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リフォームの契約は、工事が終わるまでいつでも解除できます——ただし損害を賠償します

公開 2026年8月14日最終更新 2026年8月14日執筆 家の補助金ナビ編集部

リフォームの契約は、工事が終わるまでならいつでも解除できます。理由を説明する必要もありません。

そのかわり、条文はもう1つのことを同時に決めています。解除する側が損害を賠償する、です。だから実際の問題は「解除できるか」ではなく「いくら払うことになるか」に移ります。

区切りは着工の前か後かではありません。工事が完成したかどうかで分かれます。

ここでは、条文が認めている解除の形、着工前と着工後で何が変わるのか、違約金がどこで決まるのかを、民法・建設業法と国が示す標準約款で並べます。

先に結論

✓ ここが要点

  • 完成前ならいつでも解除できます。 民法641条。着工後でも同じです
  • 条文は同時に損害の賠償を求めています。無料でやめられる制度ではありません
  • 進んだ工事は違約金ではなく出来高の精算。民法634条が根拠です
  • 違約金の額は契約書の定めで決まります。建設業法19条1項6号がそれを書くべき事項にしています
  • 契約書がなくても契約は成立しています(民法632条)。解除の手続きは同じです
  • 解除ではなく工事を止めて再開する道もあります。国の標準約款が並べています
  • 訪問販売で契約した場合は先にクーリングオフを確かめます。こちらは賠償がありません

「いつでも解除できる」は条文に書かれています

まず、根拠を先に見ます。民法第641条です。

請負人が仕事を完成しない間は、注文者は、いつでも損害を賠償して契約の解除をすることができる。

条文の注文者は工事を頼んだ人、請負人は工事をする会社のことです。短い条文ですが、決めていることは3つあります。

  1. 時期——仕事を完成しない間
  2. 理由——不要(いつでも、と書かれています)
  3. 代わりに必要なこと——損害の賠償

工事をする会社に落ち度がなくても解除できます。気が変わった、資金の予定が変わった、家族の事情が変わった。どれも理由として足ります。ここが、相手の落ち度を前提にする解除(催告して直してもらえないときの解除)との違いです。

つまり、注文者から一方的にやめられる形の解除です。キャンセルしたいと決めた側から動けます。

逆に、完成してしまうと641条は使えません。 引き渡しを受けたあとに不具合が見つかった場合は別の道で、期限も別に決まっています。そちらはリフォーム工事の保証に民法637条の条文で整理してあります。

着工前と着工後で変わるのは、賠償する中身です

サジェストに「着工前」「着工後」が並ぶのは、たぶん多くの人が解除できる時期の線を探しているからです。しかし条文の線はそこにはありません。着工前でも着工後でも解除はできて、変わるのは払う中身です。

解除できるか 払う中身
契約した直後・相手が何も着手していない できる 損害の賠償(小さい)
材料の発注が済んでいる できる 材料代・注文の取消料などの損害
工事が進んでいる できる 出来高の精算+損害の賠償
工事が完成した 641条では解除できない 別の道になります

※ 表は横にスクロールできます

進んだ工事の扱いには、別の条文があります。民法第634条です。

次に掲げる場合において、請負人が既にした仕事の結果のうち可分な部分の給付によって注文者が利益を受けるときは、その部分を仕事の完成とみなす。この場合において、請負人は、注文者が受ける利益の割合に応じて報酬を請求することができる。

そして同条は、当てはまる場合の2つめにこう書いています。

二 請負が仕事の完成前に解除されたとき。

読み方の要点は可分な部分です。切り分けられて、それだけでも役に立つ部分、という意味です。外壁の3面を塗り終えて1面が残っている状態なら、終わった3面は使える。だから、その分の報酬は請求できます。

ですので、工事の途中でやめる場合は2つのお金が並びます。できあがった分の代金(出来高)と、解除によって生じた損害の賠償です。前者は違約金ではありません。工事の対価です。ここを混ぜると、請求書を見たときに金額の意味が分からなくなります。

違約金は契約書で決まります——読む場所は決まっています

「違約金は何%か」を知りたい人が多いはずですが、国が決めた率はありません。額は契約書の定めと実際の損害で決まります。

読む場所は決まっています。建設業法第19条第1項は、契約書に書くべき事項を並べた条文で、その第6号がこれです。

六 当事者の一方から設計変更又は工事着手の延期若しくは工事の全部若しくは一部の中止の申出があつた場合における工期の変更、請負代金の額の変更又は損害の負担及びそれらの額の算定方法に関する定め

中止の申出があった場合の損害の負担と、その額の算定方法。 ここが書かれていれば、いくら払うことになるのかを契約書と照らして確かめられます。契約書に書くべき16の事項の全体像は解体工事の契約書に条文のまま整理してあります(解体を例にしていますが、19条の項目はリフォームの請負契約でも同じです)。

書かれていない場合は、民法にもどって実際の損害を計算する話になります。そのときに効くのが、伝えた日です。 材料を発注する前に伝われば、その分の損害は生じません。やめると決めたら、電話だけで済ませず、メールか書面で日付の残る形にしてください。

いちばん重くなるのは、着工の直前です。足場や材料の手配が終わり、職人の日程も押さえられています。同じ「まだ工事は始まっていない」でも、契約した直後とは損害の額が変わります。

工事を頼んだ人の死亡が絡む場合は、契約の解除の話と相続の話が重なります。請負契約の当事者が亡くなったときにどうなるかは、契約書の解除条項と相続人の関係で決まるため、下に挙げた窓口か弁護士にご相談ください。

工事を頼む相手を選び直す場合は、都道府県別の補助金一覧で自分の市の制度を先に確認しておくと、次の契約の条件がそろえやすくなります。一括見積もりサイトの独自の保証や解約の決まりはリショップナビの評判に原文で確かめたものを載せています。

解除しないで止める道もあります

解除まで踏み切れない段階もあります。国が示している契約書のひな形には、中止という選択肢が解除と並べて書かれています。中央建設業審議会が民間工事用に定めている民間建設工事標準請負契約約款(乙)の第24条第1項です。

発注者は、工事が完成するまでの間は、必要があると認めるときは、書面をもって受注者に通知して工事を中止し、又はこの契約を解除することができる。この場合において、発注者はこれによって生じる受注者の損害を賠償する。

「発注者」は工事を頼んだ人、「受注者」は工事をする会社のことです。民法641条を契約書の言葉に置き換えたもので、中止と解除が並んでいます

そして同じ条は、止めたあとの再開まで決めています。

発注者は、書面をもって受注者に通知して、前項で中止された工事を再開させることができる。

再開した場合、工事をする会社は必要と認められる工期の延長を請求できるとされています。つまり、いったん止めて考え、再開する形が制度として想定されています。判断がつかないうちに解除してしまうより、中止のほうが戻り道があります。

精算の考え方も、この約款には書かれています。第32条第1項です。

工事の完成前にこの契約が解除されたときは、発注者が工事の出来形部分並びに検査済の工事材料及び建築設備の機器(有償支給材料を含む。)を引き受けるものとし、受ける利益の割合に応じて受注者に請負代金を支払わなければならない。

条文の出来形部分は、できあがった分——この記事で出来高と呼んでいるものです。民法634条と同じ考え方で、同条は続けて、そのほかの処理は工事を頼んだ人と工事をする会社が民法の規定に従って協議して決めるとしています。

この約款は、そのまま自分の契約に効くものではありません。手元の契約書に同じ条項があるかを確かめる物差しとして使ってください。原文は国土交通省の建設工事標準請負契約約款のページから読めます(個人の家の工事に近いのは乙のほうです)。

契約書がなくても、契約はあります

「契約書をもらっていないから、まだ契約していない」と考えている人がいますが、逆です。民法第632条を見てください。

請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。

約することによって効力を生ずる。 書面を作ることが条件になっていません。頼んで引き受けた時点で契約はあります。ですので、やめるときは641条の解除になります。

もっとも、書面がない状態は望ましくありません。建設業法第19条第1項は、請負契約の当事者が決められた事項を書面に記載し、署名または記名押印をして相互に交付しなければならないと定めています。書面を交わさない進め方は、この規定に沿っていません。

! ここに注意

書面がないと、解除のときに困るのは頼んだ側です。工期・代金・出来高の見方が残っていないため、請求された金額が妥当かを確かめる材料がありません。契約書がまだ無い段階でやめると決めたなら、見積書・打ち合わせのメモ・やり取りのメールを日付順にそろえてから連絡してください。

「仮契約」「申込書」という名前で署名した場合も、中身が工事の内容と代金の約束になっていれば632条の請負契約に当たり得ます。名前ではなく、何を約束した紙かを見てください。

訪問販売なら、先に確かめる道があります

ここまでは、自分で選んだ会社と契約した場合の話です。訪問販売で契約した場合は順番が変わります。

契約書面を受け取った日から8日以内なら、クーリングオフができる場合があります。こちらは民法641条とは別の制度で、損害の賠償がありません。手数料も違約金もかからず、工事が始まっていても元に戻す費用は業者の負担になります。

ですので、訪ねてきた業者と契約した人は、641条の解除を考える前にクーリングオフに当たるかを確かめてください。はがきの書き方や送り方、解約できないと言われたときの対処は訪問販売のリフォームを断る方法とクーリングオフにまとめています。

もめてしまった場合の窓口も整理しておきます。

状況 使える窓口
契約や工事の不具合の相談 住まいるダイヤル 0570-016-100(住宅リフォーム・紛争処理支援センター)
契約した相手とのお金のもめごと 建設工事紛争審査会(あっせん・調停・仲裁)
訪問販売の勧誘が絡む場合 消費者ホットライン188

※ 表は横にスクロールできます

建設工事紛争審査会の手続きの中身は解体トラブルの相談先に国土交通省の公表資料で整理してあります。相見積もりを取った先を断る手順は相見積もりの断り方です。

よくある質問

リフォームの契約は、着工後でも解除できますか?

できます。民法第641条は、請負人が仕事を完成しない間は、注文者はいつでも損害を賠償して契約の解除をすることができると定めています。区切りは着工の前か後ではなく、工事が完成したかどうかです。完成前であれば、理由を示さなくても解除できます。そのかわり、解除によって工事をする会社に生じた損害を賠償します。すでに進んだ工事の精算も必要です。民法第634条は、請負が仕事の完成前に解除されたとき、できあがった部分で注文者が利益を受けるなら、その部分を仕事の完成とみなし、請負人は利益の割合に応じて報酬を請求できると定めています。

解除するときの違約金は、いくらになりますか?

国が決めた率はありません。額は契約書の定めと、実際に生じた損害で決まります。建設業法第19条第1項第6号は、当事者の一方から工事の中止の申出があった場合の損害の負担とその算定方法に関する定めを、契約書に書くべき事項として挙げています。まず手元の契約書のその条項を読んでください。書かれていない場合は、民法にもどって実際の損害を計算する話になります。着工前で材料の手配も始まっていなければ損害は小さく、材料を発注していれば代金や違約金が乗ります。工事が進んでいる分は、違約金ではなく出来高の精算として払います。

着工前なら無料でキャンセルできますか?

無料と決まっているわけではありません。民法第641条の解除には損害の賠償がついていて、着工前でも損害がゼロとは限りません。すでに材料を発注していれば、その代金やキャンセル料が損害になります。設計や現地調査に費用がかかっていれば、その分も入ります。逆に、契約したばかりで相手が何も着手していなければ、賠償すべき損害は小さくなります。ですので、やめると決めたらできるだけ早く、書面かメールで伝えるのがいちばん確実な方法です。日付が残る形にしてください。

契約書をもらっていません。キャンセルできますか?

契約は成立しています。民法第632条は、請負を、当事者の一方が仕事の完成を約し、相手方がその結果に対して報酬を支払うことを約することによって効力を生ずる契約としています。書面がなくても、頼んで引き受けた時点で契約はあります。ですので、やめるときは民法第641条の解除になります。ただし、書面がないと約束の中身を示す材料が残りません。建設業法第19条第1項は、請負契約の当事者が決められた事項を書面に記載して相互に交付しなければならないと定めているので、書面を交わさない進め方はこの規定に沿っていません。やり取りの記録は残しておいてください。

解除ではなく、工事をいったん止めることはできますか?

できます。中央建設業審議会が定める民間建設工事標準請負契約約款(乙)は、工事が完成するまでの間は、必要があると認めるときは、書面をもって受注者に通知して工事を中止し、またはこの契約を解除することができるとして、中止と解除を並べています。同じ約款は、中止した工事を書面で通知して再開させることができるとも定めています。再開した場合、工事をする会社は必要と認められる工期の延長を請求できます。手元の契約書に同じ条項があるかを確かめてください。迷っている段階なら、解除の前に中止を選ぶ道があります。

訪問販売で契約した場合も同じですか?

順番が変わります。訪問販売で契約した場合は、契約書面を受け取った日から8日以内ならクーリングオフができる場合があり、こちらは損害の賠償がありません。手数料や違約金もかからず、工事が始まっていても元に戻す費用は業者の負担になります。ですので、まずクーリングオフに当たるかどうかを確かめてください。手順は当サイトの訪問販売の記事にまとめてあります。8日を過ぎている場合や、自分で選んだ会社と契約した場合が、この記事の民法第641条による解除の話になります。

もめてしまったときは、どこに相談できますか?

工事の契約や不具合の相談は、住宅リフォーム・紛争処理支援センターの住まいるダイヤル(0570-016-100)が受け付けています。契約した相手とのお金のもめごとについては、建設業法にもとづく建設工事紛争審査会があり、あっせん・調停・仲裁の3つの手続きがあります。訪問販売の勧誘が絡む場合は消費者ホットライン188です。相談の前に、契約書、見積書、やり取りのメールや書面、工事の写真を日付順にそろえておくと話が早くなります。

まとめ

  • 完成前ならいつでも解除できます。 民法641条。理由を示す必要はありません
  • 条文は同時に損害の賠償を求めています。着工前でも損害がゼロとは限りません
  • 区切りは着工の前後ではなく、工事が完成したかどうかです
  • 進んだ工事の分は違約金ではなく出来高の精算。民法634条の可分な部分の考え方です
  • 違約金の額は契約書の定めで決まります。国が決めた率はありません
  • 読む場所は建設業法19条1項6号——中止の申出があった場合の損害の負担と算定方法です
  • やめると決めたら早く伝える。 材料の発注前なら、その分の損害は生じません
  • 解除の前に中止という道があります。国の標準約款は中止と再開を定めています
  • 契約書がなくても契約は成立しています(民法632条)。仮契約・申込書も中身で判断されます
  • 訪問販売で契約した場合は、先に8日以内のクーリングオフを確かめてください

契約書に何が書かれるべきかは解体工事の契約書、工事後の不具合の期限はリフォーム工事の保証、断り方の実務は相見積もりの断り方にまとめています。

※本記事の制度情報は2026年8月14日時点で、e-Gov法令検索の条文原文と国土交通省の公表資料を確認したものです。引用した標準約款は令和元年12月13日改正の本文で、令和7年12月2日の改正の対象は第2条・第2条の2・第21条・第22条・第26条です。

実際にいくら払うことになるかは、契約書の定めと工事の進み具合によります。金額でもめている場合は住まいるダイヤルや弁護士にご相談ください。

参考情報(出典)

家の補助金ナビ編集部

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