相模原市・八王子市の公式資料より。確認日2026年8月3日)
! ここに注意
呼び寄せて同居を始めるときは、住民票の手続きを先に済ませてから工事の相談に入るのが確実です。転居すると20万円の枠も新しくなるため(転居リセット)、この順番は金額の面でも意味があります。条件は20万円の枠がもう一度使える2つの場合にまとめました。
なお、住民票をすぐには移せない場合の扱いも用意されています。相模原市は、転居前の住宅を売却しないと住民登録が移せない場合について、工事のまえの申請書類に転居前と転居後の住所を両方書き、工事のあとの申請は住民登録を移してから行うよう案内しています。引っ越し先を先に直しておく場合も、工事のまえの申請では入居先と現住所を併記し、工事のあとの申請は入居先の住所で行う、としています。
先に工事をしたい事情があるなら、市の窓口に「住民票がまだ移せない」と伝えて相談してください。 道が用意されています。
分かれ目その2|所有者の承諾書
家が本人の持ち物でない場合、所有者の承諾書が要ります。ここには実家を直すときに効く条件が並んでいます。
八王子市の手引きから、そのまま引用します。
改修する住宅が利用者本人の所有ではない場合に必要です。また、共有名義の場合、すべての共有者の承諾書が必要です。所有者が死亡し、名義変更等が行われていない場合は、相続の権利を有する代表者の承諾書が必要です。
3つ目が重要です。父が亡くなったあと名義がそのままになっている実家は、決して珍しくありません。この場合、相続の権利を持つ代表者の承諾書が要ります。
そして相模原市は、もう1つ念を押しています。
夫又は妻名義の建物でも承諾書は必要ですか。……夫婦間であっても必要です。
配偶者の名義でも承諾書が要る、ということです。ここは省略できません。
書式については、相模原市が市のホームページに掲載している賃貸借用の承諾書か、住宅の所有者が発行する模様替え承諾書など、改修を許可する旨が書かれた書類の提出を求めています。市営住宅や賃貸物件の場合も同じ扱いです。
! ここに注意
承諾書は、集めるのに時間がかかることがあります。共有名義で相続人が複数いる場合、連絡を取るところから始まるためです。工事の日程を決める前に、誰の承諾書が要るのかを確認しておいてください。 ここで止まって着工が遅れる例があります。
賃貸・分譲マンションの共用部分
「うちは専用部分じゃないから無理だ」と考える方が多いところですが、条件つきで対象になる場合があります。
賃貸アパートの共用部分について、相模原市はこう書いています。集合住宅の場合、一般的には本人の専用の居室内に限られると考えられるが、洗面所やトイレが共同となっている場合など本人の通常の生活領域と認められる特別な事情により共用部分の住宅改修が必要であれば、住宅の所有者の承諾を得て行うことは可能であり、支給対象となる。
ただし続けて、こうも書かれています。「住宅の所有者が恣意的に、当該高齢者に共用部分の住宅改修を強要する場合も想定されるため、理由書に記載されている高齢者の身体状況、生活領域、希望等に応じて判断します」。
大家さんが直したい場所を、入居者の介護保険で直させることを防ぐための一文です。だからここでも理由書の中身が効きます。
分譲マンションの共用部分については、相模原市は専用部分が一般的としたうえで、マンションの管理規約や他の所有者の同意があれば共用部分の住宅改修も支給対象とすることができるとしています。この場合の同意とは、管理組合名で記載した承諾書のことです。
廊下の手すりやエントランスの段差など、共用部分にあたるものは、まず管理組合、次に市の窓口という順番で相談してください。
なお、ケアハウス(軽費老人ホーム)については、相模原市は居宅部分(専用部分に限り、廊下などの共用部分は除く)は制度上住宅改修が可能としつつ、居室はそもそも高齢者の利用に適したものになっているはずで一般的には想定していない、としています。ただし体の状況により手すりの取付けなど個別の対応が必要な場合は対象になる、とも書かれています。
母屋と離れは、どう判定されるのか
サジェストによく出る組み合わせですが、「母屋と離れ」を名指しで扱った記述は、今回確認した3市の資料の中には見当たりませんでした。
ここから言えるのは、原則にあてはめて考えるしかない、ということです。判定の基準は住民登録の住所と、実際に生活している場所です。相模原市が施設入所者の外泊について「生活の実態が自宅にない」ことを理由に対象外としているように、書類上の住所と、日々の暮らしの場が一致しているかが見られています。
離れで寝起きしている、母屋の台所とトイレを使っている、といった実際の動きは、理由書に書ける内容です。相模原市は理由書に本人の日常生活上の動線を書くよう求めており、図面についても「対象者の日常生活において、細切れの動線はあり得ませんので、手すりや段差の解消等が必要な理由が読み解ける範囲で作成してください」としています。
母屋と離れをまたいで生活しているなら、その動線ごと図面に書く。 これが現実的な進め方になります。ただし判断は市区町村にありますので、着工の前に窓口で確認してください。
夫婦2人とも要介護のとき
同じ家に、対象になる方が2人いる場合です。
枠は1人につき20万円ずつありますが、同じ工事に重ねて使うことはできません。
相模原市は、同じ住宅で複数の方が住宅改修を行う場合、それぞれに意味のある範囲を確定し、その範囲が重複しないように行う必要があるとしたうえで、「階段に手すりを設置する工事について、同一の手すりに対して複数の被保険者が申請することはできません」としています。
泉佐野市は分け方の例を挙げています。夫は浴室の手すりの取付け、妻は和式から洋式への便器の取替え、というように、それぞれの必要性に応じて工事を検討してください、と。
玄関から道路までの通路をスロープにする工事についても、相模原市は図面上で分割して夫婦2人で同時に申請することはできず、共用部分の改修はどちらか一方のみが申請する、としています。
2人分で40万円の工事ができる、と考えると計画が崩れます。 分けられる工事かどうかを、ケアマネジャーと先に整理してください。
退去のときの費用は出ません
最後に、賃貸で気をつける点です。
退去するときの原状回復(元に戻す工事)の費用は、住宅改修の対象外です。相模原市・泉佐野市とも同じ扱いでした。
八王子市の手引きも、改修後に状況が変わって不要になった場合、取り外すときの費用は介護保険から支給できないとしたうえで、賃貸住宅で住宅改修を行う場合は退去時の原状復帰を条件とされる場合がある、と注意を促しています。
そのうえで、工事の要らない福祉用具という選択肢も示しています。床や壁に固定しない手すりやスロープは、安定度では住宅改修に劣ることもあるが、状況に合わせた着脱が容易という利点がある、と。
賃貸で、住む期間が長くないと分かっている場合は、住宅改修と福祉用具のどちらが合うかをケアマネジャーに相談してみてください。手すりの工事とレンタルの使い分けは手すりの取り付けに補助金は出る?にまとめています。
どの工事が対象になるかは介護保険の住宅改修で「対象外」になる工事を、お住まいの市の上乗せは市区町村別の介護リフォームのページをご覧ください。
よくある質問
賃貸住宅でも介護保険の住宅改修は使えますか?
使えます。本人の住民票がその家にあり、住宅の所有者の承諾を得られることが条件です。相模原市は、市営住宅や賃貸物件など家族以外の方が所有している場合、市のホームページに掲載されている賃貸借用の承諾書か、住宅の所有者が発行する模様替え承諾書など、改修を許可する旨が記載された書類の提出を求めています。なお、退去するときの原状回復(元に戻す工事)の費用は、相模原市・泉佐野市とも住宅改修の対象外としています。
承諾書は、どんなときに必要ですか?
改修する住宅が本人の持ち物ではない場合です。八王子市は、共有名義の場合はすべての共有者の承諾書が必要とし、所有者が亡くなって名義変更などが行われていない場合は相続の権利を有する代表者の承諾書が必要としています。実家を直す場合にとくに関わってきます。また相模原市は、夫または妻の名義の建物であっても承諾書は必要としています。夫婦間だから要らない、ということにはなりません。
分譲マンションの共用部分も対象になりますか?
条件つきで対象になる場合があります。相模原市は、専用部分が一般的としたうえで、マンションの管理規約や他の所有者の同意があれば共用部分の住宅改修も支給対象とすることができるとしています。この場合の同意とは、管理組合名で記載した承諾書のことです。賃貸アパートの共用部分についても、洗面所やトイレが共同になっているなど本人の通常の生活領域と認められる特別な事情があり、所有者の承諾を得られれば支給対象になるとしています。まず管理組合と市の窓口に相談してください。
親が娘の家に身を寄せています。その家を直す場合は対象になりますか?
住民票をその家に移していれば対象になります。相模原市は「介護保険の住宅改修は、住民登録地のみが対象となりますので、子の住宅に住民登録地が移されていれば、介護保険の住宅改修の支給対象となります」としています。逆に、住民票を残したまま他の市で暮らしている場合は支給対象外です。八王子市も、一時的に身を寄せている住宅や住民票を移していない住宅は対象にならないとしています。工事の前に、住民票がどこにあるかを確認してください。
夫婦2人とも要介護です。20万円ずつ使えますか?
枠は1人ずつありますが、同じ工事に重ねて使うことはできません。相模原市は、同じ住宅で複数の方が住宅改修を行う場合、それぞれに意味のある範囲を確定し、その範囲が重複しないように行う必要があるとし、同一の手すりに対して複数の方が申請することはできないとしています。泉佐野市は、夫は浴室の手すり、妻は和式から洋式への便器の取替え、というように分ける例を挙げています。玄関から道路までの通路をスロープにする工事についても、相模原市は図面上で分割して夫婦2人で同時に申請することはできず、どちらか一方が申請するとしています。
まとめ
- 判定を分けているのは2つだけ。 住民票の住所と、所有者の承諾書です
- 賃貸でも分譲マンションでも使えます。 持ち家かどうかは、それ自体では分かれ目になりません
- 住民票を移していない家は対象外。 呼び寄せるなら、住民票の手続きが先です
- 承諾書は、夫や妻の名義でも必要。 共有名義ならすべての共有者、名義変更がまだなら相続の権利を持つ代表者の分が要ります
- 共用部分も条件つきで対象になります。 分譲マンションは管理規約か管理組合の承諾書、賃貸は所有者の承諾と特別な事情が必要です
- 母屋と離れは、生活の動線ごと理由書と図面に書く。 名指しの記述は3市の資料に見当たりませんでした
- 夫婦2人分で40万円にはなりません。 同じ工事に重ねて使うことはできません
- 原状回復の費用は対象外です。 住む期間が長くないなら、福祉用具という選択肢もあります
※本記事の制度情報は、各市の公式資料を2026年8月3日に確認したものです。住まいの形ごとの取扱いは市区町村ごとに異なります。対象になるかどうかの最終的な判断は市区町村にあります。制度は年度や運用の見直しで変更されることがありますので、申請前に必ずお住まいの市区町村の公式ページ・窓口でご確認ください。
参考情報(出典)
- 介護保険 住宅改修のQ&A 令和6年4月改定版(相模原市)(確認日 2026-08-03)
- 介護保険・高齢者自立支援 住宅改修の手引き(八王子市 福祉部介護保険課)(確認日 2026-08-03)
- 介護保険住宅改修 Q&A 泉佐野市版(泉佐野市)(確認日 2026-08-03)
- 制度の全体像=介護保険の住宅改修の使い方/お住まいの市の上乗せ=市区町村別の介護リフォームのページ
家の補助金ナビ編集部
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