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ブロック塀と建築基準法——高さ2.2m・厚さ10cm・控え壁は3.4mごと。1.2mを境に、決まりが2つ外れます

公開 2026年8月11日最終更新 2026年8月11日執筆 家の補助金ナビ編集部

建築基準法施行令が、ブロック塀について定めている決まりは7つです。鉄筋の入る補強コンクリートブロック造の塀について、条文はこう始まります。

補強コンクリートブロック造の塀は、次の各号(高さ一・二メートル以下の塀にあつては、第五号及び第七号を除く。)に定めるところによらなければならない。

見落とされやすいのが、このかっこ書きです。高さ1.2メートル以下の塀では、7つのうち2つが外れます。建築基準法の高さの決まりを調べると2.2メートルという数字ばかりが出てきますが、実際に効いてくる境目はもう1つあります。

この記事では、7つの決まりを条文のまま並べ、1.2メートルで何が変わるのか、鉄筋の入らない塀は何が違うのか、今の基準に合わない古い塀は違反なのか、そして法律の基準と市の補助金の基準がなぜ食い違うのかまでを整理します。

先に結論

✓ ここが要点

  • 補強コンクリートブロック造の塀は高さ2.2メートル以下(施行令62条の8第1号)
  • 高さ1.2メートル以下なら、控え壁と基礎の丈・根入れの規定が外れます(同条のかっこ書き)
  • れんが・石など鉄筋の入らない塀は上限1.2メートルで、当たる条文が違います(施行令61条)
  • 今の基準に合わなくても、それだけでは違反ではありません(既存不適格・法3条2項)

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法律が決めている7つ

施行令62条の8が並べている7号を、そのまま表にします。

# 条文が決めていること 数字
1 高さ 2.2メートル以下
2 壁の厚さ 15センチ以上(高さ2メートル以下の塀は10センチ以上)
3 壁頂・基礎に横、端部・隅角部に縦の鉄筋 径9ミリ以上
4 壁の中の鉄筋 径9ミリ以上を縦横80センチ以下の間隔
5 控え壁 長さ3.4メートル以下ごと・高さの5分の1以上突出
6 鉄筋の末端 かぎ状に折り曲げて定着
7 基礎 丈35センチ以上・根入れ30センチ以上

※ 表は横にスクロールできます

数字が細かいので、効きめの大きい3つを条文で確かめておきます。まず厚さ。

壁の厚さは、十五センチメートル(高さ二メートル以下の塀にあつては、十センチメートル)以上とすること。

厚さの基準は高さで切り替わります。 よく見かける10センチ以上という数字は高さ2メートル以下の塀の話で、2メートルを超えると15センチ以上が要ります。次に控え壁。

長さ三・四メートル以下ごとに、径九ミリメートル以上の鉄筋を配置した控壁で基礎の部分において壁面から高さの五分の一以上突出したものを設けること。

高さ2メートルの塀なら、40センチ以上出っ張った控え壁が3.4メートルごとという計算になります。最後に基礎。

基礎の丈は、三十五センチメートル以上とし、根入れの深さは三十センチメートル以上とすること。

なお条文には但し書きがあり、国土交通大臣が定める基準に従った構造計算で構造耐力上安全であることが確かめられた場合は、この7つによらなくてよいとされています。

1.2メートルを境に、2つが外れます

冒頭のかっこ書きをもう一度見てください。第五号及び第七号を除く——外れるのは控え壁(第5号)と、基礎の丈・根入れ(第7号)です。

高さ1.2m以下 高さ1.2m超〜2.2m
高さ・厚さ・鉄筋・かぎ掛け 当たります 当たります
控え壁(3.4mごと) 当たりません 当たります
基礎の丈35cm・根入れ30cm 当たりません 当たります

※ 表は横にスクロールできます

腰の高さくらいのブロック塀に控え壁が付いていないのを見て「違反では」と思う方がいますが、1.2メートル以下ならそもそも求められていません。国土交通省の点検のチェックポイントも、控え壁と根入れの項目にだけ「塀の高さが1.2m超の場合」という条件を付けています。

鉄筋の入らない塀は、上限が1.2メートルです

れんが造・石造・鉄筋の入っていないブロック造は、組積造という別の分類で、当たる条文も違います(施行令61条)。

高さは、一・二メートル以下とすること。

控え壁の間隔も違います。

長さ四メートル以下ごとに、壁面からその部分における壁の厚さの一・五倍以上突出した控壁(木造のものを除く。)を設けること。

基礎は「基礎の根入れの深さは、二十センチメートル以上とすること。」です。同じ「塀」でも、中に鉄筋が入っているかどうかで上限が1メートル違う——ここが古い塀でいちばん問題になります。大谷石や万年塀は組積造にあたることが多く、市の補助でも別扱いになりがちです(万年塀・大谷石の塀は補助の対象か)。

自分で点検する6項目

国土交通省は、所有者が自分で確かめられるチェックポイントを公開しています。

ブロック塀について、以下の項目を点検し、ひとつでも不適合があれば危険なので改善しましょう。まず外観で1~5をチェックし、ひとつでも不適合がある場合や分からないことがあれば、専門家に相談しましょう。

外から見える5つが、これです。

  1. 塀は高すぎないか — 地盤から2.2メートル以下か
  2. 塀の厚さは十分か — 「塀の厚さは10cm以上か。(塀の高さが2m超2.2m以下の場合は15cm以上)」
  3. 控え壁はあるか(高さ1.2メートル超の場合) — 「塀の長さ3.4m以下ごとに、塀の高さの1/5以上突出した控え壁があるか。」
  4. 基礎があるか — コンクリートの基礎があるか
  5. 塀は健全か — 傾き、ひび割れはないか

6つめは外からは見えないので、専門家に相談する項目とされています。

塀の中に直径9mm以上の鉄筋が、縦横とも80cm間隔以下で配筋されており、縦筋は壁頂部および基礎の横筋に、横筋は縦筋にそれぞれかぎ掛けされているか。

あわせて基礎の根入れ深さが30センチ以上か(高さ1.2メートル超の場合)も見ます。組積造の塀には、上限1.2メートル・控え壁は4メートル以下ごと・根入れ20センチ以上の別リストが用意されています。

! ここに注意

1から5は、メジャー1本と目視でできます。まず高さを測ってください。 2.2メートルを超えていれば、それだけで今の基準からは外れます。次に、塀の根もとを見て、コンクリートの基礎が地面から立ち上がっているかを確かめます。基礎が見当たらない・傾いている・縦にひび割れが走っている、のどれかがあれば、専門家か市の建築指導の窓口へ。

「既存不適格」と「違反」は違います

点検して基準に合わなかったとしても、それだけで違反にはなりません。建築基準法3条2項が、こう定めているからです。

この法律又はこれに基づく命令若しくは条例の規定の施行又は適用の際現に存する建築物若しくはその敷地又は現に建築、修繕若しくは模様替の工事中の建築物若しくはその敷地がこれらの規定に適合せず、又はこれらの規定に適合しない部分を有する場合においては、当該建築物、建築物の敷地又は建築物若しくはその敷地の部分に対しては、当該規定は、適用しない。

規定ができる前から建っていたものには、その規定を当てない。 これが既存不適格です。塀の基準はこれまでに強化されてきているので、古い塀ほど、今の数字に合わないことがあります。点検で不適合が出ても、それだけで違反にはならない、というのはこの条文が理由です。

いつの改正で今の数字になったのかは、e-Gov法令検索の施行令のページで沿革をたどれます(施行令全体としての直近の改正は令和7年政令第377号・2025年12月1日施行)。

ただし、自分の塀に当てはまるのは積まれた時点の基準です。それがどれかを判断するのは特定行政庁なので、築年が分からない塀は、そこから相談してください。

一方、基準ができたあとに基準を外れて造られた塀は違反建築物で、扱いが変わります。

特定行政庁は、建築基準法令の規定又はこの法律の規定に基づく許可に付した条件に違反した建築物又は建築物の敷地については、当該建築物の建築主、当該建築物に関する工事の請負人(中略)若しくは現場管理者又は当該建築物若しくは建築物の敷地の所有者、管理者若しくは占有者に対して、当該工事の施工の停止を命じ、又は、相当の猶予期限を付けて、当該建築物の除却、移転、改築、増築、修繕、模様替、使用禁止、使用制限その他これらの規定又は条件に対する違反を是正するために必要な措置をとることを命ずることができる。

命令の相手に所有者が入っています。造ったのが前の持ち主でも、今の持ち主が相手になりうる、ということです。

罰則は、この命令とセットになっています。建築基準法98条1項1号が挙げているのは、こういう人です。

第九条第一項又は第十項前段(中略)の規定による特定行政庁又は建築監視員の命令に違反した者

この場合の罰は「三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金に処する。」です。基準に合わないこと自体ではなく、是正の命令に従わなかったことが罰の対象という組み立てになっています。順番は、点検→(違反なら)是正命令→従わなければ罰則です。

そして既存不適格であっても、危険なら放っておいてよい話にはなりません。国土交通省は2018年の大阪府北部を震源とする地震のあと、都道府県あての通知でこう求めています。

安全点検の結果、危険性が確認された場合には、付近通行者への速やかな注意表示等及び補修、撤去等が必要である旨注意喚起願います。

法律の基準と、補助金の基準は別物です

ここがいちばん混乱するところです。2.2メートルは法律の上限であって、補助金が出る高さではありません

市の危険ブロック塀撤去の補助には、別の高さの基準が置かれています。当サイトが公式ページで撤去補助を確認した237市区町村のうち、高さの基準に触れていたのは218市区町村。その線は市でばらばらでした——堺市は高さ60センチ超、川崎市は1.2メートル超、福岡市は高さによって条件が3段階に変わります(ブロック塀撤去補助の高さ基準は何cmから)。

決めているもの 数字の性格
建築基準法 造ってよい塀の上限 全国共通(2.2m/組積造1.2m)
市の撤去補助 補助を出す対象の下限 市ごとに違う(60cm超・1.2m超…)

※ 表は横にスクロールできます

法律はこれ以上は高くするなと言い、補助はこれ以下は対象にしないと言う——向きが逆です。 だから「うちの塀は法律に合っているから補助は関係ない」も、「補助の対象だから違反だ」も、どちらも成り立ちません。自分の市の基準は、市区町村別のページで確認してください。

擁壁の上に載っている塀は、高さの数え方そのものが市で分かれます(擁壁の上のブロック塀は、高さをどこから数えるか)。撤去の費用感はブロック塀の撤去費用、制度の全体像はブロック塀の撤去に使える補助金にまとめています。

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よくある質問

ブロック塀の高さは、法律で何メートルまでですか?

鉄筋の入る補強コンクリートブロック造の塀は2.2メートル以下です。建築基準法施行令第62条の8の第1号が「高さは、二・二メートル以下とすること。」と定めています。一方、れんが造や石造、鉄筋の入っていないブロック造など、いわゆる組積造の塀は上限が1.2メートルで、こちらは施行令第61条が定めています。大谷石の塀もこちらに当たります。同じ塀に見えても、中に鉄筋が入っているかどうかで上限が1メートル違う、ということです。なお、国土交通大臣が定める基準に従った構造計算で安全が確かめられた場合は、この限りではないという但し書きもあります。

控え壁は、どれくらいの間隔で必要ですか?

長さ3.4メートル以下ごとに1つです。施行令第62条の8第5号は、長さ3.4メートル以下ごとに、径9ミリメートル以上の鉄筋を配置した控壁で、基礎の部分において壁面から高さの5分の1以上突出したものを設けることとしています。高さ2メートルの塀なら、40センチ以上出っ張った控え壁が3.4メートルごとに要る計算です。ただし、この第5号は高さ1.2メートル以下の塀には適用されません。低い塀に控え壁が無くても、それだけでは基準を外れたことになりません。組積造の塀は別の決まりで、長さ4メートル以下ごとに、壁の厚さの1.5倍以上突出した控壁が要ります。

高さ1.2メートルを境に、何が変わるのですか?

決まりが2つ外れます。施行令第62条の8は本文のかっこ書きで、高さ1.2メートル以下の塀については第5号と第7号を除くとしています。第5号が控え壁、第7号が基礎の丈35センチ以上と根入れ30センチ以上です。つまり1.2メートル以下の塀は、控え壁と、基礎の深さの規定が当たりません。残る高さ・厚さ・鉄筋の径と間隔・かぎ掛けは、低い塀でも当たります。国土交通省の点検のチェックポイントも、控え壁の項目に「塀の高さが1.2m超の場合」、基礎の根入れの項目に「塀の高さが1.2m超の場合」と条件を付けています。

うちの古い塀は今の基準に合っていません。違反ですか?

それだけでは違反とは限りません。建築基準法第3条第2項は、規定ができた時点ですでに存在していた建築物などで、その規定に適合しない部分があるものには、その規定を適用しないとしています。いわゆる既存不適格です。ただし、危険なまま放っておいてよいという意味ではありません。国土交通省は2018年の大阪府北部の地震のあと、都道府県あての通知で、安全点検の結果、危険性が確認された場合には付近を通る人への速やかな注意表示などと、補修や撤去が必要である旨を所有者に注意喚起するよう求めています。倒れれば通行人に被害が出る位置にある塀は、基準に合うかどうかとは別に、直すか撤去するかの判断が要ります。

建築基準法に違反していると、どうなりますか?

特定行政庁(建築行政を担当する市や県の部署)が是正を命じることができます。建築基準法第9条第1項は、違反した建築物や敷地について、建築主・工事の請負人・現場管理者・所有者・管理者・占有者に対して、工事の停止を命じ、または相当の猶予期限を付けて除却・移転・改築・修繕・使用禁止などの是正に必要な措置をとることを命じることができるとしています。命令の相手に所有者が入っている点が、塀では重要です。まずは自分で点検して、危ないと思ったら市の建築指導の窓口に相談してください。

自分で点検するには、どこを見ればよいですか?

国土交通省が点検のチェックポイントを公開しています。外観で見るのが5つで、①高さは地盤から2.2メートル以下か ②厚さは10センチ以上か(高さ2メートル超2.2メートル以下なら15センチ以上) ③高さ1.2メートル超なら、長さ3.4メートル以下ごとに高さの5分の1以上突出した控え壁があるか ④コンクリートの基礎があるか ⑤傾きやひび割れはないか。⑥の鉄筋と根入れは、外からは見えないので専門家に相談する項目です。ひとつでも不適合があれば危険なので改善しましょう、というのが国土交通省の書き方です。れんが造や石造の塀には、上限1.2メートルの別のチェックリストがあります。

まとめ

  • 補強コンクリートブロック造の塀は、高さ2.2メートル以下(施行令62条の8第1号)
  • 厚さは10センチ以上。高さ2メートルを超えると15センチ以上に切り替わります
  • 控え壁は3.4メートル以下ごと。 高さの5分の1以上の出っ張りが要ります
  • 高さ1.2メートル以下なら、控え壁と基礎の規定は当たりません(同条のかっこ書き)
  • 鉄筋の入らない塀は上限1.2メートル(施行令61条)。大谷石やれんがはこちら
  • 今の基準に合わなくても、それだけでは違反ではありません(既存不適格・法3条2項)
  • 法律の上限と、補助金の下限は別物です。 向きが逆なので、片方から他方は決まりません

自分の市の撤去補助がいくらで、どんな塀が対象になるかは市区町村別のブロック塀撤去DBで確認できます。全国の分布はブロック塀補助金の全国調査にまとめました。

※本記事の制度情報は2026年8月11日時点で、e-Gov法令検索の原文と国土交通省の公表資料を確認したものです。条例で上乗せの基準を置いている自治体もあります。工事の前に、お住まいの市の建築指導の窓口にご確認ください。

参考情報(出典)

家の補助金ナビ編集部

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