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解体で出た廃材はどこへ行くのか——マニフェストを作るのは元請業者です。頼んだ側に届く書面は、建設リサイクル法の完了報告です

公開 2026年8月11日最終更新 2026年8月11日執筆 家の補助金ナビ編集部

廃棄物処理法が、解体の廃材を追うしくみとして用意しているのが産業廃棄物管理票、現場ではマニフェストと呼ばれる伝票です。環境省の資料には、こう書かれています。

マニフェストとは、廃棄物の処理を民間事業者に行わせた場合に、処理が適正に行われたことを確認する書類で、解体事業者は必ず保管しているものである。

家を1軒壊すと、木くず・コンクリートがら・鉄くず・石膏ボードが数十トン出ます。それが正しい施設へ運ばれたのかを確かめる紙が、この伝票です。ところが、この紙は工事を頼んだ人の手元には来ません。来ることになっている書面は別にあります。この記事では、誰が何を作り、頼んだ側は何を受け取れるのかを、条文と国の質疑応答集で整理します。

先に結論

✓ ここが要点

  • マニフェストを交付するのは元請業者です。建設工事では元請業者が廃棄物を出した事業者とみなされます
  • 写しを保存する義務も元請業者にあります
  • 工事を頼んだ人に届くことになっている書面は、建設リサイクル法第18条の完了報告です
  • ただし完了報告の義務は、床面積の合計が80平方メートル以上の解体工事に限られます
  • 完了報告に国の様式はなく、決まっているのは日付・施設の名称と所在地・費用の3つだけです

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建設工事では、廃材を出した事業者は元請業者です

産業廃棄物は、その事業活動に伴って廃棄物を出した事業者が責任を負います。工場なら工場の会社、店なら店の会社です。では家を壊した場合、廃材を出したのは家主なのか、業者なのか。廃棄物処理法はここに例外を置いています。

当該建設工事(他の者から請け負つたものを除く。)の注文者から直接建設工事を請け負つた(中略)者(以下「元請業者」という。)を事業者とする。

注文した人から直接工事を請け負った業者、つまり元請業者が廃棄物を出した事業者になるという決め方です。下請けが実際に壊していても、責任の所在は元請業者に集約されます。

そして、その事業者が運搬や処分を他人に任せるときにマニフェストが出ます。

当該委託に係る産業廃棄物の種類及び数量、運搬又は処分を受託した者の氏名又は名称その他環境省令で定める事項を記載した産業廃棄物管理票(以下単に「管理票」という。)を交付しなければならない。

保存の義務も同じ側にあります。

前項の規定により管理票を交付した者(以下「管理票交付者」という。)は、当該管理票の写しを当該交付をした日から環境省令で定める期間保存しなければならない。

その期間は施行規則が「法第十二条の三第二項の環境省令で定める期間は、五年とする。」と定めています。交付するのも、返ってきた写しを5年持っておくのも、元請業者です。工事を頼んだ人に渡す規定はありません。

なお、紙の伝票が出てこないこともあります。廃棄物処理法は第12条の5で電子情報処理組織を使う方法も認めていて、この場合は紙の管理票そのものが作られません。業者から紙が無いと言われたら、電子で運用しているのかを聞いてください。

「マニフェストの書き方」を調べている人が業者なら書く側ですが、家を壊してもらう側なら、書き方を覚える必要はありません。見るべきものが別にあるからです。

頼んだ側に届く書面は、完了報告です

建設リサイクル法は、工事の終わりに元請業者から工事を頼んだ人へ報告を出させています。

対象建設工事の元請業者は、当該工事に係る特定建設資材廃棄物の再資源化等が完了したときは、主務省令で定めるところにより、その旨を当該工事の発注者に書面で報告するとともに、当該再資源化等の実施状況に関する記録を作成し、これを保存しなければならない。

ここでいう発注者は、工事を頼んだ人のことです。マニフェストは業者どうしの伝票、完了報告は業者から頼んだ人への報告——役割がはっきり分かれています。

ただし条文の主語は「対象建設工事の元請業者」です。対象建設工事とは、床面積の合計が80平方メートル以上の解体工事のことで、この規模は建設リサイクル法施行令第2条第1項が決めています。80平方メートルはおよそ24坪です。延べ床30坪の家は約99平方メートルなので、この線の上に来ます。

一方、物置・車庫・小さな平屋・建物の一部だけの解体は、この線を下回ることがあります。下回れば建設リサイクル法の義務がかからないので、完了報告も出てきません。そのときは、マニフェストの写しを見せてもらうのが、廃材の行き先を確かめる唯一の手になります。

報告に載るのも、廃材のすべてではありません。対象は特定建設資材廃棄物——施行令第1条が挙げているのは、コンクリート、コンクリート及び鉄から成る建設資材、木材、アスファルト・コンクリートの4つだけです。石膏ボードや断熱材、ガラスはここに入りません。同じ80平方メートルという数字がアスベストの事前調査にも出てきますが、あちらは別の法律の報告基準です。

では、その完了報告には何を書くのか。国土交通省の質疑応答集は、様式についてこう答えています。

定められていない。

決まっているのは中身だけで、挙げられているのは3つです。

書いてあるべきもの 見るときの目のつけどころ
再資源化等が完了した年月日 工事の完了日と近いか
再資源化等をした施設の名称及び所在地 契約書に書かれた処分先と同じか
再資源化等に要した費用 見積書の処分費と桁が合うか

※ 表は横にスクロールできます

(載るのは特定建設資材廃棄物の4種ぶんです。石膏ボードや家財の処分費は、この報告には出てきません)

搬入先が複数あるときの扱いも書かれています。「特定建設資材廃棄物ごとに搬入先が異なる場合は、全ての施設の名称及び所在地を記載する必要がある。」——コンクリートと木くずを別の施設へ運んだなら、両方が並ぶはずです。

日付の考え方も示されています。完了した日はマニフェストに書かれた処分の終了日と考えてよいか、という問いに対する答えは「差し支えない。」でした。完了報告の日付は、マニフェストから引かれているわけです。だから、マニフェストの写しを見せてほしいと頼むより先に、完了報告をきちんと受け取るほうが筋が通ります。

処分先の名称と所在地は、そもそも契約書に書くことになっています。契約書に何が載るのかは解体工事の契約書にまとめました。工事のまえに出す分別解体の届出については実家を解体するまえにやることをご覧ください。

報告が来ない・中身が違うときの申告先

同じ第18条の第2項に、頼んだ側の手が1つ用意されています。

前項の規定による報告を受けた発注者は、同項に規定する再資源化等が適正に行われなかったと認めるときは、都道府県知事に対し、その旨を申告し、適当な措置をとるべきことを求めることができる。

申告先は市ではなく都道府県知事です。分別解体の届出を出したのが市区町村でも、この申告は都道府県が受けます。窓口の名前は都道府県によって違うので、届出をした市の窓口で担当の連絡先を聞くのが早道です。

不法投棄されたとき、後始末を命じられるのは誰か

業者が廃材を山に捨てた——このとき、家を壊してもらった人が片づけを命じられるのか。廃棄物処理法が命令の相手として書いているのは、廃棄物を出した事業者などです。条件のほうにも、こう書かれています。

排出事業者等が当該産業廃棄物の処理に関し適正な対価を負担していないとき

主語は排出事業者、つまり建設工事では元請業者です。ここでいう廃棄物は解体で出た廃材のことで、家の中に残した家具や家電は別の話になります(そちらの処理責任は所有者にあります=空き家の家財は、解体の前に片づけないといけないのか)。もう一方の条件は「処分者等の資力その他の事情からみて、処分者等のみによつては、支障の除去等の措置を講ずることが困難であり、又は講じても十分でないとき。」——実際に捨てた業者に払う力がないとき、上流へさかのぼるという構造です。

ただし、これをいくらで頼んでも安全という意味に読むのは違います。建設リサイクル法は工事を頼んだ人にも責務を置いていて、国土交通省の質疑応答集はその中身をこう説明しています。

「費用の適切な負担」とは、発注者が負担する額の絶対的水準を問題とするものではなく、発注者の費用負担がその額も含め当事者双方の適正な合意に基づいて行われることを意味するものである。

金額の高い安いそのものではなく、見積もりや協議を経た合意になっているかが問われています。処分費の内訳が1行もない見積もりを総額だけで選ぶと、この「適正な合意」の形になりません。他社の見積もりと並べて、処分費の行が立っているか、処分先が書かれているかを見比べてください。

! ここに注意

安い見積もりの中身が、処分費を入れていないことによる安さだと、廃材が現場に残る・追加請求が来る・行き先が分からないまま終わる、のどれかになります。総額だけを並べても差は見えません。処分費の行と、契約書の処分先の欄の2か所を、社ごとに見比べてください。

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申込のあと何が起きるか

申込のあと、まず運営から希望を確かめる連絡が1本入り、そのあと紹介された会社から連絡が入ります。紹介は断ってかまいません。

300市の補助金の説明に、マニフェストは出てきませんでした

当サイトは、空き家や老朽住宅の解体に補助を出している市区町村の制度を、公式ページから300市区町村ぶん集めています。そのうち補助の制度が確認できたのは260市区町村です。このデータの中に、マニフェストや産業廃棄物管理票という言葉は1件も出てきませんでした(市のページに実際に表示している文だけを対象に集計・2026年8月11日時点)。

言葉 出てくる市の数
マニフェスト・産業廃棄物管理票 0
実績報告 23
処分費 23
建設リサイクル法 7
廃棄物 1

※ 表は横にスクロールできます

✎ 私の調査メモ

このデータは、補助の対象・金額・補助率・受付期間を調べる目的で集めたものです。添付書類を1枚ずつ確認して回ったわけではありません。0件は、求める市が1つも無いことの証明にはなりません。 それでも0という数字に意味があるのは、同じ集め方で「実績報告」が23市、「建設リサイクル法」が7市の説明文から拾えているからです。手続きの言葉は拾えているのに、マニフェストだけが出てこない。補助金の世界では、廃材の伝票は話題にすらなっていない、と読むのが正確です。

補助金の申請でお金の裏づけとして求められるのは、契約書・領収書・工事の前後の写真です。マニフェストの写しが要るかどうかは、お住まいの市の交付要綱で確かめてください。市ごとの制度は空き家の解体補助金からたどれます。

災害の公費解体は、話が別です

公費解体について、環境省の資料はこう書いています。

市町村が所有者に代わって家屋等の解体・撤去を行うものであり

注文するのが市町村になるので、ここまでの話がそのまま当てはまりません。関係するのは、自分で業者に頼んで壊し、あとから費用を市町村に返してもらう場合です。環境省の資料は、この償還についてこう書いています。

マニフェスト伝票(写し)がある場合に限り、処分料を償還金の申請に含める事ができる。

災害の償還では、マニフェストの写しが処分料を認めてもらう条件になります。 災害によらない解体では業者の手元にあれば足りる紙が、ここでは所有者が集めて出す書類に変わります。同じ資料は、廃材を仮置場に持ち込んだ場合はマニフェストが発行されないため、計量伝票が貼付された搬入伝票などがあれば対象になるとも書いています。被災地で自費解体を考えている場合は、工事の前に市町村の窓口で必要な書類を確かめてください。

よくある質問

解体のマニフェストは、頼んだ側がもらえるのですか?

交付する相手として法律が想定しているのは、廃棄物の運搬や処分を引き受けた業者です。廃棄物処理法は、産業廃棄物の運搬や処分を他人に委託する事業者に対して、引き渡しと同時に管理票を交付するよう求めています。建設工事では元請業者がこの事業者にあたるため、マニフェストは元請業者から運搬・処分の業者へ渡ります。写しを5年間保存するのも元請業者です。工事を頼んだ人に渡す決まりはありません。ただし、写しを見せてほしいと頼むことはできますし、環境省の資料も解体事業者は必ず保管しているものであるとしています。もらう書面として法律が用意しているのは、建設リサイクル法第18条の完了報告のほうです。

完了報告書には何が書いてあれば足りますか?

国土交通省の質疑応答集は、建設リサイクル法第18条の完了報告の様式について「定められていない。」としたうえで、記載すべきものとして3つを挙げています。再資源化等が完了した年月日、再資源化等をした施設の名称及び所在地、再資源化等に要した費用です。決まった書式はないので、業者の作った様式でかまいません。見るべきなのは、この3つが埋まっているかどうかです。搬入先が複数あるときは、全ての施設の名称と所在地を書く必要があるとされています。1か所しか書かれていないのに廃材の種類が複数あるなら、そこを聞いてください。なお、この報告の義務がかかるのは床面積の合計が80平方メートル以上の解体工事で、載るのはコンクリート・木材など特定建設資材廃棄物の分だけです。

マニフェストの書き方を知っておくべきですか?

書く側になるのは業者です。記載する事項は廃棄物処理法と環境省令で決まっていて、産業廃棄物の種類・数量・運搬や処分を引き受けた業者の名前などが入ります。工事を頼んだ人がこれを書くことはありません。頼んだ側が見て意味があるのは、廃材の種類ごとに伝票があるか、処分をした施設の名前が契約書に書かれた処分先と一致しているか、の2点です。処分先の名称と所在地は、建設リサイクル法第13条によって契約書に書くことになっています。契約書の中身は別の記事にまとめています。

業者が不法投棄をしたら、頼んだ私が片づけを命じられますか?

廃棄物処理法が支障の除去などの措置を命じる相手として名指ししているのは、その事業活動に伴って産業廃棄物を出した事業者などです。建設工事ではこれが元請業者にあたります。命令の条件にも、排出事業者等が処理に関し適正な対価を負担していないときという言い方が使われており、主語は排出事業者の側です。ただし、これは何を払ってもよいという意味ではありません。国土交通省の質疑応答集は、建設リサイクル法の発注者(工事を頼んだ人)の責務としての費用の適切な負担について、当事者双方の適正な合意に基づいて行われることだと説明しています。相場から極端に外れた安さの見積もりは、廃材の行き先が省かれている合図として見てください。

解体の補助金を申請するとき、マニフェストの写しは要りますか?

当サイトが300市区町村の公式ページから集めた解体補助のデータでは、マニフェストや産業廃棄物管理票の提出を求める記載は0件でした。同じ集め方で、実績報告という言葉は23市、建設リサイクル法は7市、処分費は23市の説明文に出てきています。もっとも、集めたのは補助の対象・金額・受付期間が中心で、添付書類を1枚ずつ調べたデータではありません。0件は、求める市が存在しないという証明にはなりません。求められることがあるのは、災害で被災した家屋を自分で壊して費用を市に返してもらう場合です。環境省の資料は、マニフェスト伝票の写しがある場合に限り処分料を償還金の申請に含めることができるとしています。

完了報告が届かないときは、どうすればよいですか?

まず元請業者に催促してください。建設リサイクル法第18条第1項は、再資源化等が完了したときは書面で報告することを元請業者の義務としています。それでも出てこない、あるいは中身が実態と違うと思えるときは、同条第2項に道が用意されています。報告を受けた発注者(工事を頼んだ人)は、再資源化等が適正に行われなかったと認めるときは、都道府県知事に対してその旨を申告し、適当な措置をとるべきことを求めることができるという規定です。窓口は、工事の現場がある都道府県の建設リサイクル法の担当課になります。分別解体の届出を出した市区町村の窓口でも、担当の連絡先を教えてもらえます。

まとめ

  • マニフェストを交付するのは元請業者です。 建設工事では元請業者が廃棄物を出した事業者になります
  • 写しの保存も元請業者で、期間は5年です。 頼んだ人に渡す決まりはありません
  • 頼んだ側に届く書面は、建設リサイクル法第18条の完了報告です。 これは義務です
  • ただし床面積80平方メートル以上の解体に限ります。 下回る解体では完了報告は出ません
  • 完了報告に国の様式はありません。 日付・施設の名称と所在地・費用の3つが書いてあれば足ります
  • 中身が実態と違うと思えば、都道府県知事へ申告できます(第18条第2項)
  • 不法投棄の後始末を命じられる相手は、廃棄物を出した事業者です。 ただし費用の適切な負担は頼む側の責務です
  • 災害の自費解体では、マニフェストの写しが償還の条件になります(環境省)

廃材ではなく家の中に残った家具や家電の扱いは、空き家の家財は解体の前に片づけないといけないのかにまとめています。アスベストの調査は廃材の分け方より前の工程で、解体のアスベスト事前調査が担当です。

※本記事の制度情報は2026年8月11日時点で、e-Gov法令検索の原文、国土交通省・環境省の公表資料を確認したものです。制度と運用は変わることがあります。工事の前に、届出先の市区町村と、現場のある都道府県の担当課にご確認ください。

参考情報(出典)

家の補助金ナビ編集部

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