頼むまえに

増築の建ぺい率は「増築後の建物全体」で見ます——オーバーしている家に足せない理由

公開 2026年8月15日最終更新 2026年8月15日執筆 家の補助金ナビ編集部

増築の建ぺい率は、増やす部分だけでなく、増築後の建物全体で判定します。ここが、多くの人の想定と違うところです。

いま建ぺい率がいっぱいの家に小さな部屋を足したい、という相談がよく止まるのは、このためです。増築後の建築面積が上限を超えるなら、増やす部分が何平方メートルでも通りません。

既存不適格だから大丈夫、も当たりません。 増築の工事に着手した時点で、既存不適格という扱いが外れる仕組みになっているからです。

ここでは、何を何で割るのか、ベランダやガレージはどう数えるのか、既存不適格の緩和はどこまで効くのか、そしてよく見る50平方メートルが何の数字なのかを、条文と国土交通省の資料で並べます。

先に結論

✓ ここが要点

  • 判定するのは増築後の建物全体です。増やす部分だけを見るのではありません
  • 確認申請が要らない10平方メートル以内の増築でも、建ぺい率と容積率は守る義務が残ります(6条2項が外すのは手続きだけ)
  • 建ぺい率は建築面積÷敷地面積(建築基準法53条1項)、容積率は延べ面積÷敷地面積(52条1項)
  • 建築面積は外壁または柱の中心線で数えます。1メートル以上突き出た軒等は端から1メートル後退した線(施行令2条1項2号)
  • 1メートル以内の張り出しは建築面積に入りません。 柱や壁で囲うと全部入ります
  • 車庫は容積率では算入しない部分がありますが、建ぺい率には効きません(施行令2条1項4号は延べ面積の話です)
  • 角地と防火地域内の耐火建築物等には10分の1、両方なら10分の2の上乗せ(53条3項)。ただし角地は特定行政庁が指定した敷地に限られます
  • 増築の工事に着手すると既存不適格の適用除外が外れます(3条3項3号)
  • 緩和は規定ごとに置かれています(86条の7)。まとめて緩和される仕組みではありません
  • 国土交通省の一覧表では、建ぺい率の増築・改築は緩和が措置されていない側です
  • 容積率には緩和がありますが、中身はエレベーターの昇降路や自動車車庫等の部分に限られます(施行令137条の8)
  • よく見る50平方メートルは構造耐力の数字(施行令137条の2)。建ぺい率の話ではありません
  • 既存不適格と違反建築物は別。 違反している規定に緩和は適用されません
  • 別棟に分けても建ぺい率は変わりません。 同一敷地内の建築面積は合計で数えます(53条1項)

無料・登録不要入力は保存されません

お住まいの市区町村で使えるかは、郵便番号だけで確認できます

市区町村の制度と国の制度を1画面にまとめて表示します。外壁・外構・解体・介護など、工事の種類を切り替えて確認することもできます。

お住まいの市区町村の制度を調べる

公式ページで確認した情報のみ(各項目に確認日つき)

何を何で割るのか

まず言葉を確かめます。建築基準法第53条第1項です。

建築物の建築面積(同一敷地内に二以上の建築物がある場合においては、その建築面積の合計)の敷地面積に対する割合(以下「建蔽率」という。)は、次の各号に掲げる区分に従い、当該各号に定める数値を超えてはならない。

読むところが2つあります。1つは同一敷地内に2以上の建築物がある場合は合計という括弧書き。もう1つは超えてはならないという書き方です。上限を定めた規定なので、増築後の姿がこれを超えるなら通りません。

容積率は第52条第1項です。

建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合(以下「容積率」という。)は、次の各号に掲げる区分に従い、当該各号に定める数値以下でなければならない。

建ぺい率は建築面積、容積率は延べ面積。分子が違います。上限の数値は用途地域ごとに都市計画で決まっていて、たとえば第一種低層住居専用地域などは10分の3から10分の6のうち定められたもの、商業地域は10分の8です。自分の土地の数値は、市区町村の都市計画の窓口か都市計画図で確認してください。

なお、角地や防火地域内の建物には上乗せがあります。第53条第3項は、第1項の数値に10分の1を加える、2つとも当たれば10分の2を加えるとしています。当たるのは次の2つです。

一 防火地域(第一項第二号から第四号までの規定により建蔽率の限度が十分の八とされている地域を除く。)内にあるイに該当する建築物又は準防火地域内にあるイ若しくはロのいずれかに該当する建築物

二 街区の角にある敷地又はこれに準ずる敷地で特定行政庁が指定するものの内にある建築物

いっぱいに見えても、この上乗せで余地が残っていることがあります。 ここで出てくる特定行政庁は、建築主事を置く市区町村や都道府県のことで、窓口は建築指導課などです。ただし第2号をよく読んでください。角地の緩和は、特定行政庁が指定した敷地に限られます。 角にあるというだけでは足りず、指定の条件は市区町村ごとに決められています。角地なのに緩和されない、という結果になるのは、この指定に当たらない場合です。自分の敷地が指定に当たるかは、建築指導の窓口で確かめてください。

用途地域の調べ方も同じ窓口です。市区町村の都市計画図が公開されていれば、地図の上で自分の土地の用途地域と数値を読めます。

自分の市に増築やリフォームの補助金があるかは都道府県別の一覧から探せます。

ベランダ・ガレージの数え方

分子の数え方は建築基準法施行令第2条第1項第2号にあります。長い条文なので、効く部分だけ引きます。

建築物(地階で地盤面上一メートル以下にある部分を除く。以下この号において同じ。)の外壁又はこれに代わる柱の中心線

原則は、この中心線で囲まれた部分の水平投影面積です。そのうえで、同号は張り出した部分の扱いを続けます。

軒、ひさし、はね出し縁その他これらに類するもの(以下この号において「軒等」という。)で当該中心線から水平距離一メートル以上突き出たもの

これがある場合は「その端から水平距離一メートル後退した線」で囲まれた部分になります。1メートルは、まるごと外れるかどうかの線ではなく、どこから数え始めるかの線です。

増やすもの 建ぺい率での扱い
1メートル以内の張り出しのベランダ・バルコニー 建築面積に入りません
1メートルを超える張り出し 端から1メートル後退した線までが入ります
柱で支えた、または壁で囲ったベランダ 柱や外壁の中心線の内側なので全部入ります
ガレージ・カーポート 屋根と柱があれば建築物です。建築面積に入ります

※ 表は横にスクロールできます

同じベランダでも、柱を立てるかどうかで扱いが変わります。 ここが設計の相談で最初に出てくるところです。なお、目の前のベランダが条文でいう軒等に当たるかどうかの当てはめは、特定行政庁と設計する建築士が行います。上の表は条文の読み方であって、個別の判定ではありません。同号のただし書には、国土交通大臣が高い開放性を有すると認めて指定する構造の建築物またはその部分について、端から水平距離1メートル以内の部分を建築面積に算入しないという定めもあります。

車庫については、容積率のほうにだけ有利な定めがあります。 同令第2条第1項第4号は、延べ面積には自動車車庫その他の専ら自動車又は自転車の停留又は駐車のための施設の用途に供する部分の床面積を算入しないとしていて、算入しない割合の上限は同条第3項にあります。

! ここに注意

車庫の算入除外は延べ面積=容積率の話です。建ぺい率は建築面積で数えるので効きません。この2つを混ぜると、容積率に余裕があるのに建ぺい率で止まる、という結果になります。

既存不適格の盾は、増築で外れます

「うちは既存不適格だから、いま違反ではない」という理解は正しいものです。問題は、それが増築のときにも続くのかです。

建築基準法第3条第2項が既存不適格の適用除外を定めていることはブロック塀と建築基準法に条文つきで引きました。そのすぐ次の第3項に、適用除外が及ばない場合が並んでいます。第3号がこれです。

三 工事の着手がこの法律又はこれに基づく命令若しくは条例の規定の施行又は適用の後である増築、改築、移転、大規模の修繕又は大規模の模様替に係る建築物又はその敷地

増築が先頭に書かれています。 国土交通省の「既存建築物の緩和措置に関する解説集」は、これを遡及適用と呼んで説明しています。

既存不適格である建築物の増築、改築、移転、大規模の修繕又は大規模の模様替(以下「増築等」という。)を行う場合には、当該建築物に適用していなかった規定を適用し、当該増築等の工事の着手時点の建築基準法令の規定に適合することを求めることとしています

静かに建っているあいだは当たらない規定が、工事に着手した時点で当たるようになる、という作りです。だからこそ第86条の7に緩和が置かれています。同解説集は、その理由を凍結効果という言葉で説明しています。現行の規定に全部合わせろと言われると、増築そのものが断念されて既存不適格が改善されないまま残ってしまう、という趣旨です。

増築に建築確認が要るかどうかの線はリフォームの建築確認にまとめました。この記事は、確認申請を出したときに通るかどうかの側です。

! ここに注意

ここでいちばん間違えやすいのが、確認申請が要らない増築なら建ぺい率も自由になる、という読み方です。建築基準法第6条第2項が防火地域・準防火地域の外で10平方メートル以内の増築について適用しないとしているのは、第1項の建築確認の手続きです。第53条の建ぺい率も第52条の容積率も、手続きとは別に守る義務が残ります。守らずに建てたものは違反建築物になります。確認申請が要らないことと、基準を守らなくてよいことは別です。

緩和は「規定ごと」に置かれています

ここが、この記事でいちばん誤解の多いところです。既存不適格の緩和は、一括して効くものではありません。 解説集がそう書いています。

なお、この既存建築物の緩和は、建築基準法の規定ごとに措置されています。

同じ資料に、どの規定に緩和があるかの一覧表が載っています。国交省はフローチャートの形では出していませんが、この表を上から順に見れば、自分の詰まっている規定に緩和があるかを確かめられます。列は増築・改築、大規模の修繕と大規模の模様替、用途変更の3つで、記号の意味も凡例に書かれています。

●:既存建築物の緩和が措置されている規定 ×:既存建築物の緩和が措置されていない規定 ―:遡及適用されない規定

この表で建ぺい率と容積率の行を読むと、こうなっています。

規定 法令 増築・改築 大規模の修繕・模様替 用途変更
容積率 法52条1項・2項・7項
建ぺい率 法53条1項・2項 ×
接道 法43条1項 ×
敷地の衛生及び安全 法19条 × ×
構造耐力 法20条

※ 表は横にスクロールできます

建ぺい率だけ、増築・改築の欄が×です。 建蔽率オーバーの家に足せない理由は、ここにあります。 大規模の修繕・模様替では●なので、工事の種類で分かれています。当サイトが建築基準法施行令の第137条から第137条の12までを全部読んだところでも、建ぺい率について増築の緩和範囲を定めた条文は見当たらず、法第53条第1項・第2項が出てくるのは基準時を定めた第137条と、大規模の修繕・模様替の第137条の12でした。

容積率には増築の緩和があります。ただし中身を読むと、範囲が限られています。施行令第137条の8が条件にしているのは、増築部分がエレベーターの昇降路の部分、自動車車庫等部分、備蓄倉庫部分、蓄電池設置部分、自家発電設備設置部分、貯水槽設置部分、宅配ボックス設置部分などになることです。

つまり、もともと容積率の算定で優遇されている部分を作るときの話で、普通の居室を足す場合には効きません。

! ここに注意

「既存不適格には緩和がある」と聞いて増築の計画を立てると、その緩和が自分の詰まっている規定に置かれていない、ということが起こります。緩和があるかを規定ごとに確かめてから、計画の大きさを決めてください。

「50平方メートル」は構造耐力の数字です

既存不適格の増築を調べていると、必ず50平方メートルという数字に当たります。これがどこの数字かを確かめておきます。

出どころは建築基準法施行令第137条の2です。見出しは構造耐力関係で、建築基準法第20条の適用を受けない建築物について、第86条の7第1項の緩和が及ぶ範囲を定めた条文です。その第2号と第3号に区切りが出てきます。

二 増築又は改築に係る部分の床面積の合計が基準時における延べ面積の二十分の一(五十平方メートルを超える場合にあつては、五十平方メートル)を超え、二分の一を超えないこと

三 増築又は改築に係る部分の床面積の合計が基準時における延べ面積の二十分の一(五十平方メートルを超える場合にあつては、五十平方メートル)を超えないこと

20分の1と50平方メートルの小さいほうが線です。延べ面積1000平方メートルの建物なら20分の1は50平方メートルなので50が線、延べ面積200平方メートルの家なら20分の1は10平方メートルなのでそちらが線になります。線を超えるか超えないかで、増築後の建物に求められる構造の基準が変わる、という作りです。

50平方メートル以内なら何でも増築できる、という意味ではありません。 50m2という書き方で調べても出てくるのは同じ条文で、この数字は構造耐力についての区切りです。建ぺい率や容積率とは関係がありません。防火避難関係の規定にも同じ区切りが出てくるので、どの規定についての50平方メートルなのかを確かめて読んでください。

基準時の意味も条文にあります。施行令第137条が定義していて、その規定の適用を受けなくなった時点を指します。工事の直前ではありません。

既存不適格と、違反建築物は別です

もう1つ、緩和が効くかどうかを分ける線があります。解説集の同じ段落の続きです。

したがって、当該緩和措置は、既存不適格である規定についてのみ適用がされ、違反している規定については適用されません。

できたきっかけ いまの扱い 緩和
既存不適格 後から基準や都市計画が変わった 違反ではありません 規定ごとに適用があります
違反建築物 建てたときから基準を超えていた 違反です 適用されません

※ 表は横にスクロールできます

同じ「建ぺい率オーバーの家」でも、この2つは別物です。 建てたあとに用途地域が変わって建ぺい率の数値が下がったのなら既存不適格ですが、建てたときから超えていたのなら違反建築物です。

どちらに当たるかは、建てた時期の確認済証と検査済証、そして当時の規制を照らし合わせて判断します。書類が残っていないときは、市区町村で建築計画概要書や台帳記載事項証明書を取れることがあります。検査済証がないというだけでは、違反建築物とは決まりません。 まずこの区別をつけてから、増築の計画を立ててください。

なお、建ぺい率違反という言葉は、この2つを分けずに使われることがあります。建築基準法の判定と、税の判定も別です。増築したあとの固定資産税は増築したときの固定資産税と家屋調査に、床面積が変わったときの登記は未登記の増築部分にまとめました。

別棟に分けても、建ぺい率は変わりません

構造の話で出てくるエキスパンションジョイント独立部分を使えば建ぺい率をかわせるのではないか、という発想があります。かわせません。

エキスパンションジョイントは、施行令第137条の2第1号ロが構造耐力について認めている方法で、増築部分がそれ以外の部分と相互に応力を伝えない構造方法のみで接することを条件にしています。建築基準法第86条の7第2項の独立部分も、構造耐力や防火避難関係の規定についてのものです。

建ぺい率と容積率は敷地単位でかかる規定です。 第53条第1項が同一敷地内に2以上の建築物がある場合はその建築面積の合計としているとおり、同じ敷地の中で棟を分けても分子は減りません。

敷地そのものを分ける方法は理屈のうえではありますが、分けたあとの各敷地が接道や採光などの基準を満たす必要があります。上の一覧表で接道(法43条1項)も増築・改築の欄が×だったことを思い出してください。容積率オーバーのときも同じ順番で確かめます。設計を頼む建築士に、分割後の各敷地が成立するかを先に確かめてもらってください。

建てられる大きさを確かめる順番

  1. 用途地域と数値を調べる——市区町村の都市計画の窓口か都市計画図で、建ぺい率と容積率の上限を確かめます

  2. 上乗せがあるかを見る——角地の指定や防火地域内の耐火建築物等なら、53条3項の上乗せがあります

  3. いまの建築面積と延べ面積を出す——確認済証や図面から。無ければ建築計画概要書を市区町村で探します

  4. 既存不適格か違反かを分ける——建てた時期の書類と当時の規制で判断します。違反なら緩和は使えません

  5. 増築後の姿で計算する——増やす部分だけでなく全体で。ベランダは張り出し1メートルが分かれ目です

  6. 超えるなら、建築士か特定行政庁に相談する——減らす方向の工事や、工事の種類を変える道が残っています

国土交通省が公開している資料は、どこまで調べればよいかを決めるときに使えます。

よくある質問

建ぺい率がオーバーしている家に増築はできますか?

建ぺい率の側からは、できません。建築基準法第53条第1項は、建築物の建築面積の敷地面積に対する割合を建ぺい率と呼び、用途地域ごとに定められた数値を超えてはならないとしています。判定するのは増築した部分だけではなく増築後の建物全体なので、いま超えているところに足せば、増築後はもっと超えます。既存不適格として今は違反にならなくても、増築の工事に着手すると第3条第3項第3号によりその適用除外が外れます。国土交通省の既存建築物の緩和措置に関する解説集の一覧表でも、建ぺい率は増築・改築の欄が緩和の措置されていない側で、大規模の修繕・大規模の模様替の欄だけ措置されている側です。減らす方向の工事や、大規模の修繕・模様替として行う工事なら道があるので、設計を頼む建築士か特定行政庁に相談してください。

増築の建ぺい率はどう計算するのですか?

建築面積を敷地面積で割ります。建築基準法第53条第1項が建築面積の敷地面積に対する割合と定めていて、上限は用途地域ごとに都市計画で決まります。第一種低層住居専用地域などでは10分の3から10分の6のうち定められたもの、商業地域は10分の8といった具合です。分子になる建築面積の数え方は建築基準法施行令第2条第1項第2号にあり、外壁またはこれに代わる柱の中心線で囲まれた部分の水平投影面積とされています。軒やひさしなど中心線から水平距離1メートル以上突き出たものがある場合は、その端から水平距離1メートル後退した線で囲まれた部分です。容積率は延べ面積を敷地面積で割ったもので、こちらは第52条第1項です。自分の土地の用途地域と数値は、市区町村の都市計画の窓口か都市計画図で確認できます。

ベランダやバルコニーは建ぺい率に入りますか?

突き出した長さで変わります。建築基準法施行令第2条第1項第2号は、外壁またはこれに代わる柱の中心線で囲まれた部分の水平投影面積を建築面積としたうえで、軒、ひさし、はね出し縁その他これらに類するもので当該中心線から水平距離1メートル以上突き出たものがある場合は、その端から水平距離1メートル後退した線で囲まれた部分によるとしています。ですので、1メートル以内の張り出しは建築面積に入りません。1メートルを超える場合は、超えた分が入ります。柱で支えたり壁で囲ったりすると、そもそも外壁またはこれに代わる柱の中心線の内側になるので全部が入ります。同号のただし書には、国土交通大臣が高い開放性を有すると認めて指定する構造の建築物またはその部分について、端から水平距離1メートル以内の部分を建築面積に算入しないという定めもあります。設計の段階で建築士に確かめてください。

ガレージやカーポートは建ぺい率に入りますか?

屋根と柱があれば建築物なので、建築面積に入ります。カーポートも同じで、開放性の高い構造として国土交通大臣が指定するものに当たれば端から1メートル以内の部分が算入されない扱いはありますが、まるごと外れるわけではありません。容積率のほうには別の定めがあります。建築基準法施行令第2条第1項第4号は、延べ面積には自動車車庫その他の専ら自動車または自転車の停留または駐車のための施設の用途に供する部分の床面積を算入しないとしていて、算入しない割合の上限が同条第3項にあります。つまり、車庫は容積率では有利に働くことがあっても、建ぺい率は建築面積で数えるので効きません。この2つを混ぜないでください。

既存不適格なら増築しても大丈夫ではないのですか?

増築の工事に着手すると、その扱いが外れます。建築基準法第3条第2項が、規定ができた時点ですでに存在していた建築物などにその規定を適用しないとしているのが既存不適格です。ただし同条第3項第3号は、工事の着手がその規定の施行または適用の後である増築、改築、移転、大規模の修繕または大規模の模様替に係る建築物またはその敷地には第2項を適用しないとしています。国土交通省の解説集はこれを遡及適用と呼び、増築等を行う場合には当該建築物に適用していなかった規定を適用し、工事の着手時点の建築基準法令の規定に適合することを求めることとしていると説明しています。そのうえで第86条の7に緩和が置かれていますが、緩和は規定ごとに措置されているので、どの規定に効くかを1つずつ確かめる必要があります。

既存不適格の増築でよく見る50平方メートルとは何ですか?

構造耐力についての数字で、建ぺい率の話ではありません。建築基準法施行令第137条の2は、建築基準法第20条の適用を受けない建築物について第86条の7第1項の緩和が及ぶ範囲を定めた条文で、その第2号と第3号に、増築または改築に係る部分の床面積の合計が基準時における延べ面積の20分の1、50平方メートルを超える場合は50平方メートルという区切りが出てきます。20分の1または50平方メートルの小さいほうが線で、それを超えるか超えないかで求められる構造の基準が変わる作りです。50平方メートル以内なら何でも増築できるという意味ではありません。基準時の意味は同令第137条にあり、その規定の適用を受けなくなった時点を指します。防火避難関係の規定にも同じ50平方メートルの区切りが出てくるので、どの規定についての話かを確かめてください。

既存不適格と違反建築物は違うのですか?

違います。そして緩和が効くかどうかが分かれます。国土交通省の解説集は、既存建築物の緩和は建築基準法の規定ごとに措置されているとしたうえで、当該緩和措置は既存不適格である規定についてのみ適用がされ、違反している規定については適用されませんと書いています。既存不適格は、建てたときは基準に合っていたのに後から基準や都市計画が変わって合わなくなった状態です。建てたときから基準を超えていたものは違反建築物で、緩和の対象になりません。どちらに当たるかは、建てた時期の確認済証・検査済証と、当時の規制を照らし合わせて判断します。書類が残っていないときは、市区町村で建築計画概要書や台帳記載事項証明書を取れることがあります。

別棟にすれば建ぺい率をかわせますか?

かわせません。エキスパンションジョイントで構造的に分ける方法は、建築基準法施行令第137条の2第1号ロが構造耐力について認めているもので、建築基準法第86条の7第2項の独立部分の考え方も構造耐力や防火避難関係の規定についてのものです。建ぺい率と容積率は敷地単位でかかる規定なので、同じ敷地の中で棟を分けても分子は減りません。建築基準法第53条第1項も、同一敷地内に2以上の建築物がある場合はその建築面積の合計とすると書いています。敷地を分ける方法は理屈のうえではありますが、分けたあとの各敷地が接道や採光などの基準を満たす必要があるので、設計を頼む建築士に先に確かめてください。

まとめ

  • 増築の建ぺい率は、増やす部分でなく増築後の建物全体で判定します
  • 確認申請が要らない増築でも、建ぺい率と容積率は守る義務が残ります。 6条2項が外すのは手続きだけで、守らずに建てれば違反建築物です
  • 建ぺい率は建築面積÷敷地面積(53条1項)、容積率は延べ面積÷敷地面積(52条1項)。分子が違います
  • 上限は用途地域ごとに都市計画で決まります。市区町村の都市計画の窓口か都市計画図で確認してください
  • 角地や防火地域内の耐火建築物等には10分の1、両方なら10分の2の上乗せがあります(53条3項)
  • 建築面積は外壁または柱の中心線。1メートル以上突き出た軒等は端から1メートル後退した線(施行令2条1項2号)
  • 1メートル以内の張り出しは入りません。 柱を立てたり壁で囲ったりすると全部入ります
  • 車庫の算入除外は延べ面積の話(施行令2条1項4号)。建ぺい率には効きません
  • 増築の工事に着手すると、既存不適格の適用除外が外れます(3条3項3号)。増築が条文の先頭に書かれています
  • 国土交通省はこれを遡及適用と呼び、工事の着手時点の規定への適合を求めると説明しています
  • 緩和は規定ごと(86条の7)。まとめて緩和される仕組みではありません
  • 一覧表で、建ぺい率は増築・改築が×、大規模の修繕・模様替が●。工事の種類で分かれます
  • 容積率の緩和はありますが、中身はエレベーターの昇降路・自動車車庫等の部分に限られます(施行令137条の8)
  • 50平方メートルは構造耐力の数字(施行令137条の2第2号・第3号)。20分の1との小さいほうが線です
  • 50平方メートル以内なら何でも増築できる、という意味ではありません
  • 基準時は工事の直前ではありません。 その規定の適用を受けなくなった時点です(施行令137条)
  • 既存不適格と違反建築物は別。 違反している規定に緩和は適用されません
  • 区別は確認済証・検査済証と当時の規制で。無ければ建築計画概要書や台帳記載事項証明書を探します
  • 別棟に分けても建ぺい率は変わりません。 同一敷地内は建築面積の合計で数えます(53条1項)
  • エキスパンションジョイントと独立部分は構造耐力・防火避難関係の話です(施行令137条の2第1号ロ・法86条の7第2項)

工事に建築確認が要るかどうかの線はリフォームの建築確認、床面積が変わったときの登記は増築したときの建物の登記、登記していない増築部分の扱いは未登記の増築部分にまとめました。増築したあとの税は増築したときの固定資産税と家屋調査、既存不適格そのものの条文はブロック塀と建築基準法です。自分の市の補助金は都道府県別の一覧から探せます。

※本記事の制度情報は2026年8月15日時点で、e-Gov法令検索の条文原文と国土交通省の公表資料を確認したものです。個別の建物について増築ができるかどうかの判断は、特定行政庁(市区町村の建築指導課等)、指定確認検査機関、または設計を依頼する建築士が行います。

参考情報(出典)

家の補助金ナビ編集部

うちの自治体で出るか、先に調べる

外壁塗装・窓・断熱などの住宅リフォームで使える補助金を、工事のまえに調べるための情報サイトです。制度の情報は国・自治体の公式ページで確認し、確認日を明記して執筆しています。制度の変更・誤りを見つけた場合は運営者情報の連絡先までお知らせください。

このページはアフィリエイト広告(PR)を含みます。掲載基準