調べる

空き家の解体補助金を全国300市区町村で調べたら、上限額に25倍の差がありました

公開 2026年7月18日最終更新 2026年8月1日執筆 家の補助金ナビ編集部

実家をたたむことになった、空き家の管理がもう限界——解体を考えはじめて、「補助金はあるのか」と調べに来た方が多いと思います。

結論から言うと、あるかどうか・いくらかは、市によって天と地の差です。

編集部は今回、全国300の市区町村について、解体(除却=取りこわし)の補助制度を公式ページで1つずつ確認しました。分かったのは、上限10万円の市から250万円の市まで25倍の開きがあること。そして「大きい市なら手厚いだろう」が、解体では逆だったことです。

この記事は、その調査結果の全体像です(確認日2026年7〜8月)。自分の市の金額は市区町村別の解体補助DBで個別に確認できます。

先に結論:調べてわかった5つのこと

✓ ここが要点

① 空き家の解体補助があるのは208市(69.3%)——旧耐震の除却ルートを含めると86.6%の市に道がありました。 ② 上限額は10万円〜250万円で25倍の開き——中央値は50万円、補助率は3分の1が最多です。 ③ 対象はほぼ「危険な空き家」——長く使われていない家が中心で、住んでいる家の解体は原則対象外です。 ④ 「大きい市なら安心」は逆——補助が見当たらない率は政令指定都市が20.0%、それ以外が12.9%。手厚いのはむしろ中規模の市でした。 ⑤ 受付は短く、年度で条件が動く——令和8年度に増額した市(堺・松山)もあります。年度が変わったら公式情報で調べ直してください。

以下、一つずつ実例つきで見ていきます。

調査の方法

✎ 私の調査メモ

編集部が2026年7月から8月にかけて、全国300市区町村の公式サイト(lg.jpなど)を1つずつ開き、解体・除却の補助制度の有無、補助率、上限額、対象の条件、受付期間を確認しました。検索で上に出てくる民間まとめサイトの数値は使わず、市の公式ページで現行の値を確認できたものだけを採用しています。対象は政令指定都市20市・東京23区・県庁所在地に、各県の人口上位市を加えた300市区町村です(全国1,741市区町村を網羅した調査でも、無作為に選んだものでもありません)。

300市区町村の内訳は、次のとおりでした。

結果 市の数 割合 内容
空き家向けの解体補助あり 208 69.3% 老朽・危険空き家の解体費を補助
空き家専用はないが、旧耐震の除却補助あり 52 17.3% 昭和56年5月以前の住宅の解体費が対象
全市向けの解体補助が見当たらない 40 13.3% 地区限定・特殊な制度のみ、または制度なし

※ 表は横にスクロールできます

あわせて86.6%の市に、空き家の解体に使える道がありました。

わかったこと1:上限額は10万円〜250万円、25倍の開き

基本の上限額がいちばん低かったのは10万円伊那市)。いちばん高かったのは250万円室蘭市の木造。非木造は350万円)でした。同じ「空き家の解体」で、住んでいる市によって受け取れる上限が25倍違うことになります。

全体の分布はこうです。

基本の上限額 市の数
20万円台 2 北本市千葉市
30万円台 4 北九州市鹿児島市
40万円台 2 名古屋市熊本市
50万円台 10 札幌市仙台市広島市など
60〜70万円台 6 神戸市佐賀市宇都宮市大阪市など
100万円以上 5 高崎市長野市静岡市松山市足立区

※ 表は横にスクロールできます

中央値は50万円で、これは前回32市区で調べたときと同じでした。真ん中の半数は30万〜50万円に収まり、上下1割を除いても30万〜100万円の幅があります。「解体補助は50万円くらい」という感覚は当たらずとも遠からずですが、自分の市が20万円側か150万円側かで、話はまったく変わります。

補助率にも差があります。工事費の3分の1の市が最多で、2分の1がそれに続きます。高いところでは、足立区9割高崎市松山市5分の4が突出していました。一方で千葉市・福岡市は23%という控えめな設定です。

わかったこと2:「危険な空き家」だけが対象——住んでいる家は出ない

もう1つ、調べる前に知っておくべき事実があります。ほとんどの市で、対象は「危険と判定された空き家」や「長期間使われていない家」に限られます。

  • 札幌市は、原則1年以上使われていない建物で、市の事前確認により「危険性がある」と判定されたものが対象
  • 名古屋市は、市の危険度評価が75点以上で除却費の3分の1(125点以上なら3分の2)と、危険度の点数で補助率まで変わります
  • 松山市は、不良度判定100点以上で、倒壊時に道路へ支障が出るおそれのあるもの
  • 高崎市のように危険判定のない市もありますが、その場合も「10年以上使われていない」という長い年数条件が付きます

つまり、いま住んでいる家の建て替えにともなう解体や、まだ使える空き家の解体には、原則出ません。「実家を早めにたたみたい」という段階では対象外で、皮肉なことに、傷んでからのほうが補助は出やすい制度設計です(だからこそ、放置して危険になる前の売却・活用と、補助を使う解体の比較が大事になります)。

わかったこと3:補助が見当たらない率は、政令市のほうが高い

全市向けの解体補助が見当たらなかったのは、300市区町村のうち40市でした。割合にすると13.3%です。ここで層別に見ると、はっきりした差が出ます。

区分 調べた数 補助が見当たらない 割合
政令指定都市 20 4 20.0%
それ以外の市区町村 280 36 12.9%

※ 表は横にスクロールできます

政令指定都市で見当たらなかったのは川崎市新潟市京都市さいたま市の4市です。

逆に、上限100万円以上の手厚い市は、高崎市・長野市・静岡市・松山市と、中規模の市に集中していました。政令市でも福岡市30万円・北九州市30万円・鹿児島市30万円と、大都市は控えめな水準が目立ちます。

当サイトが外壁塗装の助成金を全国91市で調べたときも、「大都市ほど『ない』と明言している」という同じ構図が出ました。「大きい市のほうが手厚いだろう」という思い込みは、解体でも逆です。

わかったこと4:空き家専用の制度がなくても、「旧耐震の除却」ルートがある

千葉市横浜市大阪市堺市福岡市足立区をはじめ52市には、空き家専用の解体補助はありませんでした。かわりにあるのが、旧耐震住宅(昭和56年5月以前に建てられた家)の除却補助です。

地震で倒れるおそれのある古い家を減らすための制度ですが、旧耐震の空き家の解体にも実質使えます。特に足立区は除却工事費の9割・上限150万円(特定の地域は200万円)と、今回調べた中で最も手厚い水準でした。

「うちの市には空き家の解体補助がない」で調べるのをやめると、このルートを見落とします。

わかったこと5:受付は短く、年度で条件が動く

解体補助は、ほぼすべての市で年度ごとの予算制です。受付期間も短く、たとえば札幌市の令和8年度受付は5月15日〜9月30日(危険判定の事前確認依頼は9月16日まで)。予算に達すれば、期間内でも締め切られます。

一方で、年度替わりに条件が良くなる市もあります。令和8年度には、堺市が上限50万円→60万円(長屋・共同住宅は100万円→120万円)へ、松山市が80万円→100万円(島しょ部120万円→160万円)へ増額しました。

つまり、去年調べた情報も、まとめサイトの古い情報も、そのままでは使えません。年度が変わったら、市の公式ページで現行の金額と受付状況を確認し直すのが確実です。

だから、調べる順番はこうなる

  1. 自分の市に制度があるかを見る——市区町村別の解体補助DBか、市の公式ページで「◯◯市 空き家 解体 補助」を確認。空き家専用がなければ「旧耐震 除却 補助」でもう一度探す
  2. 対象の条件を見る——危険判定・年数条件・所有者の条件(相続人可か・税の滞納がないか)を確認。市の事前調査が必要な市が多い
  3. 契約の前に市へ相談する——申請が通ってから契約・着工が鉄則。受付期間と予算の残りもここで確認

解体費用そのものの相場(30坪・40坪・50坪でいくらか)は家の解体費用の早見表に、制度の全体像は空き家解体補助金の解説にまとめています。解体後に土地の固定資産税がどうなるかは「6倍になる?」の検証記事をどうぞ。

よくある質問

空き家の解体補助金は、どこの市でももらえますか?

もらえません。編集部が全国300市区町村の公式ページを調べた結果、空き家向けの解体補助があったのは208市(69.3%)。52市は空き家専用の制度はなく、旧耐震住宅の除却補助が実質の受け皿でした。残り40市(13.3%)は全市向けの解体補助が見当たりませんでした。まず自分の市に制度があるかを、市の公式ページで確認するのが出発点です。

補助額はいくらくらいですか?

市によって大きく違います。今回調べた範囲では、基本の上限額は10万円(伊那市)から250万円(室蘭市の木造)まで、25倍の開きがありました。中央値は50万円で、真ん中の半数は30万〜50万円に収まります。補助率は工事費の3分の1の市が最多で、次に2分の1。高いところでは足立区の9割、高崎市・松山市の5分の4があります。

住んでいる家や、まだ使える家の解体にも補助は出ますか?

ほとんどの市で出ません。多くの制度は「危険と判定された空き家」や「1年以上(市によっては10年以上)使われていない家」が条件で、市の事前調査や危険度の点数判定を通ることが前提です。いま住んでいる家の建て替えにともなう解体は、原則対象外と考えてください(旧耐震住宅の除却補助という別ルートを持つ市はあります)。

申請はいつすればいいですか?

工事の契約・着工のまえです。今回調べた市は、ほぼすべてが「市の承認(交付決定)を受けてから契約・着工」を条件にしていて、先に工事を始めると対象外になります。また受付期間が短い市が多く(例:札幌市は5月中旬〜9月末)、年度の予算に達すると締め切られます。解体を決めたら、業者と契約する前に市の窓口へ相談してください。

まとめ:この調査で分かった5つのこと

  • 300市区町村のうち、空き家の解体補助があるのは208市(69.3%)。52市は旧耐震除却ルート、40市(13.3%)は見当たらない
  • 上限額は10万円〜250万円で25倍の開き。中央値は50万円、補助率は3分の1が最多
  • 対象は「危険な空き家」「長期間使われていない家」がほとんど。住んでいる家の解体は原則対象外
  • 補助が見当たらない率は政令市20.0%・それ以外12.9%。手厚いのはむしろ中規模の市——「大きい市なら安心」は逆
  • 受付は短く予算制。令和8年度に増額した市(堺・松山)もある——年度が変わったら現行の公式情報で調べ直す

※本記事は2026年7月から8月にかけて各市の公式ページを確認した調査です。サンプルは政令指定都市20市・東京23区・県庁所在地に各県の人口上位市を加えた300市区町村で、全国1,741市区町村を網羅したものでも、無作為に選んだものでもありません。

※補助制度は年度・予算の状況で変わります。申請前に必ず、お住まいの市の公式ページ・窓口で最新の条件をご確認ください。

参考情報

この調査データ(2026年版

確認:2026年7〜8月

家の補助金ナビ編集部が、300市区町村・47都道府県を各自治体の公式ページで1件ずつ確認した調査です。無作為に選んだ全国サンプルではなく、割合は調べた範囲での数字(全国平均ではありません)。出典を明記していただければ、報道・記事・研究に引用いただけます。

208/300

空き家向けの解体補助があった市(69.3%)

50万円

上限額の中央値(集計204市)

30〜100万円

上限額の中心的な幅(10〜90パーセンタイル)

20%

政令市で補助が見当たらない率(その他は12.9%)

このデータを引用する

この調査結果・数値は、出典を明記していただければ引用・転載していただけます。引用のときは、次の出典表記とリンクを添えてください(各制度の元の出典は各自治体の公式ページです)。

出典:家の補助金ナビ「空き家の解体補助金 全国調査データ(2026年版)」(各自治体の公式ページより・確認日つき)
https://ie-hojokin.com/articles/kaitai-hojokin-survey

住宅リフォーム4工種の調査をまとめた住宅リフォーム補助金 全国調査(2026年版)もあります。

家の補助金ナビ編集部

うちの自治体で出るか、先に調べる

外壁塗装・窓・断熱などの住宅リフォームで使える補助金を、工事のまえに調べるための情報サイトです。制度の情報は国・自治体の公式ページで確認し、確認日を明記して執筆しています。制度の変更・誤りを見つけた場合は運営者情報の連絡先までお知らせください。

このページはアフィリエイト広告(PR)を含みます。掲載基準