親のお金で実家をリフォームすると、贈与税がかかるのは「親」の側です
リフォームの費用を親が出したときの贈与税は、家の名義を持っている側にかかります。お金を出した人ではありません。
ですので、親名義の実家を子のお金で直すと、贈与を受けたことになるのは親です。向きが直感と逆になるのは、工事でできたものが親の家の一部になるからです。
避ける道はあります。持分を移して共有にする。 ただし、その持分の移転にも税の話が続きます。
ここでは、誰から誰への贈与になるのか、非課税になる2つの道、その条件と落とし穴、そして申告の期限を、国税庁の公表資料で並べます。
先に結論
✓ ここが要点
- 親名義の家に子がお金を出すと、贈与税がかかるのは親の側です(国税庁 No.4557)
- 理由は、増築部分が建物の所有者のものになるから
- 持分を親から子へ移して共有にすれば、贈与税はかかりません
- ただしその移転は親から子への譲渡で、譲渡利益が出れば譲渡所得の対象。居住用財産の特例は使えません
- 非課税の道は2つ——直系尊属からの住宅取得等資金(省エネ等住宅1,000万円/それ以外500万円)と夫婦の配偶者控除(最高2,000万円)
- 配偶者控除が使えるのは「増築」まで。 塗装・屋根・水回りのように床面積が変わらない工事は対象外です(通達21の6-4)
- 婚姻期間は端数を切り上げません。 19年を超え20年未満なら使えません(通達21の6-7)
- 住宅取得等資金の非課税は、自己が所有し、かつ居住している家屋の増改築等が条件。親名義の家には使えません
- 工事費は100万円以上、増改築等後の登記簿上の床面積は40平方メートル以上240平方メートル以下
- どちらの特例も、申告することが適用の条件です(翌年2月1日〜3月15日)
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市区町村の制度と国の制度を1画面にまとめて表示します。外壁・外構・解体・介護など、工事の種類を切り替えて確認することもできます。
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誰の家に、誰が出したか
国税庁のタックスアンサーNo.4557「親名義の建物に子供が増築したとき」が、この問いに正面から答えています。まず、できたものが誰のものになるか。
親名義の建物に子供が増築した場合、増築部分は建物の所有者(親)の所有物となります。
増築した部分だけが子のもの、にはなりません。 建物にくっついたものは建物の所有者のものになる、という民法の考え方(付合)によります。同ページは根拠法令として民法第242条を挙げています。
そのうえで、税の扱いが続きます。
この場合、親が子供に対して対価を支払わないときには、親は子供から増築資金相当額の利益を受けたものとして贈与税が課税されることになります。
贈与を受けたのは親です。子が自分の財産を減らして、親の財産を増やしたからです。同ページは根拠法令に相続税法第9条を挙げています。対価を支払わないで利益を受けた場合を贈与とみなす条文で、いわゆるみなし贈与です。お金を直接わたしていなくても、財産が増えた側に税がかかります。
向きを整理すると、こうなります。
| 家の名義 | 費用を出した人 | 贈与を受けたことになる人 |
|---|---|---|
| 親 | 子 | 親 |
| 子 | 親 | 子 |
| 夫 | 妻 | 夫 |
| 夫婦の共有(持分どおりに負担) | 夫婦それぞれ | なし |
※ 表は横にスクロールできます
名義人と支払った人が同じなら、贈与の話は出ません。 ずれたときだけ出ます。
ただし夫婦のあいだには、あとで述べる配偶者控除という別の道があります(婚姻期間20年以上・最高2,000万円)。使えるのは増築か、家屋そのものの贈与に限られるので、工事の種類で分かれます。
! ここに注意
同居していても、二世帯住宅でも、扱いは同じです。見るのは住んでいるかどうかではなく、登記の名義です。 手元の登記事項証明書で、いまの名義と持分を先に確かめてください。確かめ方は増築したときの建物の登記に書いてあります。
持分を移せば贈与になりません——ただし
同じNo.4557が、避ける道も書いています。
しかし、子供が支払った増築資金に相当する建物の持分を親から子供へ移転させて共有とすれば、贈与税は課税されません。
出したお金に見合う持分を受け取る。 そうすれば、財産が一方的に移ったことになりません。
ただし、ここで話は終わりません。同じページに続きがあります。
上記における親から子供への建物の持分の移転は、親から子供に対する譲渡となり、譲渡利益が生じるときは譲渡所得の課税対象になります。
持分の移転は「譲渡」です。 親の側に譲渡利益が出れば、今度は親に譲渡所得の税がかかります。そして、こちらには救済が用意されていません。
この場合、共有とするための譲渡および親子間の譲渡であることから、居住用財産を譲渡した場合の特例は適用できません。
自宅を売ったときに使える特例は、この場面では使えないということです。理由は2つ挙げられています。 共有とするための譲渡であること、そして親子間の譲渡であることです。
つまり、選択はこうなります。
| 選ぶ道 | 何が起きるか |
|---|---|
| 持分を動かさない | 親に贈与税 |
| 持分を移して共有にする | 親に譲渡所得(利益が出た場合)。居住用財産の特例は使えません |
| 名義人が自分で払う | どちらも起きません |
※ 表は横にスクロールできます
どれが軽いかは金額で変わります。 建物の取得費が分からない、持分の評価が難しいといった論点もあるので、金額が大きいときは工事の契約より前に税務署か税理士へ相談してください。国税局電話相談センターは無料です。
持分を移した場合は、不動産登記の手続きも必要になります。この持分の移転が、いわゆる名義変更です。こちらは表示の登記ではなく権利の登記なので、相手は司法書士になります。床面積が変わったときの登記との違いは増築したときの建物の登記にまとめました。
名義変更をいつまでにするか、という期限は法律で決められていません。ただし贈与税の申告期限は決まっているので、贈与になる形を避けたいなら、工事が終わった年のうちに持分を整えておくのが素直です。年をまたぐと、その年の贈与として申告する話になります。
名義人以外がお金を出す形は、リフォームの減税の側にも出てきます。共有名義のときに、証明書と申告書のどちらへ持分を書くのかは増改築等工事証明書に整理してあります。住宅ローン控除やリフォームの減税を使う予定があるなら、持分を動かす前にそちらを見てください。耐震改修の減税は住宅耐震改修証明書です。
工事そのものにいくらかかるか、市の補助でいくら下がるかは、都道府県別の補助金一覧から確認できます。
非課税になる道は2つあります
直系尊属からの住宅取得等資金
1つめは、親や祖父母からもらったお金についての特例です。国税庁のタックスアンサーNo.4508によると、令和6年1月1日から令和8年12月31日までの間の贈与について、贈与を受けた人ごとに省エネ等住宅は1,000万円まで、それ以外の住宅は500万円までが非課税になります。
対象には増改築等が入っています。ただし、条件が細かい特例です。人についての条件が8つ、家と工事についての条件が別にあります。人の側で押さえるのは次の4つです。
| 条件 | 中身 |
|---|---|
| 続柄 | 贈与を受けた時に贈与者の直系卑属であること(配偶者の父母は該当しない。養子縁組をしていれば該当) |
| 年齢 | 贈与を受けた年の1月1日において18歳以上 |
| 所得 | その年の合計所得金額が2,000万円以下(床面積40〜50平方メートル未満の場合は1,000万円以下) |
| 使い切り | 贈与を受けた年の翌年3月15日までに全額を充てて新築等をすること |
※ 表は横にスクロールできます
工事の側の条件は3つです。
| 条件 | 中身 |
|---|---|
| 床面積 | 増改築等後の登記簿上の床面積が40平方メートル以上240平方メートル以下で、その2分の1以上が自分の居住用 |
| 家と証明 | 自己が所有し、かつ居住している家屋への工事で、確認済証の写し・検査済証の写し・増改築等工事証明書などで証明されたもの |
| 金額 | 工事に要した費用の額が100万円以上で、その2分の1以上が自分の住む部分の工事 |
※ 表は横にスクロールできます
ここに大きな落とし穴があります。 増改築等の条件は「自己が所有し、かつ居住している家屋」に対する工事であることです。つまり、親名義の家を子が直す形では、この特例は使えません。 冒頭の「親名義の家に子がお金を出す」ケースは、非課税の対象外になります。使えるのは、子名義の家を親のお金で直すほうです。
もう1つ、見落とされやすい条件があります。No.4508の受贈者の要件(5)です。自己の配偶者、親族などの一定の特別の関係がある人との請負契約等により増改築等をしたものではないこと。 親族が営む工務店に工事を頼むと、この条件で外れます。身内に頼むと安心という判断が、税では逆に働く場面です。
証明書の側の話は増改築等工事証明書に、確認済証が出る工事かどうかはリフォームの建築確認にまとめています。
夫婦の配偶者控除
2つめは夫婦の間です。国税庁のタックスアンサーNo.4452によると、婚姻期間が20年以上の夫婦の間で居住用不動産または居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合、贈与税の申告をすることにより基礎控除額110万円のほかに最高2,000万円まで控除できます。
条件は3つです。
- 夫婦の婚姻期間が20年を過ぎた後に贈与が行われたこと
- 贈与された財産が、居住用不動産であることまたは居住用不動産を取得するための金銭であること
- 贈与を受けた年の翌年3月15日までにその居住用不動産に現実に住んでおり、その後も引き続き住む見込みであること
同じ配偶者からの贈与については、一生に一度しか使えません。 添付する書類も決まっていて、贈与を受けた日から10日を経過した日以後に作成された戸籍の謄本または抄本、同じく戸籍の附票の写し、居住用不動産の登記事項証明書などです。登記事項証明書は、申告書に不動産番号を記載することなどで添付を省略できます。
! ここに注意
ここが工事の種類で分かれます。 条文(相続税法第21条の6第1項)は、金銭の贈与について「当該金銭をもつて居住用不動産を取得して」と書いています。取得、です。リフォーム費用がこの「取得」に当たるかは、条文だけでは読み取れません。答えは国税庁の法令解釈通達(21の6-4)にあります。
法第21条の6第1項に規定する「取得」には、家屋の増築を含むものとする。
含まれるのは「増築」です。 ですので、部屋を足す・床面積を増やす工事に配偶者控除は使えますが、外壁の塗り替え、屋根の葺き替え、水回りの入れ替え、内装の張り替えのように床面積が変わらない工事は「取得」に当たりません。 その場合に配偶者控除を使う道は、費用の贈与ではなく家屋そのもの(またはその持分)の贈与を受ける形になります。No.4455 も、対象になる居住用不動産を「贈与を受けた配偶者が居住するための国内の家屋またはその家屋の敷地」としています。
もう1つ、婚姻期間の数え方にも決まりがあります。同じ通達(21の6-7)は、婚姻期間に1年未満の端数があってもその端数を切り上げないとしたうえで、婚姻期間が19年を超え20年未満であるときは贈与税の配偶者控除の適用がないとしています。19年11か月では使えません。
- 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税 No.4508(国税庁)——限度額と条件の一覧
- 夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除 No.4452(国税庁)——添付書類の一覧つき
- 親名義の建物に子供が増築したとき No.4557(国税庁)——この記事の中心になる1ページ
110万円の基礎控除と、申告の期限
特例に届かない金額でも、まず基礎控除があります。国税庁のタックスアンサーNo.4408は、その年の1月1日から12月31日までの1年間に贈与によりもらった財産の価額を合計し、その合計額から基礎控除額110万円を差し引いた残りに税率を掛けると案内しています。
110万円は「1つの贈与ごと」ではなく「1年間にもらった合計」から引きます。 父から60万円、母から60万円なら合計120万円で、110万円を超えます。
申告の期限は決まっています。国税庁のタックスアンサーNo.4429です。
贈与税の申告と納税は、原則、財産をもらった人が、もらった年の翌年の2月1日から3月15日までにすることになっています。
(注)申告期限までに申告しなかった場合や実際にもらった額より少ない額で申告した場合には、本来の税金のほかに加算税がかかります。
税額がゼロでも、申告書を出す場面があります。 住宅取得等資金の非課税もNo.4508が申告を手続きとして挙げていますし、配偶者控除はNo.4452が「贈与税の申告をすることにより」控除できると書いています。申告しなければ、その控除は使えません。 ここを「かからないなら何もしなくていい」と読むと、あとから税がかかります。
納税が難しい場合には延納の道もあります。No.4429によると、条件は申告による納付税額が10万円を超えていること、金銭で一度に納めることが難しい理由があること、担保を提供することの3つで、期間は5年以内です。延納税額が100万円以下で期間が3年以下なら担保は要りません。
「ばれるか」ではなく、形を合わせる
検索では「ばれるのか」「ばれないのか」という言い方も見かけますが、この記事はその問いには答えません。答えられるのは、あとから困らない形の整え方のほうだけです。困るのは、資金の出所と登記の持分が合っていない状態そのものだからです。
不動産の名義と持分は登記されていて、公開されています。工事の契約書や領収証、振込の記録も残ります。将来その家を売るとき、相続が起きたときに、この2つは必ず突き合わされます。
やることは難しくありません。
工事の前に、登記事項証明書で名義と持分を確かめる——誰の家かがすべての出発点です
誰がいくら出すかを決める——出す人と名義人がずれるなら、そこが検討する点です
ずれるなら、3つの道から選ぶ——名義人が払う/持分を移す/贈与として申告する
特例を使うなら条件を先に確かめる——特に「自己が所有し、かつ居住している家屋」と「親族の業者ではない」
翌年2月1日から3月15日までに申告する——税額がゼロでも、特例を使うなら申告が条件です
金額が大きいときや、共有持分の割合が絡むときは、工事の契約より前に相談してください。国税庁は国税局電話相談センターでの電話相談を案内しています。個別の判断が必要な場合は税務署か税理士です。
なお、著しく低い価額で財産を譲り受けた場合の扱いは別のページ(No.4423)にあります。持分の移転を実際の価値より安く行うと、その差額が贈与とみなされる形です。
補助金の側でも、名義は見られています
当サイトが公式ページで確認した292市区町村・341制度を調べたところ、贈与税に触れている制度は0件でした。税の話は市の補助金の案内には出てきません。
一方で、名義は見られています。
| 検索した語 | 該当する制度の数 |
|---|---|
| 贈与 | 0 |
| 所有者・名義(条件の欄) | 29 |
※ 表は横にスクロールできます
書かれ方はさまざまです。
| 市 | 制度 | 条件の書かれ方 |
|---|---|---|
| 大阪府大阪市 | 大阪市住宅省エネ改修促進事業 | 大阪市内の既存の戸建・共同住宅の所有者が対象 |
| 神奈川県藤沢市 | 藤沢市木造住宅耐震改修工事等補助金 | 市内に住む所有者であること |
| 宮城県仙台市 | せんだい健幸省エネ住宅補助金(部分改修向け) | 住宅の所有者本人か、その配偶者・一親等の親族 |
| 東京都渋谷区 | 渋谷区住宅簡易改修支援事業 | 対象の住宅の所有者・その配偶者・親・子であり、その家に住んでいること |
※ 表は横にスクロールできます
所有者だけに絞る市と、家族まで広げる市があります。 親名義の家を子が費用を出して直す場合、仙台市や渋谷区の書き方なら子でも申請できますが、大阪市や藤沢市の書き方だと申請者は所有者本人になります。
税の側で「誰の家か」が問われ、補助金の側でも「誰が申請できるか」が問われる。同じ1つの工事に、2つの窓口が別々に名義を見ています。 費用を出す人と名義人がずれる工事では、工事の契約より前に両方を確かめてください。自分の市の制度は市区町村別の一覧から探せます。
よくある質問
親名義の家を子のお金でリフォームすると、誰に贈与税がかかりますか?
親の側です。国税庁のタックスアンサーNo.4557は、親名義の建物に子供が増築した場合、増築部分は建物の所有者である親の所有物となるとしています。そのうえで、親が子供に対して対価を支払わないときには、親は子供から増築資金相当額の利益を受けたものとして贈与税が課税されることになると書いています。お金を出した子ではなく、家を持っている親が受け取った側になります。根拠法令として相続税法第9条と民法第242条が挙げられています。
贈与にならない方法はありますか?
持分を移す方法があります。同じタックスアンサーNo.4557は、子供が支払った増築資金に相当する建物の持分を親から子供へ移転させて共有とすれば、贈与税は課税されませんとしています。ただし、そこで終わりではありません。同じページは、親から子供への建物の持分の移転は親から子供に対する譲渡となり、譲渡利益が生じるときは譲渡所得の課税対象になるとしています。さらに、共有とするための譲渡かつ親子間の譲渡であることから、居住用財産を譲渡した場合の特例は適用できないとも書かれています。持分を動かしたら不動産登記の手続きも必要になります。
親からもらったリフォーム資金が非課税になる制度はありますか?
住宅取得等資金の非課税があります。国税庁のタックスアンサーNo.4508によると、令和6年1月1日から令和8年12月31日までの間に父母や祖父母など直系尊属から自己の居住用の家屋の新築・取得・増改築等の対価に充てるための金銭を受け取った場合、贈与を受けた人ごとに省エネ等住宅は1,000万円まで、それ以外の住宅は500万円まで非課税になります。ただし増改築等の場合は、自己が所有し、かつ居住している家屋に対する工事であることが条件です。親名義の家を子が直す形では、この特例は使えません。
住宅取得等資金の非課税を使うための、工事の条件は何ですか?
増改築等の場合、国税庁のタックスアンサーNo.4508は3つを挙げています。1つめは、増改築等後の家屋の登記簿上の床面積が40平方メートル以上240平方メートル以下で、その床面積の2分の1以上が贈与を受けた人の居住用であること。2つめは、自己が所有し、かつ居住している家屋への工事で、一定の工事に該当することを確認済証の写し、検査済証の写し、または増改築等工事証明書などの書類で証明すること。3つめは、工事に要した費用の額が100万円以上で、そのうち2分の1以上が自分の住む部分の工事であることです。
夫婦の間ではどうなりますか?
婚姻期間が20年を過ぎていれば、配偶者控除が使えます。国税庁のタックスアンサーNo.4452によると、婚姻期間20年以上の夫婦の間で居住用不動産または居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合、贈与税の申告をすることにより基礎控除額110万円のほかに最高2,000万円まで控除できます。条件は、婚姻期間20年を過ぎた後の贈与であること、贈与された財産が居住用不動産または居住用不動産を取得するための金銭であること、贈与を受けた年の翌年3月15日までにその不動産に現実に住んでおり、その後も引き続き住む見込みであることです。同じ配偶者からの贈与については一生に一度しか使えません。ただし金銭の贈与で対象になる工事には限りがあり、国税庁の法令解釈通達21の6-4は、第21条の6第1項の取得には家屋の増築を含むとしています。ですので床面積が変わらない塗装や水回りの工事は対象になりません。婚姻期間の端数は切り上げないため、19年を超え20年未満では適用がありません。
申告はいつまでにしますか?
贈与を受けた年の翌年です。国税庁のタックスアンサーNo.4429は、贈与税の申告と納税は原則として財産をもらった人が、もらった年の翌年の2月1日から3月15日までにすることになっていると案内しています。申告期限までに申告しなかった場合や、実際にもらった額より少ない額で申告した場合には、本来の税金のほかに加算税がかかります。納税が期限に遅れた場合は延滞税がかかります。住宅取得等資金の非課税も配偶者控除も、申告することが適用の条件になっているため、税額がゼロになる場合でも申告書は出します。
リフォームの補助金を使うときに、名義は関係しますか?
関係します。当サイトが公式ページで確認した292市区町村・341制度のうち、条件の欄に所有者または名義という語が出てくるのは29制度でした。大阪市は市内の既存の戸建・共同住宅の所有者を対象とし、藤沢市は市内に住む所有者であることを条件にしています。渋谷区のように、所有者本人だけでなく配偶者・親・子まで対象を広げている区もあります。ですので、親名義の家を子が費用を出して直す場合、補助金の側でも申請できる人が誰かを先に確かめてください。なお、この341制度のうち贈与税に触れているものはありませんでした。
まとめ
- 親名義の家に子がお金を出すと、贈与税がかかるのは親の側です(国税庁 No.4557)
- 理由は、増築部分が建物の所有者のものになるから。根拠法令は相続税法9条と民法242条です
- 見るのは同居しているかどうかではなく、登記の名義です
- 持分を親から子へ移して共有にすれば、贈与税はかかりません
- ただしその移転は親から子への譲渡。譲渡利益が出れば譲渡所得の対象になります
- しかも居住用財産を譲渡した場合の特例は使えません(共有とするための譲渡かつ親子間の譲渡だから)
- 非課税の道は2つ——住宅取得等資金(省エネ等住宅1,000万円/それ以外500万円)と配偶者控除(最高2,000万円)
- 住宅取得等資金の非課税は、増改築等では自己が所有し、かつ居住している家屋が条件。親名義の家には使えません
- 親族が営む業者に頼むと、この特例は外れます(受贈者の要件5)
- 工事の条件は費用100万円以上・その2分の1以上が自分の住む部分・増改築等後の登記簿上の床面積40〜240平方メートル
- 証明は確認済証の写し・検査済証の写し・増改築等工事証明書などです
- 配偶者控除は婚姻期間20年以上・同じ配偶者から一生に一度・翌年3月15日までに住んでいること
- 配偶者控除の「取得」に含まれるのは増築まで(通達21の6-4)。床面積が変わらない工事は対象外です
- 婚姻期間は1年未満の端数を切り上げません。 19年を超え20年未満なら適用がありません(通達21の6-7)
- 基礎控除110万円は、1年間にもらった合計から引きます。父から60万円・母から60万円なら超えます
- 申告は翌年2月1日から3月15日まで。税額がゼロでも、特例を使うなら申告が条件です
工事のあとに登記が要るかどうかは増築したときの建物の登記、確認済証が出る工事かどうかはリフォームの建築確認、税で使う証明書は増改築等工事証明書と住宅耐震改修証明書にまとめています。自分の市の補助金は都道府県別の一覧から探せます。
※本記事の制度情報は2026年8月15日時点で、国税庁タックスアンサーの公表内容を確認したものです。個別の課税関係の判断は、税務署または税理士にご確認ください。国税庁は国税局電話相談センター等での電話相談を案内しています。
参考情報(出典)
- 親名義の建物に子供が増築したとき No.4557(国税庁)(確認日 2026-08-15)
- 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税 No.4508(国税庁)(確認日 2026-08-15)
- 夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除 No.4452(国税庁)(確認日 2026-08-15)
- 贈与税の計算と税率(暦年課税) No.4408(国税庁)(確認日 2026-08-15)
- 贈与税の申告と納税 No.4429(国税庁)(確認日 2026-08-15)
- 個人から著しく低い価額で財産を譲り受けたとき No.4423(国税庁)(確認日 2026-08-15)
- 配偶者控除の対象となる居住用不動産の範囲 No.4455(国税庁)(確認日 2026-08-15)
- 相続税法基本通達 第21条の6《贈与税の配偶者控除》関係(国税庁)(確認日 2026-08-15・21の6-4/21の6-7)
- 相続税法(e-Gov法令検索)第21条の6(確認日 2026-08-15)
家の補助金ナビ編集部
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