調べる

家の解体費用と確定申告——税金が戻るかどうかは「なぜ壊したか」で決まります

公開 2026年8月11日最終更新 2026年8月11日執筆 家の補助金ナビ編集部

解体が終わってしばらくすると、こんな疑問が湧いてきます。「あの解体費用、確定申告で何かにならないのか」。

150万円、200万円と払ったのだから、当然の疑問です。そして答えは、費用の額ではなく壊した理由で決まります。

結論から言うと、解体しただけでは、申告の義務も、受けられる控除もありません。税金の計算に解体費用が登場するのは、売った・貸していた・補助金をもらったの3つの場合だけです。

この記事では、国税庁タックスアンサーと所得税法の原文をもとに、「自分はどれに当たるのか」を場合分けで整理します。なお、当サイトは税の専門家ではないため、この記事は公式情報の整理までです。個別の判断は税務署・税理士に確認してください。

先に結論

✓ ここが要点

売るために壊した — 取壊し費用と建物の損失額は譲渡費用になります(国税庁No.3255)。売った利益にかかる税金が減ります

貸家・アパートを壊した — 不動産所得の必要経費になります(所得税法第51条)。事業の規模で差し引ける範囲が変わります

住むために壊した(建て替えなど) — どの経費にもなりません。だからこそ、壊すまえの補助金の確認が効きます

無料・登録不要入力は保存されません

お住まいの市区町村で使えるかは、郵便番号だけで確認できます

市区町村の制度と国の制度を1画面にまとめて表示します。外壁・外構・解体・介護など、工事の種類を切り替えて確認することもできます。

お住まいの市区町村の制度を調べる

公式ページで確認した情報のみ(各項目に確認日つき)

早見表——なぜ壊したかで、行き先が決まります

壊した理由 税の扱い 根拠
土地を売るために壊した 譲渡費用になる 国税庁タックスアンサーNo.3255
買った土地の古家を、おおむね1年以内に壊した 土地の取得費になる 国税庁タックスアンサーNo.3252
貸家・アパートを壊した 不動産所得の必要経費になる 所得税法第51条
自宅の建て替え・住むための解体 どの経費にもならない 譲渡費用の定義に当たらないため
相続した空き家を壊して売る 特別控除の可能性 国税庁タックスアンサーNo.3306

※ 表は横にスクロールできます

以下、1つずつ根拠を見ていきます。

売るために壊した——譲渡費用になります

土地を売るとき、税金は「売った金額」そのものではなく、そこから費用を差し引いた利益にかかります。売った利益にかかる税金の区分を譲渡所得といい、計算のかたちはこうです。

売った金額 −(取得費 + 譲渡費用)− 特別控除 = 課税される利益

解体費用が入るのは「譲渡費用」の枠です。国税庁タックスアンサーNo.3255は、まず定義をこう書いています。

譲渡費用とは、土地や建物を売るために直接かかった費用のことです。

そして例示の中に、解体がはっきり出てきます。

(4)土地などを売るためにその上の建物を取り壊したときの取壊し費用とその建物の損失額

ポイントは2つあります。1つ目、取壊し費用だけでなくその建物の損失額も含まれること。壊した建物にまだ帳簿上の価値が残っていた場合、その残りも譲渡費用に足せるという意味です。2つ目、あくまで売るために壊した場合に限られるということ。同じページには、こうも書かれています。

したがって、修繕費や固定資産税などその資産の維持や管理のためにかかった費用、売った代金の取立てのための費用などは譲渡費用になりません。

売るまでの間の草刈りや固定資産税は入らない、ということです。解体業者の領収書と契約書は、申告の根拠になるので売却の翌年の申告まで保管してください。

なお、相続した空き家を壊して売る場合は、譲渡費用とは別に最高3,000万円の特別控除が使える可能性があります。昭和56年5月31日以前に建築された家であることなどの条件があり、くわしくは空き家の処分は、解体だけが答えではありません——自治体が「まず売る」を先に置いている理由に整理しています。

国税庁タックスアンサーNo.3306では、令和6年1月1日以後の譲渡なら、譲渡のあと翌年2月15日までの取壊しでも対象になり得ることが示されています。

買ってすぐ壊した——土地の取得費になります

順番が逆のケースもあります。古家つきの土地を買って、家を壊して使う場合です。

国税庁タックスアンサーNo.3252は、土地の取得費の例としてこう書いています。

(6)建物付の土地を購入して、その後おおむね1年以内に建物を取り壊すなど、当初から土地の利用が目的であったと認められる場合の建物の購入代金や取壊しの費用

この場合、解体費用はその年の経費になるのではなく、土地の取得費に積まれます。効いてくるのは、将来その土地を売ったときです。取得費が大きいほど売った利益が小さく計算されるので、税金が減ります。解体の領収書を「将来売るときのための書類」として長期保管しておく、というのがここでの実務です。

貸家・アパートを壊した——必要経費になります

人に貸していた家やアパートを壊した場合は、不動産所得の計算に入ってきます。根拠は所得税法第51条(資産損失の必要経費算入)です。

条文は、事業として営む規模かどうかで扱いを分けています。

事業的規模の場合(第1項)——取りこわしなどで生じた損失の金額は、その年の必要経費に算入します。赤字になれば他の所得との通算に進む道もあります。

それ以外の規模の場合(第4項)——同じく必要経費になりますが、その年の不動産所得の金額が上限です。上限を超えたぶんは切り捨てになります。

事業的規模かどうかの判定にはいわゆる「5棟10室」の目安がありますが、個別の当てはめはまさに税務署・税理士の領分です。貸家の解体は金額も大きいので、壊した年のうちに相談しておくことをおすすめします。

住むために壊した——どの経費にもなりません

いちばん多いケースを、正直に書きます。

自宅の建て替え、実家を壊して更地にして持ち続ける——売るためでも、貸すためでもない解体の費用は、税金の計算のどこにも入りません。譲渡費用の定義(「売るために直接かかった費用」)に当てはまらず、貸していないので必要経費の枠もないからです。

だからこそ、この場合に実質の負担を下げる道は、税金ではなく壊すまえの補助金です。市区町村の解体補助は、工事の契約・着工のまえの申請が原則なので、「壊してから探す」では間に合いません。お住まいの市の制度は空き家の解体に補助金は出る?補助率1/3〜4/5・上限20万〜160万円、市でこれだけ違う——公式ページで確認した「解体補助」の正直な地図から確認できます。

なお、壊したあとの固定資産税の変化(住宅用地の特例が外れる話)は税金の話ですが確定申告とは別の仕組みです。家を解体すると固定資産税は6倍になる?——実際は「3〜4倍程度」が多い理由と、放置した空き家でも上がる新ルールの正直な話に分けて書いています。

補助金をもらったとき——一時所得の枠で考えます

見落とされがちなのが、逆方向の話です。市の解体補助金を受け取った場合、それは収入として扱われることがあります。

個人が受け取る、働いた対価でも資産を売った対価でもない一時的な収入は、一時所得という区分で整理するのが基本の考え方です。国税庁タックスアンサーNo.1490の計算式はこうです。

総収入金額 - 収入を得るために支出した金額(注) - 特別控除額(最高50万円) = 一時所得の金額

課税の対象になるのは、さらにこの2分の1です。この式に当てはめると、ほかに一時所得がない年に受け取った補助金が50万円以下なら、一時所得の金額は0になる計算です。読者のみなさんが自分で検算できるように式のまま書きました。

ただし、次の場合は話が変わります。

  • 補助金が50万円を超える場合(上限100万円超の手厚い市もあります)
  • 同じ年にほかの一時所得がある場合(生命保険の一時金・満期返戻金など)

また、年末調整を受けている会社員には「20万円」の線があります。国税庁タックスアンサーNo.1900では、給与や退職金以外の各種の所得金額の合計額が20万円を超える人は確定申告が必要とされています。

注意点として、この線は所得税の話で、住民税には同じ仕組みがありません。所得税の申告が不要でも、市への住民税の申告が必要になることがあるので、お住まいの市の案内も見てください。

補助金がどの所得に当たるかの最終判断は、制度の中身によります。受け取った年の申告時期のまえに、税務署に一度確認するのが確実です。

よくある質問

家を解体しただけで、確定申告は必要ですか?

解体そのものに申告の義務はなく、解体費用だけで受けられる控除もありません。申告に関係するのは、①解体した土地を売った(譲渡所得の計算で解体費用を差し引ける場合があります)、②その家を貸していた(不動産所得の必要経費になる場合があります)、③解体で市の補助金を受け取った(一時所得として申告が必要になる場合があります)、の3つの場合です。どれにも当てはまらない、住むための建て替えなどの解体は、税金の計算に出てきません。

土地を売るために家を壊しました。解体費用は経費になりますか?

譲渡費用になります。国税庁タックスアンサーNo.3255は、譲渡費用の例として「土地などを売るためにその上の建物を取り壊したときの取壊し費用とその建物の損失額」を挙げています。売った金額から取得費とあわせて差し引けるため、売った利益にかかる税金が減ります。解体業者の領収書は申告まで保管してください。なお、同じページには修繕費や固定資産税などの維持管理の費用は譲渡費用にならないことも書かれています。

自宅を建て替えるための解体費用は、何かの控除になりますか?

なりません。国税庁の定義では、譲渡費用は「土地や建物を売るために直接かかった費用」です。売るためではなく住むために壊した費用は、譲渡費用にも必要経費にも当てはまりません。住宅ローン控除は建てた家の借入れに対する制度で、解体費用そのものを控除する仕組みではありません。確定申告で使えないぶん、解体の段階で市の補助金を確認しておくことが、実質の負担を下げるほぼ唯一の道です。

解体の補助金を受け取ったら、税金はかかりますか?

一時所得として整理するのが基本の考え方です。一時所得の金額は、総収入金額から、収入を得るために支出した金額と特別控除額(最高50万円)を差し引いて計算し、課税対象になるのはさらにその2分の1です。この式に当てはめると、ほかに一時所得がなく補助金が50万円以下なら、一時所得の金額は0になる計算です。ただし補助金の額が大きい場合や、生命保険の一時金など他の一時所得がある年は課税が生じることがあります。個別の扱いは税務署か税理士に確認してください。

会社員です。申告が必要かどうかの線はどこですか?

年末調整を受けた給与所得者の場合、国税庁タックスアンサーNo.1900では、給与や退職金以外の各種の所得金額の合計額が20万円を超える人は確定申告が必要とされています。国税庁の案内では、一時所得は、その所得金額の2分の1に相当する金額を他の所得と合計して税額を計算するとされています(No.1490)。つまり20万円と見くらべる金額も、特別控除と2分の1を経たあとの数字になります。なお、この20万円の線は所得税の話で、住民税には同じ仕組みがないため、市への申告が別に必要になることがあります。お住まいの市の案内も確認してください。

まとめ

  • 解体しただけでは、申告も控除もありません。 税金に関係するのは、売った・貸していた・補助金をもらった、の3つの場合です
  • 売るために壊したなら譲渡費用。 取壊し費用と建物の損失額を、売った利益から差し引けます(No.3255)
  • 買ってすぐ壊したなら土地の取得費。 効くのは将来売るときです(No.3252)
  • 貸家の解体は必要経費。 事業的規模かどうかで差し引ける範囲が変わります(所得税法第51条)
  • 住むための解体は、どの経費にもなりません。 実質の負担を下げるのは、壊すまえの補助金の確認です
  • 補助金を受け取ったら一時所得の枠で確認を。 特別控除は最高50万円、会社員は20万円の線と住民税の申告に注意
  • 領収書と契約書は捨てないでください。 売却の予定がなくても、扱いが変わったときの唯一の証拠になります

壊したあとの手続きでは、建物の登記を閉じる建物滅失登記も残っています。固定資産税の課税明細書は登記や税務の基礎資料になるので、あわせて家を解体したあとの建物滅失登記——自分でできるのか、費用はいくらか、未登記の家はどうするのかもどうぞ。

※本記事の税制情報は2026年8月11日時点で国税庁タックスアンサーと所得税法の原文(e-Gov法令検索)を確認し、一般的な仕組みの範囲で整理したものです。税制は改正されることがあり、個別の事情で扱いが変わります。実際の申告は、必ず税務署・税理士・国税庁の最新の公式情報でご確認ください。

参考情報(出典)

家の補助金ナビ編集部

うちの自治体で出るか、先に調べる

外壁塗装・窓・断熱などの住宅リフォームで使える補助金を、工事のまえに調べるための情報サイトです。制度の情報は国・自治体の公式ページで確認し、確認日を明記して執筆しています。制度の変更・誤りを見つけた場合は運営者情報の連絡先までお知らせください。

このページはアフィリエイト広告(PR)を含みます。掲載基準