空き家の解体補助金を全国300市区町村で調べたら、上限額に25倍の差がありました
実家をたたむことになった、空き家の管理がもう限界——解体を考えはじめて、「補助金はあるのか」と調べに来た方が多いと思います。
結論から言うと、あるかどうか・いくらかは、市によって天と地の差です。
編集部は今回、全国300の市区町村について、解体(除却=取りこわし)の補助制度を公式ページで1つずつ確認しました。分かったのは、上限10万円の市から250万円の市まで25倍の開きがあること。そして「大きい市なら手厚いだろう」が、解体では逆だったことです。
この記事は、その調査結果の全体像です(確認日2026年7〜8月)。自分の市の金額は市区町村別の解体補助DBで個別に確認できます。
先に結論:調べてわかった5つのこと
✓ ここが要点
① 空き家の解体補助があるのは208市(69.3%)——旧耐震の除却ルートを含めると86.6%の市に道がありました。 ② 上限額は10万円〜250万円で25倍の開き——中央値は50万円、補助率は3分の1が最多です。 ③ 対象はほぼ「危険な空き家」——長く使われていない家が中心で、住んでいる家の解体は原則対象外です。 ④ 「大きい市なら安心」は逆——補助が見当たらない率は政令指定都市が20.0%、それ以外が12.9%。手厚いのはむしろ中規模の市でした。 ⑤ 受付は短く、年度で条件が動く——令和8年度に増額した市(堺・松山)もあります。年度が変わったら公式情報で調べ直してください。
以下、一つずつ実例つきで見ていきます。
調査の方法
✎ 私の調査メモ
編集部が2026年7月から8月にかけて、全国300市区町村の公式サイト(lg.jpなど)を1つずつ開き、解体・除却の補助制度の有無、補助率、上限額、対象の条件、受付期間を確認しました。検索で上に出てくる民間まとめサイトの数値は使わず、市の公式ページで現行の値を確認できたものだけを採用しています。対象は政令指定都市20市・東京23区・県庁所在地に、各県の人口上位市を加えた300市区町村です(全国1,741市区町村を網羅した調査でも、無作為に選んだものでもありません)。
300市区町村の内訳は、次のとおりでした。
| 結果 | 市の数 | 割合 | 内容 |
|---|---|---|---|
| 空き家向けの解体補助あり | 208 | 69.3% | 老朽・危険空き家の解体費を補助 |
| 空き家専用はないが、旧耐震の除却補助あり | 52 | 17.3% | 昭和56年5月以前の住宅の解体費が対象 |
| 全市向けの解体補助が見当たらない | 40 | 13.3% | 地区限定・特殊な制度のみ、または制度なし |
※ 表は横にスクロールできます
あわせて86.6%の市に、空き家の解体に使える道がありました。
わかったこと1:上限額は10万円〜250万円、25倍の開き
基本の上限額がいちばん低かったのは10万円(伊那市)。いちばん高かったのは250万円(室蘭市の木造。非木造は350万円)でした。同じ「空き家の解体」で、住んでいる市によって受け取れる上限が25倍違うことになります。
全体の分布はこうです。
| 基本の上限額 | 市の数 | 例 |
|---|---|---|
| 20万円台 | 2 | 北本市・千葉市 |
| 30万円台 | 4 | 北九州市・鹿児島市 |
| 40万円台 | 2 | 名古屋市・熊本市 |
| 50万円台 | 10 | 札幌市・仙台市・広島市など |
| 60〜70万円台 | 6 | 神戸市・佐賀市・宇都宮市・大阪市など |
| 100万円以上 | 5 | 高崎市・長野市・静岡市・松山市・足立区 |
※ 表は横にスクロールできます
中央値は50万円で、これは前回32市区で調べたときと同じでした。真ん中の半数は30万〜50万円に収まり、上下1割を除いても30万〜100万円の幅があります。「解体補助は50万円くらい」という感覚は当たらずとも遠からずですが、自分の市が20万円側か150万円側かで、話はまったく変わります。
補助率にも差があります。工事費の3分の1の市が最多で、2分の1がそれに続きます。高いところでは、足立区の9割、高崎市と松山市の5分の4が突出していました。一方で千葉市・福岡市は23%という控えめな設定です。
わかったこと2:「危険な空き家」だけが対象——住んでいる家は出ない
もう1つ、調べる前に知っておくべき事実があります。ほとんどの市で、対象は「危険と判定された空き家」や「長期間使われていない家」に限られます。
- 札幌市は、原則1年以上使われていない建物で、市の事前確認により「危険性がある」と判定されたものが対象
- 名古屋市は、市の危険度評価が75点以上で除却費の3分の1(125点以上なら3分の2)と、危険度の点数で補助率まで変わります
- 松山市は、不良度判定100点以上で、倒壊時に道路へ支障が出るおそれのあるもの
- 高崎市のように危険判定のない市もありますが、その場合も「10年以上使われていない」という長い年数条件が付きます
つまり、いま住んでいる家の建て替えにともなう解体や、まだ使える空き家の解体には、原則出ません。「実家を早めにたたみたい」という段階では対象外で、皮肉なことに、傷んでからのほうが補助は出やすい制度設計です(だからこそ、放置して危険になる前の売却・活用と、補助を使う解体の比較が大事になります)。
わかったこと3:補助が見当たらない率は、政令市のほうが高い
全市向けの解体補助が見当たらなかったのは、300市区町村のうち40市でした。割合にすると13.3%です。ここで層別に見ると、はっきりした差が出ます。
| 区分 | 調べた数 | 補助が見当たらない | 割合 |
|---|---|---|---|
| 政令指定都市 | 20 | 4 | 20.0% |
| それ以外の市区町村 | 280 | 36 | 12.9% |
※ 表は横にスクロールできます
政令指定都市で見当たらなかったのは川崎市・新潟市・京都市・さいたま市の4市です。
逆に、上限100万円以上の手厚い市は、高崎市・長野市・静岡市・松山市と、中規模の市に集中していました。政令市でも福岡市30万円・北九州市30万円・鹿児島市30万円と、大都市は控えめな水準が目立ちます。
当サイトが外壁塗装の助成金を全国91市で調べたときも、「大都市ほど『ない』と明言している」という同じ構図が出ました。「大きい市のほうが手厚いだろう」という思い込みは、解体でも逆です。
わかったこと4:空き家専用の制度がなくても、「旧耐震の除却」ルートがある
千葉市・横浜市・大阪市・堺市・福岡市・足立区をはじめ52市には、空き家専用の解体補助はありませんでした。かわりにあるのが、旧耐震住宅(昭和56年5月以前に建てられた家)の除却補助です。
地震で倒れるおそれのある古い家を減らすための制度ですが、旧耐震の空き家の解体にも実質使えます。特に足立区は除却工事費の9割・上限150万円(特定の地域は200万円)と、今回調べた中で最も手厚い水準でした。
「うちの市には空き家の解体補助がない」で調べるのをやめると、このルートを見落とします。
わかったこと5:受付は短く、年度で条件が動く
解体補助は、ほぼすべての市で年度ごとの予算制です。受付期間も短く、たとえば札幌市の令和8年度受付は5月15日〜9月30日(危険判定の事前確認依頼は9月16日まで)。予算に達すれば、期間内でも締め切られます。
一方で、年度替わりに条件が良くなる市もあります。令和8年度には、堺市が上限50万円→60万円(長屋・共同住宅は100万円→120万円)へ、松山市が80万円→100万円(島しょ部120万円→160万円)へ増額しました。
つまり、去年調べた情報も、まとめサイトの古い情報も、そのままでは使えません。年度が変わったら、市の公式ページで現行の金額と受付状況を確認し直すのが確実です。
だから、調べる順番はこうなる
- 自分の市に制度があるかを見る——市区町村別の解体補助DBか、市の公式ページで「◯◯市 空き家 解体 補助」を確認。空き家専用がなければ「旧耐震 除却 補助」でもう一度探す
- 対象の条件を見る——危険判定・年数条件・所有者の条件(相続人可か・税の滞納がないか)を確認。市の事前調査が必要な市が多い
- 契約の前に市へ相談する——申請が通ってから契約・着工が鉄則。受付期間と予算の残りもここで確認
解体費用そのものの相場(30坪・40坪・50坪でいくらか)は家の解体費用の早見表に、制度の全体像は空き家解体補助金の解説にまとめています。解体後に土地の固定資産税がどうなるかは「6倍になる?」の検証記事をどうぞ。
よくある質問
空き家の解体補助金は、どこの市でももらえますか?
もらえません。編集部が全国300市区町村の公式ページを調べた結果、空き家向けの解体補助があったのは208市(69.3%)。52市は空き家専用の制度はなく、旧耐震住宅の除却補助が実質の受け皿でした。残り40市(13.3%)は全市向けの解体補助が見当たりませんでした。まず自分の市に制度があるかを、市の公式ページで確認するのが出発点です。
補助額はいくらくらいですか?
市によって大きく違います。今回調べた範囲では、基本の上限額は10万円(伊那市)から250万円(室蘭市の木造)まで、25倍の開きがありました。中央値は50万円で、真ん中の半数は30万〜50万円に収まります。補助率は工事費の3分の1の市が最多で、次に2分の1。高いところでは足立区の9割、高崎市・松山市の5分の4があります。
住んでいる家や、まだ使える家の解体にも補助は出ますか?
ほとんどの市で出ません。多くの制度は「危険と判定された空き家」や「1年以上(市によっては10年以上)使われていない家」が条件で、市の事前調査や危険度の点数判定を通ることが前提です。いま住んでいる家の建て替えにともなう解体は、原則対象外と考えてください(旧耐震住宅の除却補助という別ルートを持つ市はあります)。
申請はいつすればいいですか?
工事の契約・着工のまえです。今回調べた市は、ほぼすべてが「市の承認(交付決定)を受けてから契約・着工」を条件にしていて、先に工事を始めると対象外になります。また受付期間が短い市が多く(例:札幌市は5月中旬〜9月末)、年度の予算に達すると締め切られます。解体を決めたら、業者と契約する前に市の窓口へ相談してください。
まとめ:この調査で分かった5つのこと
- 300市区町村のうち、空き家の解体補助があるのは208市(69.3%)。52市は旧耐震除却ルート、40市(13.3%)は見当たらない
- 上限額は10万円〜250万円で25倍の開き。中央値は50万円、補助率は3分の1が最多
- 対象は「危険な空き家」「長期間使われていない家」がほとんど。住んでいる家の解体は原則対象外
- 補助が見当たらない率は政令市20.0%・それ以外12.9%。手厚いのはむしろ中規模の市——「大きい市なら安心」は逆
- 受付は短く予算制。令和8年度に増額した市(堺・松山)もある——年度が変わったら現行の公式情報で調べ直す
※本記事は2026年7月から8月にかけて各市の公式ページを確認した調査です。サンプルは政令指定都市20市・東京23区・県庁所在地に各県の人口上位市を加えた300市区町村で、全国1,741市区町村を網羅したものでも、無作為に選んだものでもありません。
※補助制度は年度・予算の状況で変わります。申請前に必ず、お住まいの市の公式ページ・窓口で最新の条件をご確認ください。
参考情報
- 住宅リフォーム補助金 全国調査(4工種・のべ1,187件のまとめ)
- 調査対象300市区町村の出典URL(各市の公式ページ)と確認日は、市区町村別の解体補助DBの各ページに個別に記載しています
- 空き家解体補助金の全体解説/家の解体費用 坪数別早見表/解体後の固定資産税の検証
この調査データ(2026年版)
確認:2026年7〜8月家の補助金ナビ編集部が、300市区町村・47都道府県を各自治体の公式ページで1件ずつ確認した調査です。無作為に選んだ全国サンプルではなく、割合は調べた範囲での数字(全国平均ではありません)。出典を明記していただければ、報道・記事・研究に引用いただけます。
208/300
空き家向けの解体補助があった市(69.3%)
50万円
上限額の中央値(集計204市)
30〜100万円
上限額の中心的な幅(10〜90パーセンタイル)
20%
政令市で補助が見当たらない率(その他は12.9%)
このデータを引用する
この調査結果・数値は、出典を明記していただければ引用・転載していただけます。引用のときは、次の出典表記とリンクを添えてください(各制度の元の出典は各自治体の公式ページです)。
出典:家の補助金ナビ「空き家の解体補助金 全国調査データ(2026年版)」(各自治体の公式ページより・確認日つき)
https://ie-hojokin.com/articles/kaitai-hojokin-survey
住宅リフォーム4工種の調査をまとめた住宅リフォーム補助金 全国調査(2026年版)もあります。
家の補助金ナビ編集部
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