未登記の増築部分は、売るときと相続のときに止まります——直す順番とお金
未登記の増築部分があると、家を売るときも相続するときも、その手前で登記を入れ直すことになります。工事から何十年たっていても同じです。
止まる場所は、意外なところにあります。売買契約でも相続の話し合いでもなく、所有権の登記を入れられる人がいないという一点です。
未登記の増築部分をどうするかは、まず2つの形を分けるところからです。建物ごと登記がないのか、建物は登記されていて増築した部分だけが登記に反映されていないのか。ここで手続きの本数も、かかるお金も変わります。
未登記の増築部分とは、増築で床面積が変わったのに、その変更の登記をしていない状態のことです。登記簿の床面積が昔のままなので、実際の建物と数字が合いません。
この記事では、何が止まるのか、相続ではどの順番になるのか、登録免許税はかかるのか、そして自分でどこまでできるのかを、条文と法務局の公開資料で並べます。
先に結論
✓ ここが要点
- 形は2つ。建物ごと未登記か、増築部分だけ未登記かで手続きの本数が変わります
- 止まる場所は不動産登記法74条1項。表題登記がない建物には、所有権の保存の登記を申請できる人がいません
- 相続の登記には3年以内という期限があります(76条の2第1項)。間に合わないときは相続人である旨の申出(76条の3第1項)で最初の3年を止められます
- ただし申出は義務を消しません。 遺産分割がまとまったら、分割の日から3年がもう一度走ります(76条の3第4項・76条の2第2項)
- 怠ったときは10万円以下の過料(164条1項)。刑罰ではなく行政上の秩序罰です
- 増築による表題部の変更の登記に、登録免許税はかかりません。 別表第一第一号の(十四)が、表示に関するものを除くと書いています
- ただし建物ごと未登記だった家の所有権の保存の登記は課税されます(不動産の価額の1000分の4)
- 費用は税・報酬・実費の3つに分かれます。依頼先は司法書士ではなく土地家屋調査士です
- 法務局の様式は、表題部の変更と表題登記は非公開/所有権の保存と相続の移転は公開という分かれ方です
- 既存の抵当権は登記していない増築部分にも及びます(民法370条)。新しく借りるときの扱いは商品ごとに違うので断定しません
- 固定資産税は登記の有無と関係なく課されます。 登記していないから税がかからない、ということはありません
- この記事は登記の申請義務と期限までを扱います。遺産分割協議書の書き方は司法書士と法務局の領域です
無料・登録不要入力は保存されません
お住まいの市区町村で使えるかは、郵便番号だけで確認できます
市区町村の制度と国の制度を1画面にまとめて表示します。外壁・外構・解体・介護など、工事の種類を切り替えて確認することもできます。
お住まいの市区町村の制度を調べる公式ページで確認した情報のみ(各項目に確認日つき)
まず、2つの形を分けます
同じ「未登記の増築部分がある」という言い方でも、中身は2つに分かれます。登記事項証明書を取って、床面積の数字を実際の建物と見比べるところから始めてください。
| 形 | 登記簿の状態 | 入れる登記 | このあとの本数 |
|---|---|---|---|
| 建物ごと未登記 | その建物の記録が無い | 表題登記 → 所有権の保存の登記 | 2本。売買や相続はそのあと |
| 増築部分だけ未登記 | 記録はあるが床面積が古い | 表題部の変更の登記 | 1本。建物の登記自体は生きています |
※ 表は横にスクロールできます
分かれ目は、登記簿に建物が載っているかどうかです。古い家では、建てたときから登記していない例があります。この場合は増築の話をする前に、建物そのものを登記に載せる工程が入ります。
どちらの登記も表示に関する登記で、期限は1か月です。条文と期限の数え方は増築したときの建物の登記にまとめました。この記事では、その先で何が起きるかを見ていきます。
自分の市に増築やリフォームの補助金があるかは都道府県別の一覧から探せます。工事の前に登記の段取りまで決めておくと、あとで戻る手間がなくなります。
止まるのは、所有権の登記を入れる人がいないからです
建物ごと未登記の家で最初に止まるのは、ここです。不動産登記法第74条第1項は、所有権の保存の登記を申請できる人を限定しています。
所有権の保存の登記は、次に掲げる者以外の者は、申請することができない。
一 表題部所有者又はその相続人その他の一般承継人
表題部所有者は、表題登記を入れることで初めて生まれます。 登記簿の表題部に所有者として記録された人のことです。一般承継人は相続人や合併後の法人のように、その地位をまるごと引き継いだ人を指します。登記が1本も無い建物には表題部所有者がいないので、この第1号に当てはまる人がいません。第2号は確定判決で所有権が確認された者、第3号は収用で所有権を取得した者ですから、普通の家では使えません。
所有権の登記が入らなければ、その先の権利の登記も入りません。売買による所有権の移転も、抵当権の設定も、すべて所有権の登記があることが前提になっているからです。売買の契約ができないのではなく、契約したあとに登記が動かせないという形で止まります。
! ここに注意
増築部分だけが未登記の場合は、建物の登記自体があるので所有権の登記も入っています。この節の話は当たりません。ただし登記簿の床面積が実際と違うままなので、買主や金融機関から先に直すよう求められることがあります。
相続では、順番が決まっています
相続の登記には期限があります。不動産登記法第76条の2第1項です。
所有権の登記名義人について相続の開始があったときは、当該相続により所有権を取得した者は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日から三年以内に、所有権の移転の登記を申請しなければならない。
起点は亡くなった日ではなく、知った日です。相続が始まったことと、自分がその不動産を取得したことの両方を知った日から数えます。
問題は、未登記の建物にはこの登記を入れられないことです。第76条の2の主語は所有権の登記名義人ですから、そもそも所有権の登記が無い建物には当てはまりません。手順はこうなります。
登記事項証明書を取る——管轄の法務局で、その建物の記録があるかを確かめます
建物ごと未登記なら、表題登記から——第47条第1項が、表題登記がない建物の所有権を取得した者に、取得の日から1か月以内の申請を義務づけています
所有権の保存の登記を入れる——第74条第1項の表題部所有者の相続人として申請します
増築部分だけ未登記なら、表題部の変更の登記から——第51条第1項です
相続による所有権の移転の登記——ここで3年の期限を満たします
話し合いがまとまらないときの逃げ道も用意されています。第76条の3第1項は、登記官に対し、相続が開始した旨と自らが相続人である旨を申し出ることができるとしていて、同条第2項は、期間内にこの申出をした者は所有権の移転の登記を申請する義務を履行したものとみなすと定めています。遺産分割が終わっていなくても、最初の3年は止められるということです。
ただし、これで終わりではありません。 同条第4項が、そのあとの期限を定めています。
第一項の規定による申出をした者は、その後の遺産の分割によって所有権を取得したとき(前条第一項前段の規定による登記がされた後に当該遺産の分割によって所有権を取得したときを除く。)は、当該遺産の分割の日から三年以内に、所有権の移転の登記を申請しなければならない。
遺産分割がまとまった日から、3年がもう一度走ります。 法定相続分どおりの登記を先に入れた場合も同じで、第76条の2第2項が、その後の遺産の分割で相続分を超えて所有権を取得した者に、分割の日から3年以内の申請を義務づけています。
そしてこの第76条の3第4項も、第164条第1項の過料の対象に並んでいます(下の条文で確かめられます)。申出は期限を止める仕組みであって、義務を消すものではありません。
! ここに注意
この記事が扱うのは、登記の申請義務と期限、そして順番までです。誰がどの割合で取得するかを決める遺産分割協議そのものや、協議書の書き方には踏み込みません。事案ごとに書く内容が変わるうえ、法務局も一般向けの協議書の様式は公開していないためです。相談先は司法書士か、管轄の法務局の登記手続案内になります。
過料は10万円。刑罰ではありません
期限を過ぎたときの扱いは、第164条第1項に書かれています。
第三十六条、第三十七条第一項若しくは第二項、第四十二条、第四十七条第一項(第四十九条第二項において準用する場合を含む。)、第四十九条第一項、第三項若しくは第四項、第五十一条第一項から第四項まで、第五十七条、第五十八条第六項若しくは第七項、第七十六条の二第一項若しくは第二項又は第七十六条の三第四項の規定による申請をすべき義務がある者が正当な理由がないのにその申請を怠ったときは、十万円以下の過料に処する。
表題登記も、表題部の変更の登記も、相続の登記も、同じ項に並んでいます。 額はどれも10万円以下で、登記の種類によって変わりません。
過料は刑罰ではなく行政上の秩序罰なので、前科にはなりません。ただし正当な理由がないのにという条件が付いている点は読んでおいてください。理由が認められるかどうかの判断は登記官の側にあります。
税や補助金の手続きは、登記が終わっていることを前提に組まれていることがあります。工事のあとに使える制度は増改築等工事証明書にまとめました。
登録免許税は、表示の登記には課されません
「登記を入れると税金がいくらかかるのか」は、増築の登記と、そのあとの権利の登記で答えが違います。
登録免許税法第2条は、課税の対象を別表第一に掲げる登記等に限っています(条文は増築したときの建物の登記に引きました)。ですので、別表第一に挙がっていない登記には課されません。
不動産の登記を並べた同表の第一号を読むと、所有権の保存、所有権の移転、地上権や賃借権の設定、抵当権の設定といった権利の登記が並んでいます。表題登記も、表題部の変更の登記も、そこにありません。決め手になるのは(十四)の括弧書きです。
(十四) 付記登記、抹消された登記の回復の登記又は登記事項の更正若しくは変更の登記(これらの登記のうち、(一)から(十三)までに掲げるもの及び土地又は建物の表示に関するものを除く。)
登記事項の変更の登記という広い受け皿を置いたうえで、そこから土地又は建物の表示に関するものを除くと書いてあります。表示に関する登記が意図的に外されているということです。
一方で、建物ごと未登記だった家を登記に載せる場合は話が変わります。
| 登記 | 別表第一 第一号 | 課税標準 | 税率 |
|---|---|---|---|
| 表題登記・表題部の変更の登記 | 挙がっていません | — | 課されません |
| 所有権の保存の登記 | (一) | 不動産の価額 | 1000分の4 |
| 所有権の移転の登記(相続) | (二)イ | 不動産の価額 | 1000分の4 |
| 所有権の移転の登記(売買など) | (二)ハ | 不動産の価額 | 1000分の20 |
※ 表は横にスクロールできます
同じ「未登記を直す」でも、増築部分だけなら登録免許税は出てきません。 建物ごと未登記だと、表題登記のあとに所有権の保存の登記が続くので、そこで課税されます。2つの形を最初に分けたのは、このためです。
費用は、税・報酬・実費の3つに分かれます
登記費用と呼ばれているものは、性質の違う3つが混ざっています。
- 登録免許税——上の表のとおりです。増築による表題部の変更の登記では出てきません
- 専門家への報酬——表示に関する登記の依頼先は司法書士ではなく土地家屋調査士です。報酬は事務所ごとに違うため、この記事では金額を書きません
- 実費——戸籍や住民票などの添付書類を取る手数料、建物図面と各階平面図を作るための調査・測量、郵送料
見積もりを取るときは、どこまでを頼むのかを先に決めておくと比べやすくなります。増築部分の表題部の変更だけなのか、建物ごとの表題登記と所有権の保存まで含むのか、相続の移転まで一括で頼むのか。含む範囲が違う見積もりを金額だけで並べると、安いほうが必要な工程を含んでいないことがあります。
依頼先が司法書士と土地家屋調査士に分かれる理由は増築したときの建物の登記に条文つきで書きました。権利の登記が司法書士、表示の登記が土地家屋調査士という分かれ方です。相続まで進むなら、両方の出番があります。
住宅ローンについて、言えることと言えないこと
ここは分けて書きます。金融機関が何を求めるかは商品ごとに違うので、当サイトでは断定しません。 そのうえで、法律の側で言えることが2つあります。
1つは、すでに設定されている抵当権についてです。民法第370条が、その範囲を定めています。
抵当権は、抵当地の上に存する建物を除き、その目的である不動産(以下「抵当不動産」という。)に付加して一体となっている物に及ぶ。
増築した部分は、登記していなくても既存の抵当権の効力が及ぶ側にあります。登記していないから担保から外れている、という関係ではありません。
ただし条文の言葉は付加して一体となっている物です。母屋とつながっていない離れのように、それ自体で1個の建物として扱えるものは、この一体の側に入らないことがあります。どちらに当たるかは建物の造りで決まるので、登記事項証明書と現況を見たうえで法務局か土地家屋調査士に確かめてください。
もう1つは、これから借りるときです。抵当権の設定の登記は権利に関する登記なので、所有権の登記が入っていることが前提になります。建物ごと未登記なら、表題登記と所有権の保存の登記を先に済ませることになります。増築部分だけが未登記なら所有権の登記はあるので、この前提は満たしています。
実際に何をどこまで求められるかは、申し込む金融機関に先に確認してください。 登記を直す工程には測量や書類の取り寄せが入るので、着手が遅れると全体が遅れます。
固定資産税は、登記と関係なく課されます
よくある思い違いを1つ。登記していないから固定資産税がかからない、ということはありません。
固定資産税の側は、登記の有無ではなく建物の実態で判断する仕組みになっています。登記されていない家屋のための台帳が別に用意されていて、そこに登録された人が納税義務者になります。市が増築を知る道も、登記所からの通知だけではありません。
増築したあとの固定資産税の仕組みと、市が把握する経路は増築したときの固定資産税と家屋調査にまとめました。登記を直すかどうかと、税がかかるかどうかは別の問題として整理してください。
様式は、途中から公開されています
自分でどこまでできるかは、法務局が様式を公開しているかどうかにきれいに対応しています。法務局の「不動産登記の申請書様式について」(2026年1月7日更新)の目次は9項目で、名義人の住所・氏名の変更、所有権の移転、(根)抵当権、建物の滅失、所有権の保存、地目の変更、合筆、配偶者居住権、取下書が並んでいます。
| 手続き | 様式・記載例 | 自分で進めやすいか |
|---|---|---|
| 表題登記 | 公開されていません | 建物図面と各階平面図の調査・測量が要ります |
| 表題部の変更の登記 | 公開されていません | 同上 |
| 所有権の保存の登記 | 公開されています(目次5) | 様式と記載例があります |
| 相続による所有権の移転 | 公開されています(目次2-1) | 法定相続・遺産分割などの類型別にあります |
※ 表は横にスクロールできます
未登記の増築部分そのものを直す工程だけ様式が無い、という作りです。理由は、この登記が図面を伴うところにあります。
- 不動産登記の申請書様式について(法務局)——所有権の保存と相続の様式・記載例はここです
- 管轄のご案内(法務局)——登記手続案内の予約先を探せます
図面が要らない部分は自分で、図面が要る部分は土地家屋調査士に、と分けて頼むこともできます。どこで線を引くかを決めてから見積もりを取ると、比べられる形になります。
頼むまえの順番
登記事項証明書を取る——床面積が実際の建物と合っているかを見ます。ここで2つの形のどちらかが決まります
建物ごと未登記かを確かめる——記録が無ければ表題登記から。増築部分だけなら表題部の変更から
相続が絡むかを確かめる——絡むなら3年の期限があります。話し合いが長引きそうなら相続人である旨の申出を先に。分割がまとまったら、そこからまた3年です
土地家屋調査士に見積もりを頼む——含む範囲を書いてもらいます。表示の登記だけか、権利の登記まで含むか
お金が動く予定があるなら、その相手に先に伝える——売却なら買主と仲介、借入なら金融機関です
よくある質問
未登記の増築部分があると、家は売れないのですか?
売買の契約そのものができなくなるわけではありませんが、登記簿の床面積が実際の建物と合わないままでは、登記の上でどの範囲の建物を引き渡したのかが確定しません。止まる場所は登記の側にあります。不動産登記法第74条第1項は、所有権の保存の登記を申請できる人を、表題部所有者またはその相続人その他の一般承継人、確定判決で所有権が確認された者、収用で所有権を取得した者に限っています。建物ごと登記がない場合は表題部所有者がいないので、この登記を申請できる人がいません。増築部分だけが未登記の場合は建物の登記自体はあるので、第51条第1項の表題部の変更の登記を入れることになります。どちらに当たるかで手続きの本数が変わるので、まず登記事項証明書を取って床面積を見比べてください。
未登記の増築部分がある家を相続しました。何から始めますか?
順番が決まっています。建物ごと未登記なら、先に表題登記です。不動産登記法第47条第1項が、表題登記がない建物の所有権を取得した者に、取得の日から1か月以内の申請を義務づけています。表題登記が入って初めて表題部所有者ができ、第74条第1項の所有権の保存の登記に進めます。建物は登記されていて増築部分だけが未登記なら、第51条第1項の表題部の変更の登記を入れてから、相続による所有権の移転の登記です。相続の登記そのものには第76条の2第1項の期限があり、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ所有権を取得したことを知った日から3年以内とされています。間に合わないときは第76条の3第1項の相続人である旨の申出をしておけば、同条第2項により義務を履行したものとみなされます。ただし申出で終わりではなく、同条第4項は、そのあとの遺産の分割によって所有権を取得したときは分割の日から3年以内に所有権の移転の登記を申請しなければならないとしています。第76条の2第2項も、法定相続分どおりの登記をしたあとに遺産の分割があった場合について同じ期限を置いています。どちらも第164条第1項の過料の対象です。
未登記の増築部分に登録免許税はかかりますか?
増築による表題部の変更の登記には課されません。登録免許税法第2条は、別表第一に掲げる登記等について課すると定めていて、課税の対象は同表に挙がっているものに限られます。不動産の登記を並べた同表第一号を見ると、所有権の保存、所有権の移転、抵当権の設定といった権利の登記が並んでいます。(十四)には登記事項の更正若しくは変更の登記が挙がっていますが、そこには土地又は建物の表示に関するものを除くという括弧書きが付いています。表示に関する登記が対象から外されているということです。ただし、建物ごと未登記だった家を登記する場合の所有権の保存の登記は同表第一号の(一)に挙がっていて、課税標準は不動産の価額、税率は1000分の4です。
未登記のままにしていると罰則はありますか?
過料の対象になります。不動産登記法第164条第1項は、第47条第1項や第51条第1項などの規定による申請をすべき義務がある者が正当な理由がないのにその申請を怠ったときは、10万円以下の過料に処すると定めています。刑罰ではなく行政上の秩序罰です。相続の登記も同じ項に含まれています。法務省は、相続登記の申請義務化が令和6年4月に開始したと案内しています。なお、増築のときの建築確認と登記は別の手続きです。建築確認が要らない規模の増築でも、床面積が変われば登記は要ります。
未登記の増築部分があると住宅ローンは組めませんか?
金融機関がどこまで求めるかは商品ごとに違うため、当サイトでは断定しません。法律の側で言えることは2つです。1つは、すでに設定されている抵当権について、民法第370条が、抵当権は抵当地の上に存する建物を除き、その目的である不動産に付加して一体となっている物に及ぶとしていることです。増築部分は登記されていなくても、既存の抵当権の効力が及ぶ側にあります。もう1つは、新しく借りるときの担保設定です。抵当権の設定の登記は権利に関する登記なので、その前提として所有権の登記が入っている必要があります。建物ごと未登記なら、表題登記と所有権の保存の登記を先に済ませることになります。実際の取り扱いは、申し込む金融機関に先に確認してください。
未登記の増築部分の登記費用はいくらですか?
3つに分けて考えると見通しが立ちます。1つめが登録免許税で、増築による表題部の変更の登記には課されません。2つめが専門家への報酬です。表示に関する登記の依頼先は司法書士ではなく土地家屋調査士で、報酬は事務所ごとに違うため、この記事では金額を書きません。3つめが実費で、戸籍や住民票を取る手数料、建物図面や各階平面図を作るための測量、郵送料などです。相続まで進む場合は、所有権の移転の登記の登録免許税が別にかかります。別表第一第一号の(二)イが相続又は法人の合併による移転の登記で、課税標準は不動産の価額、税率は1000分の4です。見積もりの前に、どこまでを頼むのかを決めておくと比べやすくなります。
自分で申請できますか。様式はどこにありますか?
手続きによって分かれます。法務局は不動産登記の申請書様式について、2026年1月7日更新のページで様式と記載例を公開していますが、その目次に建物の表題部の変更は入っていません。表題登記も同じです。この登記には建物図面と各階平面図が要るためで、その調査・測量は土地家屋調査士の業務とされています。一方で、所有権の保存の登記と、相続による所有権の移転の登記は目次に入っていて、様式と記載例が公開されています。つまり、未登記の増築部分そのものを直す部分は様式が無く、そのあとに続く権利の登記は自分でも進められる作りです。どこまで自分でやるかは、管轄の法務局の登記手続案内で相談できます。
まとめ
- 未登記の増築部分は2つの形に分かれます。建物ごと未登記か、増築部分だけ未登記かで手続きの本数が変わります
- 分ける方法は1つ。登記事項証明書を取って、床面積を実際の建物と見比べることです
- 止まる場所は不動産登記法74条1項。表題登記がない建物には表題部所有者がいないので、所有権の保存の登記を申請できる人がいません
- 売買の契約ができないのではなく、契約したあとに登記が動かせないという形で止まります
- 相続の登記は知った日から3年以内(76条の2第1項)。起点は亡くなった日ではありません
- 未登記の建物には相続の登記を入れられません。表題登記→所有権の保存→相続の移転の順になります
- 話し合いが長引くときは相続人である旨の申出(76条の3第1項)。第2項で義務を履行したものとみなされます
- 申出で終わりではありません。 遺産分割がまとまったら分割の日から3年がもう一度走ります(76条の3第4項)。ここも164条1項の過料の対象です
- 怠ったときは10万円以下の過料(164条1項)。表題登記も変更登記も相続登記も同じ項で、額は変わりません
- 増築による表題部の変更の登記に、登録免許税はかかりません。 別表第一第一号の(十四)が、表示に関するものを除くと書いています
- ただし建物ごと未登記だった家の所有権の保存の登記は1000分の4、相続による移転も1000分の4です
- 費用は税・報酬・実費の3つ。依頼先は表示の登記が土地家屋調査士、権利の登記が司法書士です
- 見積もりは金額でなく含む範囲で比べてください。安いほうが必要な工程を含んでいないことがあります
- 既存の抵当権は、登記していない増築部分にも効力が及びます(民法370条)
- 新しく借りるときに何を求められるかは金融機関ごとに違うので、当サイトでは断定しません。先に確認してください
- 固定資産税は登記の有無と関係なく課されます
- 様式は表題部の変更と表題登記が非公開/所有権の保存と相続の移転は公開という分かれ方です
- この記事が扱うのは登記の申請義務と期限と順番まで。遺産分割協議書の書き方は司法書士と法務局の領域です
増築そのものの登記の条文は増築したときの建物の登記、税の側は増築したときの固定資産税と家屋調査にあります。工事に建築確認が要るかはリフォームの建築確認、建てられる大きさの上限は増築と建ぺい率・容積率です。家をこわしたときの登記は解体後の建物滅失登記にまとめました。自分の市の補助金は都道府県別の一覧から探せます。
※本記事の制度情報は2026年8月15日時点で、e-Gov法令検索の条文原文と法務局の公表資料を確認したものです。個別の登記ができるかどうかや必要書類は、管轄の法務局または土地家屋調査士・司法書士にご確認ください。
参考情報(出典)
- 不動産登記法(e-Gov法令検索)第44条・第47条・第51条・第74条・第76条の2・第76条の3・第164条(確認日 2026-08-15)
- 登録免許税法(e-Gov法令検索)第2条・別表第一(確認日 2026-08-15)
- 民法(e-Gov法令検索)第370条(確認日 2026-08-15)
- 不動産登記の申請書様式について(法務局)(確認日 2026-08-15)
- 不動産を相続した方へ 相続登記・遺産分割を進めましょう(法務省)(確認日 2026-08-15)
家の補助金ナビ編集部
うちの自治体で出るか、先に調べる
外壁塗装・窓・断熱などの住宅リフォームで使える補助金を、工事のまえに調べるための情報サイトです。制度の情報は国・自治体の公式ページで確認し、確認日を明記して執筆しています。制度の変更・誤りを見つけた場合は運営者情報の連絡先までお知らせください。
このページはアフィリエイト広告(PR)を含みます。掲載基準