介護保険の住宅改修の写真——工事前は簡単な図でもよく、写真と決まっているのは工事後です。台紙と撮り方は市が指定します
介護保険法施行規則が住宅改修の申請に求めているのは、写真という言葉ではありません。工事のまえに出す書類として並んでいるのは、これです。
当該申請に係る住宅改修の予定の状態が確認できるもの
工事のあとに出す書類のほうは、こう書かれています。
当該申請に係る住宅改修の完了後の状態を確認できる書類等
どちらも「状態が確認できるもの」で、写真とは書いていません。それなのに、市の窓口では日付入りの写真を求められます。この記事では、厚生労働省の通知と、手引きを公開している市の資料で、工事前と工事後で求められるものがどう違うのか、日付をどう入れるのか、台紙は何を使うのか、工事の種類ごとにどこを撮るのかを整理します。
先に結論
✓ ここが要点
- 法令が求めているのは写真そのものではなく、改修の状態が確認できるものです
- 工事前は写真や簡単な図で示したものでよく、写真と決めているのは工事後のほう(老企第42号)
- 工事後の写真は原則として撮影日がわかるもの。日付機能がなければ黒板や紙に書いて写し込みます
- 台紙・スケールの当て方・撮る角度は市の指定。写真貼付用の様式を配っている市があります
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工事前と工事後で、国の書き方が違います
厚生労働省の通知(老企第42号)は、施行規則の第4号と第7号にそれぞれ説明を付けています。まず、工事のまえに出すほう。
第4号の「住宅改修の予定の状態が確認できるもの」とは、便所、浴室、廊下等の箇所ごとの改修前及び改修後の予定の状態を写真や簡単な図で示したものとする。
次に、工事のあとに出すほう。
第7号の「住宅改修の完成後の状態を確認できる書類等」とは、便所、浴室、廊下等の箇所ごとの改修前及び改修後それぞれの写真とし、原則として撮影日がわかるものとする。
同じ通知の中で、工事前は写真や簡単な図でよく、工事後は写真、と書き分けられています。撮影日の指定が付いているのも工事後のほうだけです。
| 国の通知の書き方 | 実際に市が求めるもの | |
|---|---|---|
| 工事のまえ | 写真や簡単な図で示したもの | 写真+図面。日付の指定を置く市もあります |
| 工事のあと | 改修前と改修後それぞれの写真・原則として撮影日がわかるもの | 日付入りの写真 |
※ 表は横にスクロールできます
工事前が図でもよいのは、まだ存在しないものを写せないからです。改修後の予定の状態は、図で示すしかありません。ただし実際の市の様式は写真で組まれています。今回確認した7市(八王子・さいたま・千葉・相模原・熊本・大阪・名古屋)は、いずれも工事前の写真を求めていました。八王子市は工事前に出す書類として、図面とは別に日付入りの事前写真を挙げています。
改修前の状況がわかる写真(日付入り)を添付します。カメラに日付機能がない場合は、黒板等に日付を記入し、工事箇所に置いて撮影してください。
つまり、国の最低ラインは図でも足りるが、市の様式は写真で組まれている、という関係です。工事前の写真を省ける市を探すより、日付の入れ方をそろえるほうが早く済みます。事前の申請そのものの決まりは介護保険の住宅改修の事前申請——先に工事をしてしまったらにまとめています。
撮影日の入れ方
日付の入れ方は、どの市もほぼ同じことを書いています。カメラの日付機能を使うか、黒板や紙に日付を書いて一緒に写す。さいたま市はここに、してはいけないことを1つ足しています。
写真を撮った後に、日付を付け足す等のデータ修正した写真は認められません。
画像に後からテキストを重ねる形は認められない、ということです。撮影のときに写し込む必要があります。大阪市も添付書類の欄で「施工前の写真(撮影日付が写し込まれているもの)」と書いており、名古屋市は「改修前の状態が確認できる写真(撮影日の入ったもの)」、熊本市は「写真には必ず日付を写し込むようにしてください。」としています。写し込むという同じ言葉が並びます。
では、日付が入っていない写真を出してしまったらどうなるのか。相模原市はQ&Aで運用を公開しています。
担当した施工業者に電話で撮影日を問い合わせします。なお、事前で日付の無いものが提出された場合には、事後は日付の入ったものを提出してください。
相模原市では、日付が抜けた瞬間に対象外になるのではなく、市が業者へ確認するという運用です。他の市が同じとは限りません。工事後の写真は撮り直しがきかないので、工事が始まるまえに業者へ伝えておいてください。
台紙と貼り方——市の様式が配られていることがあります
台紙の指定は市ごとに違いますが、八王子市の書き方が一つの目安になります。
写真はカラー、L判以上の大きさとし、A4サイズの台紙等に貼付をお願いします。
さいたま市は、貼る位置まで決めています。
撮影した写真は、写真貼付用紙の上段に改修前の写真を、下段に改修後の写真を貼付してください。事前申請時には上段のみ貼付となります。
つまり、同じ用紙を工事前と工事後の2回に分けて使う形です。工事前の申請では上半分だけを埋めて出し、工事後に下半分が埋まります。この用紙は市が配っています。
※ 表は横にスクロールできます
✎ 私の調査メモ
台紙の様式を配っていない市もあります。その場合は、A4の白紙に貼って、改修の箇所ごとに番号を振るのが無難です。八王子市は、理由書・見積書・図面・写真の改修番号をそろえ、番号順に並べるよう求めています。番号のそろえ方は介護保険の住宅改修の見積書と同じ考え方です。
工事別の撮り方——手すり・段差・見えなくなる工事
撮り方の基本は、工事の箇所の全体が写っていることと、工事前と工事後で同じ角度の2つです。相模原市は「工事箇所全体がわかるように撮影します。」とし、八王子市は角度についてこう書いています。
事前申請と事後申請で同じアングルのものを撮影し、改修前後の比較確認ができるようにお願いします。
千葉市も「完成後の状態が確認できるよう、工事前写真とできるだけ同じ位置から撮影してください。」としています。全景が入りきらないときは、八王子市が「できるだけ全体の様子がわかるように撮影し、施工位置の高さ等が確認できるようにします。改修箇所の全景が入りきらない場合は、分割して撮影しても結構です。」と書いており、さいたま市も分割してよいとしています。
そのうえで、工事の種類ごとに足すものがあります。
手すりの取り付け。 工事前は、これから付ける位置が分かるようにします。千葉市の書き方です。
手すり取り付け工事については、取り付け箇所にテープ等を張って撮影していただくか、写真に直接線を描いて、取り付け箇所がわかるようにしてください。
工事後は、部材が写っているかが見られます。相模原市は、長い手すりの撮り方まで書いています。
連続した手すりの場合に、一枚の写真で納まらない場合には、接点がわかるようマスキングテープなどを貼り撮影すると良いでしょう。
段差の解消。 ここはスケール(ものさし)が要ります。相模原市は工事前について「段差の解消の場合は、現在の段差寸法がわかるようスケール(ものさし)等を当てた写真が必要です。」とし、工事後も段差が解消されたことが分かるようスケールを当てた写真を求めています。千葉市も「段差解消等、改修後に位置や高さ等が改善する部分は、スケールを当てて撮影してください。」としています。さいたま市は、踏み台を置いた場合の注意まで書いています。
改修前の写真で段差部分をメジャー等で表し、段差の状態を確認しやすいようにしてください。
さいたま市はこの続きで、工事後は踏み台が固定されているかを近づいて撮るよう求め、住宅に固定されていないものは住宅改修の対象ではなくなると注意しています。寸法の写真は、工事が終わったことの証明であると同時に、対象になる工事かどうかの判定材料でもあります。何が対象外になるのかは介護保険の住宅改修で「対象外」になる工事にまとめています。
完成すると見えなくなる工事。 手すりの下地の補強や、土間のコンクリートがこれにあたります。
下地補強等完了写真だけでは施工の有無を確認できないものについては、施工途中の写真をお願いすることがあります。
相模原市も「コンクリート工事については、施工途中および固まった後の写真を添付します。」としています。壁を閉じてしまってからでは撮れません。
浴槽の交換。 八王子市の手引きには、この工事だけのために写真の撮り方の資料が1ページ分あります(63ページ)。測るのは、洗い場の床から浴槽の縁までの高さ(またぎ)と、浴槽の底から縁までの高さ(深さ)の2つです。
床面にゼロが付いている。床面に対して垂直にあてる。実際にまたぐ位置で測る。
風呂のフタを使って縁の位置をはっきりさせること、目盛りがつぶれることがあるので拡大した写真も一緒に出すこと、まで書かれています。改修前の写真の数値が、そのまま立面図に書き写される——だから測り方が指定されているわけです。
浴槽の交換をここまで細かく指定している資料は、今回見た7市では八王子市だけでした。ただし、床にゼロを合わせ、垂直に当て、実際に使う位置で測る、という考え方は段差でも手すりでも同じです。
! ここに注意
工事後の写真は、撮り直しがききません。八王子市は工事後の写真について、改修箇所が不明の場合は撮り直しをお願いすることもあると書いていますが、工事が終わって足場も養生も片づいたあとでは、同じ写真は撮れないこともあります。工事の前日までに、①日付の入れ方 ②撮る角度 ③スケールを当てる箇所 ④途中で撮っておく箇所、の4点を業者と確認してください。
写真代は、住宅改修費には入りません
写真の費用は自己負担です。千葉市の書き方が明快です。
写真代については、住宅改修費の支給対象費用に含めることはできません。
相模原市も、現像料について国のQ&Aを引いて答えています。
国Q&Aにより、支給対象とはなりません。つまり、申請者の負担となります。
八王子市も、諸経費に設計と積算の費用は含められる一方で、写真現像代や申請の代行手数料は支給の対象にならないとしています。見積書に写真代の行が立っている場合の扱いは、介護保険の住宅改修の見積書にまとめました。工事が終わったあとに出す領収証の決まりは介護保険の住宅改修の領収証です。
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フォームを送ると、まずリフォームガイドから電話で希望を確かめる連絡が入り、そのうえで会社を紹介する流れです。電話がつながらないと手続きが進まないので、出られる番号を入れてください。紹介された会社に依頼する義務はありません。
よくある質問
住宅改修の写真に日付は必ず必要ですか?
原則として必要です。厚生労働省の通知は、工事後の状態を確認できる書類等について、改修前と改修後それぞれの写真とし、原則として撮影日がわかるものとするとしています。日付機能のないカメラで撮る場合は、黒板や紙に日付を書いて写真に写し込みます。八王子市も相模原市もこの方法を案内しています。さいたま市は、写真を撮った後に日付を付け足すようなデータの修正をした写真は認められないと明記しています。なお相模原市は、日付のない写真が出てきたときは工事をした業者に電話で撮影日を問い合わせるとしたうえで、工事前で日付がなかった場合は工事後は日付の入ったものを出すよう案内しています。少なくとも相模原市では、日付が抜けたらその場で終わり、という扱いではありません。
写真を貼る台紙は決まっていますか?
市によります。八王子市は、写真はカラーでL判以上の大きさとし、A4サイズの台紙等に貼るよう求めています。さいたま市は写真貼付用紙という様式を配っていて、上段に工事前の写真、下段に工事後の写真を貼り、工事前の申請のときは上段だけを貼ると案内しています。熊本市も写真貼付用台紙をPDFとエクセルで公開しています。相模原市も写真貼付用紙を公開しています。台紙の様式を配っている市では、その用紙を使うのがいちばん確実です。お住まいの市の介護保険のページで、住宅改修の様式が集まっているところを先に見てください。
工事前の写真は、まだ工事をしていないので何を撮ればよいのか分かりません。
直そうとしている場所の現状を撮ります。相模原市は、工事前の写真は工事の必要性がわかる写真としたうえで、段差があって手すりを設置する場合は、手すりを設置する壁と段差が確認できるものを例に挙げています。段差の解消では、現在の段差の寸法がわかるようスケール(ものさし)等を当てた写真が必要だとしています。さいたま市は、工事前の写真で段差の部分をメジャー等で表して段差の状態を確認しやすくすること、手すりなら取り付けの予定箇所をマジック等で書いておくことを案内しています。千葉市も、手すりの取り付けはテープを貼るか写真に直接線を描いて取り付け箇所がわかるようにするよう求めています。何もない壁の写真だけでは、どこに何を付けるのかが伝わりません。
工事前と工事後で、撮る角度は合わせたほうがよいですか?
合わせてください。八王子市は、事前申請と事後申請で同じアングルのものを撮影し、改修前後の比較確認ができるようにお願いしますと書いています。千葉市も、完成後の状態が確認できるよう、工事前の写真とできるだけ同じ位置から撮影するよう求めています。市の担当者は2枚を並べて見比べます。角度が違うと、同じ場所の写真だと分かってもらうところから説明が要ります。改修箇所の全景が入りきらないときは、八王子市もさいたま市も分割して撮ってよいとしています。
写真の現像代やプリント代は、住宅改修費に入れられますか?
入れられません。千葉市は、写真代については住宅改修費の支給対象費用に含めることはできませんと書いています。相模原市も、写真の現像料等について国のQ&Aにより支給対象とはならず、申請者の負担になると答えています。八王子市も、諸経費に写真現像代を含めることはできないとしています。見積書の諸経費の欄に写真代が行として立っていたら、対象外の費用として分けてもらうか外してもらってください。
下地の補強のように、完成すると隠れてしまう工事はどう撮りますか?
工事の途中の写真を撮っておいてください。八王子市は、下地補強等の完了写真だけでは施工の有無を確認できないものについては、施工途中の写真をお願いすることがあると書いています。相模原市も、コンクリート工事については施工途中および固まった後の写真を添付するとしています。千葉市も、工事の過程がわかる写真を撮っておくよう案内しています。壁の中や土間の下に入ってしまうものは、完成写真では確認できません。工事が始まるまえに、業者へ途中の写真もお願いしますと伝えておくのが確実です。
まとめ
- 法令が求めているのは、状態が確認できるものです。 施行規則に写真という言葉は出てきません
- 工事前は写真や簡単な図でよく、工事後は写真です。 撮影日の指定が付いているのは工事後のほうだけです
- 日付は撮影のときに写し込みます。 あとから足した写真を認めないと明記している市があります
- 台紙は市の様式があればそれを使います。 上段に工事前、下段に工事後という指定の市もあります
- 手すりはテープ、段差はスケール。 何をどう変えたのかが1枚で分かる形にします
- 見えなくなる工事は、途中でも撮ります。 下地の補強とコンクリートが代表です
- 写真代は自己負担です。 住宅改修費にも諸経費にも入りません
写真がそろったら、次は工事が終わったあとの申請です。領収証の宛名と日付には決まりがあるので、介護保険の住宅改修の領収証もあわせてご覧ください。制度そのものの全体像は介護保険の住宅改修(20万円の枠)の使い方にまとめています。
※本記事の制度情報は2026年8月11日時点で、e-Gov法令検索の原文、厚生労働省の通知、各市の公式ページを確認したものです。市ごとの様式や添付書類は変わることがあります。申請の前に、お住まいの市の介護保険の窓口・地域包括支援センター・担当のケアマネジャーにご確認ください。
参考情報(出典)
- 介護保険法施行規則(e-Gov法令検索)第75条(確認日 2026-08-11)
- 居宅介護住宅改修費及び介護予防住宅改修費の支給について(老企第42号・厚生労働省)(確認日 2026-08-11)
- 介護保険・高齢者自立支援 住宅改修の手引き(八王子市・PDF)(確認日 2026-08-11)
- 住宅改修の手引き(さいたま市・PDF)(確認日 2026-08-11)
- 介護保険住宅改修の手引き(千葉市・PDF)(確認日 2026-08-11)
- 住宅改修に関するQ&A(相模原市・PDF)(確認日 2026-08-11)
- 介護保険住宅改修費の支給について(熊本市)(確認日 2026-08-11)
- 住宅改修費支給申請書(大阪市)(確認日 2026-08-11)
- 住宅改修費の支給(名古屋市)(確認日 2026-08-11)
家の補助金ナビ編集部
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